コロナ禍!京都旅行その4(嵐山その2 竹林、常寂光寺、人力車)
天龍寺の庭を奥まで進むと、裏の出口を発見した。その出口からは有名な竹林の小径(こみち)に行けるということだったので、そこから寺を後にした。道に出て、人の流れに合わせて左を見ると、観光ポスターなどでよく目にするあの道がすぐ眼の前に続いていた。京都らしく、着物を着ている人もちらほらいる。
竹林に入ると日光が遮られて少し涼しい。この道は全長400メートルということだが、ポスターで見たときのイメージよりも短く感じた。がっかり、とまでは言わないが、自分がもう少し壮大なものを期待していたこに気がついた(観光地ではよくあることだが)。
竹林の小径を抜けたところにある三叉路を右へ曲がり、山を下って、今度は常寂光寺(じょうじゃっこうじ)を目指した。「予備知識がゼロのお寺に500円...。」と思いながらも拝観料を払って門をくぐり中に入ると、そこは一面苔に覆われた、まるでシシ神の森のような世界だった。
様々な花が咲いており、所々に石仏が置かれていた。
例によって観光客はほとんどおらず、非常にゆったりとした時間が流れていた。庭を登っていき、一番高いところまで行くと、そこから嵐山の街を見下ろすことができた。
帰りに乗るトロッコ列車の時間を気にしながら来た道を帰っていると、いつのまにか蚊に噛まれていた。観光客が少なくなった場所では、蚊もさぞかし困っていることだろう。寺の雰囲気のせいか、そんな慈しみの心を抱きながら私は寺をあとにした。
トロッコ列車の駅に着いたが、まだ30分以上は時間がある。少し休んで待っていようかと思っていたところに、「こんにちは!」と元気よく声をかけられた。見ると、人力車の車夫さんである。筋肉質な体型と、明るい笑顔。二十代半ばといったところだろうか。
こんなお金もろくになさそうな男に声をかけてきているところを見ると、人力車業界もやはり逼迫しているのだろう。巧みな話術にのせられて話を聞いていると、3000円のコースからあるようだ。所要時間やコースも、トロッコ列車に乗るまでの暇をつぶすのに丁度良さそうだったので、これはチャンスかもしれないと思い、人力車に初挑戦することにした。
人力車本体は約80キロ。私の荷物と体重を合わせると130〜140キロくらいの重さになるはずだが、大ちゃん(車夫さん)は軽々と引っ張っていく。バランスさえとれば意外と軽いそうだ。
乗り心地は思ったよりもかなり快適だった。人力車は振動もなく、非常にスムーズに、まるで空中を滑っていくかのように進んでいく。サンタさんのそりはこんな乗り心地かもしれない。嵐山の豆知識をもらったり、途中の竹林で写真をとってもらったりしながら、約15分の楽しい人力車体験を終えた。
トロッコ列車が駅に入ってきた。これは渓谷をゆっくりと進み、森や川を身近に感じながら進む列車である。全席指定だが、乗客が少ないため実質どこにでも座ることができた。壁や窓の無い車両に乗って、風を感じながら列車に揺られた。
アナウンスで何か言っているが、風と列車の音で何も聞こえない。まして川のせせらぎを楽しむどころではない。
景色はもちろん綺麗だったのだが、列車とは本来こんなにもうるさいものなのか、と全く的はずれな感想を抱いたまま列車は終点駅に吸い込まれていった。
その5に続く。
その3↓
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