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「りんりんジオ散策」 〜サイクリングでジオトレイル体験〜

自転車で走ると、車で通るときには気づかなかった小さな坂道やゆるやかな起伏、不思議な曲がり角などに出会います。実はこのような身近な景色の中に、太古の海や川、段丘などの特徴的な地形があり、人々がその特徴をたくみに利用してくらしてきた歴史があることに気がつきます。

https://who34j.hatenablog.com/

ジオトレアカデミーのジオトレッキング研究会には、ブログ WHO34J’s blogの著者「WHO34J」さんと、筑波山麓りんりんツアー を開催しているチーム36のメンバーのKさんという、ジオとサイクリングのスペシャリストがいらっしゃいます。

筑波梅林の梅まつり初日の土曜日に、WHO34J’s Blogでおすすめしている「旧筑波鉄道沿線おすすめコース02」を案内していただきました。


旧筑波鉄道沿線 おすすめコース02 体験記

梅林はまだ3分咲きだそうですが、予想最高気温は約15℃、青空が広がる快晴でサイクリングにはもってこいです。これは贅沢な自転車旅となりそうです。
写真を中心に体験の様子をご紹介します。主な見どころについての詳しい案内は文中にWho34J's Blogのリンクを貼っておきましたので、そちらからご覧いただくと、より楽しめるかと思います。

まずは筑波山口で自転車をレンタル

朝9:30に筑波山口(旧筑波鉄道筑波駅前)に集合。土日祝日は駐車場がすぐいっぱいになってしまうので、早めに到着します。
みなさんはマイチャリですが、私は持ってきていないので筑波山口にあるつくば市レンタサイクルで自転車を借ります。

つくば市レンタサイクル(1日500円、ヘルメットの貸出しもあります)

走る前にはABCDチェック

まずは、出発する前に自転車の状態を確認します。ABCDチェックと教えていただきました。
A=Air(”空気圧”を確認)、B=Break(”ブレーキ”のききを確認)、C=Chain(”チェーン”にサビや緩みがないか確認)、D=Drop(自転車を”ドロップ”(少し持ち上げて落と)して、ハンドル、サドルなどに緩みがないか確認)ということで、自転車のタイプに関わらずこれらのチェックは安全かつ快適に走るためには必ず必要とのことです。「ABCD」、覚えておきましょう。

空気圧をチェックしているところ

いよいよ出発!

この「おすすめコース02」のテーマは「段丘上に発展した北条の町並み~北条用水をたどる」です。
まずは桜川中流ジオサイトに向かって出発!

桜川中流ジオサイトへの道中。今日は梅まつりの初日で幟が立っています。

桜川中流ジオサイト

途中、禊橋(みそぎばし)を渡ります。禊橋は昭和61年3月に完成した比較的新しい橋です。近くには蛇行した古い河道が残っています。

禊橋から桜川下流方向を見る。左に見えるのは北条用水の取水堰。

上の写真のバルーン堰の支柱があるあたりが桜川中流ジオサイトです。
通常は河原への立ち入りは禁止となっているようなので、ここではジオパークの説明看板でガマンします。

桜川中流ジオサイトのジオパーク説明看板

中菅間(なかすがま)の集落を通って、中貫橋でまた桜川を渡ります。

中貫橋から桜川上流方向に見える筑波山

ところで、桜川の両側に広がる桜川低地は、広いところで幅2㎞ほどあります。現在の桜川の水量(今は冬季で少ない時期なのでしょうが)では、このような広い低地帯を作るのは難しいのですが、ではこの桜川低地は、いつどのようにできたのでしょうか?
その答えは「桜川中流ジオサイトの説明看板」に書いてありますので、見逃さないように注意しましょう。

北条用水

中貫橋を渡って、大貫の集落付近に来ると北条用水が流れています。

大貫の集落近くを流れる北条用水

つくばりんりんロードの常陸大貫駅跡の休憩所の辺りは、田んぼの向こうにそびえる筑波山が一望できます。
ここは古代条里制の遺跡があり、昔から稲作が行われてきた場所です。

田んぼの向こうに見える筑波山。この田んぼは、古東京湾の時代は海だったところ。

多気山が近づいてきました。多気山には中世の城跡遺構が残されていますが、個人の所有地なので入ることはできません。
周辺には多数の古墳が分布しており、写真の土塔山古墳も、その一つです。近くの杉の木地区(写真の看板のあるところ)からは古墳にたどり着くことはできませんでしたが、花崗岩の磐座と稲荷神社があり、神社まで軽く登ってきました。

杉の木地区にある土塔山古墳の説明看板

多気太郎義幹の墓

杉の木地区を過ぎて、北条用水に沿って進みます。
しばらくすると、この北条用水を作ったといわれる多気義幹(たけよしもと)の墓と伝えられる五輪塔があります。

多気義幹の墓

北条の街並み

北条の街並みに入ると交通の多い車道になります。気をつけて走りましょう。

つくば道はここから始まります

そろそろお昼時も近いので、北条にあるカフェ・ポステンでランチ。ここは昭和初期の郵便局舎を利用した古民家カフェです。
カレーのいい匂いに誘われ、みなさんカレーを注文。北条米を使ったカレーは美味でした。食後の珈琲もGood!

カフェ・ポステンのカレーライスのプレート

北条は歴史を感じられる街。下の写真の八坂神社も、古墳の上に社が築かれています。

八坂神社

古東京湾の地層

北条の街を抜けて平沢地区に向かって走ってきました。
ここは段丘の上になります。古東京湾が広がっていた時代は、ここまで海だったんですね。

民家の裏に見られた段丘斜面途中の地層(ロームが上に載っているのがわかる)
段丘の上にあるブドウ畑とワイナリー

平沢官衙遺跡

平沢官衙(かんが)遺跡は、一つ小さな谷を挟んで平沢地区にある段丘の上にあります。この近くには古墳群が点在しており、古代はこの辺りがこの地域の中心であったことが想像されます。

復元された平沢官衙遺跡を望む。ちょうど野焼きが終わった時期のようです。
官衙遺跡入口の駐車場にある平沢・宝篋山ジオサイトの説明看板
中台一号古墳。石室が露出しています。

時間は14時半近くになろうとしています。
本来のコースは、ここからりんりんロードを通って筑波山口まで戻ることになりますが、好奇心旺盛な我々は、追加コースである「おすすめコース02-1」も廻ってみることにしました。

山木の化石カキ礁

桜川低地を横切り、君島集落を抜けて山木の桜川河畔までやってきました。
ここは、川の対岸(右岸)にマガキの化石が密集している様子を見ることができます。
残念ながら近くにいってみることはできません。双眼鏡を用意しておくべきでした(; ;)

水面近くの地層に白くカキが密集している

泉子育観音 慶龍寺

今日の最後の見どころは、泉集落の子育観音です。

泉子育観音 慶龍寺の鐘楼

ここで、今後もジオサイクリングを楽しめるよう安全と健康を祈願して、筑波山口に向かったのでした。

「WHO34J’s blog」には、コースの紹介や見どころの解説、ジオの基本的な事柄についての解説が紹介されています。ぜひ一度ご覧ください。

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