2023年9月13日の日記

今日は嫁と息子と3人で図書館でやっているブックスタートという乳児向けに絵本をくれるイベントに行った。
13:30から開始だったのだが、出発直前に我が子がウンコをしたりしたので予定より家を出るのが遅れてしまった。外に出ると気温もさることながら湿度も高くまとわりつくような暑さで、ただでさえ遅れて家を出てしまったのに歩くスピードはどうしても上がらなかった。そんなゆっくりした速度と、ベビーカーの心地よい揺れと、出発前にうんこを出した疲れで息子は気づくと目を閉じていた。
案の定、会場に着くとブックスタートはすでに始まっていて20畳くらいの広い部屋に大きなゴザが敷かれていて十組くらいの親子がその上に座っていて職員がお手本で絵本を読んでみせているのを真剣に聴いていた。さらに、そのゴザを取り囲むように図書館や役所の職員が10人くらい立ってなんか異様な空気を感じたがその正体にこの時は気づいていなかった。

受付を済ませると、係員が絵本を2冊といろんな子育て支援のチラシをくれ中に案内してくれた。
その時息子を見て「あらー、寝ちゃってますねー。ベビーカーのままお部屋に入っちゃいましょうか」と残念そうに言ったのだが、この時私は(寝顔が可愛いから起きている状態も見たいってことか?)と親バカ丸出しのことを考えていた。

というのもブックスタートというイベントを、オススメの絵本をタダでくれて読み聞かせについて教えてくれるイベントだと思っていたからだった。山形県の酒田市で里帰り出産した時にも同じようなものがあって2冊の絵本をもらったのでそんな感じだと思ったのだ。

しかし、絵本の読み聞かせのお手本が終わり、図書館の利用の説明や、子育て支援のチラシの説明が終わりもうこのイベントもおしまいかな?と思ったら老齢の女性職員が生気のないリアルな赤ん坊の人形を抱えて壇上へ現れ、赤ちゃんとスキンシップをとりながら遊べるわらべ歌を教えるからみんなで一緒にやろうと宣言したのだ。

ここにきて、我々夫婦は大慌てだ。
なんせ我が子はベビーカーですやすやと幸せそうな顔をして爆睡中なのだ。
チーム「ゴザの上」の10組ほど親子たちは子供をゴザの上に寝ころばせて楽しそうだ。親の意図など関係なしに寝返りしようとしてしまう子供がいたり、床に置くとぐずぐずしてしまう子がいたりといろんな子がいて親同士も子供のそんな様子を見ながら距離を縮めている気がした。

僕ら夫婦は我が子が寝ているのでそんな輪からはちょっと一歩引いた感じで参加することになった。

そんなポジショニングで参加してしまったからなのか、実際にわらべ歌をみんなでやり始めたときにギョッとしてしまった。
参加している親子たちは実に微笑ましく子供と楽しんでいたのだが、それを取り囲む職員たちは様子が違うのだ。相手となる純粋無垢な子供がいればこそ楽しく歌えるわらべ歌だが、相手がいない職員たちはそんなに楽しそうに歌えていないのだ。こればっかりは仕方がないと思う。しかし、ゴザで仕切られた中で楽しそうな親子と、職員たちの抑揚のない声、生気のない目で、身振りだけはテンションが高いように取り繕ったわらべ歌の異様なコントラストがものすごく怖かったのだ。まるで宗教施設の見てはいけない儀式を見たかのような感じで、ミッドサマーのような狂気の世界の入口なのではないかとさえ思えたのだ。

こんなふうに感じたのは自分が捻くれているからだと思い、この空間を出るまではそんな怯えはおくびにも出さずになんとかイベントを終えて帰宅した。

帰宅して嫁になんか宗教みたいだったねと軽くジャブを打ってみたら嫁も大筋同じようなことを思っていたらしい。

とはいえ、わらべ歌で我が子が喜んでくれるならやりたいしタメになったのでとてもありがたいイベントだったことは間違いない。ただ、ゴザの上に乗れるか乗れないかで感じ方が変わってしまうだけの話なのである。誰が悪いとかそういうことを言いたいのではなく、ありふれたすれ違いコントのような話だと思う。

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