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江ノ島と猫

 2年前の夏、江ノ島に行った。まだ海開きはしていなくて、でも十分にジリジリと焦げ付くような暑さが夏を実感させた。

 「どこか行きたい場所ない?」と聞かれて咄嗟に江ノ島、と答えた。どうして江ノ島と答えたのかは覚えていない。家から無理なく行ける距離だし、お金もかからないし、夏だし。多分そんな理由だったのだろう。

 江ノ島は猫の島。島猫と呼ばれる猫がたくさん生息しているから、そう呼ばれているらしい。島を歩く中でも、路地裏で猫を見かけた。江ノ島で、島の人からごはんをもらって、のんびりと暮らす猫はちょっぴり羨ましい。

 それから江ノ島は『陽だまりの彼女』の舞台でもある。私は映画は見ていないのですぐに江ノ島とリンクしなかったが、そう教えてもらった。それが猫のイメージを補強している。猫の島だから舞台に選んだのかもしれないけど。

 2年前の江ノ島は、私の初めてのデートだった。結局その人とは付き合わなかったから、それをデートと呼んで良いのかはわからないけど。彼は『陽だまりの彼女』の大ファンだったから、乗り気だったらしい。

 江島神社に参拝して、丘を登って、洞窟に入った。お昼には生しらす丼を食べて、途中でかき氷も食べた。奢ってもらうべきか、自分で払うべきかもわからなくて遠慮がちに彼の顔を伺っていた。成人式の前撮りを控えていたから焼けてしまわないか心配で、何度も日焼け止めを塗り直した。彼が海ではしゃいでいるのを、砂浜から見つめていた。

 帰り道に鎌倉に寄って、がまぐちのポーチを買った。柄違いのもの。私はピンクいろで、大正ロマン風の猫のイラストが描かれているものを。彼が買った柄はもう思い出せないし、そもそも買っていたかどうかの記憶も定かじゃない。


 今日はヘッダー用に猫の絵を描きたくなったので、猫の話を書きました。

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