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【読書】『屍人荘の殺人』シリーズ 今村昌弘【クローズドサークル】


3月。年度末ということで、何かとバタバタして落ち着かず、とりあえず目の前のことをこなしながら、次年度のことも考えなければ、と焦る気持ちの大きい日々を過ごしています。


こんなときは、本で違う世界へ行き、気分転換をしようと考えました。クローズドサークルものが良いかなと思い、手に取ったのが『屍人荘の殺人』(今村昌弘 著)です。


作品名はもちろん知っていたものの、特殊設定のミステリーと聞いていたので、楽しめるかわからず、これまで読むのをためらっていた作品でした。


しかし、私はもっと早く読めば良かったと後悔することになりました。それくらい面白かったのです。特殊設定とはいえ、それを前提とした上で非常に論理的なミステリーでした。


シリーズの作品を一気に読んだので、ネタバレになってしまうため詳しくは語れませんが、4作品すべてを紹介したいと思います。


シリーズ4作品


好きなポイント3つ


私がこのシリーズを好きになったポイント3つは、以下のとおりです。


①特殊設定かつ論理的なストーリー

シリーズの3作品にはすべて、何らかの特殊設定があります。しかし、その設定はわかりやすく、シンプルなものですし、それを前提に組み込んだ上で、非常に論理的にストーリーが展開されています。


このため、お話がすっと入ってくるのです。「え、それはずるいでしょう」というような感覚にはなりません。とてもフェアな作品だと感じます。


②クローズドサークルにおける臨場感

シリーズの3作品はすべてクローズドサークルもので、臨場感たっぷりです。特に『兇人邸の殺人』は、先の見えない怖さがあり、ページを捲りながら気が気ではありませんでした。


ミステリーを読むとき、一般的には探偵役やその助手役は無事だろうという前提があると思うのですが、明智も葉村も剣崎も、探偵や助手とはいっても大学生であり、危うさがあります。このため、彼らも含め、登場人物たちが無事でいられるのか、気を揉みながら読み進めることになります。


③明智、葉村、剣崎のキャラクター

探偵やその助手である明智、葉村、剣崎のキャラクターが素敵です。一人ひとりの性格も、掛け合わせたときの空気感も好きでした。


事件解決への道筋の中に、葉村と剣崎の関係や自身の役割への悩みなどが織り込まれていますが、そのバランスも良いです。人間関係のストーリーが、ミステリー部分を邪魔することなく、むしろ厚みを生んでいると感じます。



『兇人邸の殺人』の最後には、とある懐かしい人が登場していました。続編があったら嬉しいです。


『屍人荘の殺人』シリーズ、ぜひ皆さんも読んでみてください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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「雪のクローズドサークル」作品はこちらから↓


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