【読書】『タルト・タタンの夢』近藤史恵【美味しそうなご飯と謎解き】
ご飯と物語の相性はとても良いなと思います。双方から元気をもらうことができます。
今回読んだのは、『タルト・タタンの夢』(近藤史恵 著)です。美味しそうなご飯と謎解きの組合せに魅了されました。
ビストロ・パ・マル
小さなフランス料理店、ビストロ・パ・マルでは、フランスの家庭料理が人気です。従業員は、料理長の三舟さん、副料理長の志村さん、ソムリエの金子さん、ギャルソンのぼく、高築の4人のみ。
訪れたお客さんが抱える謎について、普段は無口な三舟シェフが、鋭い洞察力で解き明かしていきます。
舞台女優と婚約したばかりの常連客、西田さんが体調不良になった理由とは。
偏食の粕谷さんの愛人が、あまり美味しくない料理を作る奥さんに勝てない理由とは。
副料理長の志村さんがフランス留学中、公現祭で焼いたガレット・デ・ロワというお菓子に入れたフェーブという陶器の人形が消えた理由とは。
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このような謎7つが、お客さんにヴァン・ショーと呼ばれるホットワインを出すのを合図に、三舟シェフによって説明されます。
美味しそうなメニュー
登場するメニューがどれも美味しそうで、幸せな気持ちになります。
フォアグラのパテ、仔羊のロティ、鴨のアピシウス風なども素敵ですし、豚足とレンズ豆の煮込みやピペラード、魚介類のバスク風といった家庭料理も想像するだけでお腹が空いてきます。
謎はなんだか切ない
登場する謎については、悪意というよりも、行き過ぎた想いやボタンの掛け違いが原因のものが多く、人の心は難しいなと、なんだか切なくなりました。
三舟シェフによって謎が明らかになったお客の皆さんが、前向きに歩んで行けたら良いなと願うばかりです。
三舟シェフはじめ、従業員の4人にはまだわからないことが多いので、シリーズの続編も読み、もっと「ビストロ・パ・マル」に通いつめたいと思います。
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