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すきなもの

 すきなものをすきって堂々と言える人が羨ましい。オタクに寛容じゃないって昔はよく言われていたけれど、最近は非オタクに対しての方が不寛容なんじゃない?と思ってしまう。これは私のいる環境の問題なのかもしれないけど。

 私だってすきなものがないわけではない。そしてそれが言えないようなものでもない。小説、野球観戦、お酒、深夜ラジオ、アイドル、日本語ラップ、グラフィックデザイン、トランペット、こんな感じに文章を書くこと。最近一番ハマっているのは野球観戦で、ベイスターズを応援している。

 でも堂々とすき、とは言いづらい。どれも中途半端。小説はすきだけど村上春樹を読んだことはないし、深夜ラジオは毎週ちゃんと聞いてるのはオードリーのオールナイトニッポンしかない。野球もすきだけど、現地で応援したことは一回しかない。すきなんだけど、私よりもっともっとすきな人がたくさんいることを知っているから、ファンと名乗るにはおこがましくて、「最近はじめたんですけど、」と予防線をはってしまう。

 私はなんで何かのオタクになれないんだろう。まず一つのものに執着し続けられる体力と精神力がない。何に対してもめちゃくちゃすきになる、ということが滅多になくて、これは趣味だけじゃなくて人間関係とか、他のことにも言える。それから、高校までずっと真面目に生きてきた。そこそこいい中学に受験して入って、運動部に入って、成績を維持してそこそこいい大学に入った。でも、それだけだ。他の遊びの部分を捨て去って、ここまできてしまった。

 でもずるくない?高校まで評価される様に真面目に生きてきたら、大学に入った途端つまらないやつというレッテルを貼られてしまうなんて、突然の裏切りじゃん。なら何か趣味を持てばいいって話だけど、のめり込めるほどすきなものは見つからなくて、それなりにすきなものばかりたくさん増えてしまった。だけど人に評価されるために趣味を武器にするのも嫌だなって思う。

 コロナで暇で暇でしょうがない日々を過ごしていると、無趣味なことを責められてる気分になってしまう。でもそれで傷つくのは馬鹿らしいから、明日ものんびり野球でもみようかな。がんばれ!打倒巨人!

  

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