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喘息プログラマー(点滴しながらプログラミング)

こんにちは。
先日リモート会議がありまして、売上が下がっているという議題に対して非常に重い雰囲気の中、勇気を振り絞って意見を述べたところ、マイクがミュートになっており、誰にも気付かれることなく会議が終わって絶望している今日この頃です。

さて、今日はプロフェッショナルについて話をしたいと思います。

実は数日前から体調を壊しまして、喘息発作と闘っておりました。
(ゼロ歳から共にしている喘息についてはこちらに書いてあります)

長いこと付き合っている病気ですので、発作が起きる前触れみたいのがあって私の場合は以下の3つがトリガーとなります。
1.疲労
2.急激な気温の変化
3.ストレス

今回は3でした。
強烈なストレスがトリガーとなって発作が起きました。もう殆ど発作など起きないんですけどね。いやぁ、管理職はつらいです。

発作が起きるとどうなるか?

えーと、単純に息が苦しいです。
横になるとさらに苦しいです。寝れません。
睡眠不足になってさらに悪化し、悪循環に入ります。
この状態で食べられなくなると病院直行、入院です。点滴生活となります。

喘息発作が起きたとき、まず食べられるうちに手を打ちます。
気管支拡張剤の出番です。口で吸い込むタイプの噴射する薬です。
この気管支拡張剤は喘息発作が起きたときの生命線となります。
私の持っているやつは1日に8回までしか使えません。
なぜなら使いすぎると心臓に負担がかかり最悪は・・

ということで、食べられるうちに食べて、気管支拡張剤を吸って喘息が弱まったすきに寝るわけです。
そして睡眠をしっかり取り、食べて、吸って、また寝て、好循環にもっていくわけです。

大人になれば体力がつくので発作が起きても薬のおかげで何とか乗り切れます。
が、あくまでもこれは仕事が休めればの話です。

私は過去に自分が喘息であることを会社に隠していたことがあります。
(今働いている会社にはカミングアウトしています。こんな私でも受け入れてもらっています)
当時勤めていた会社はSES業務100%だったので病気持ちだなんてとてもじゃないけど言えませんでした。病気があると出向先の面接が通らないんですよ。(SESの業務形態についてはまた別の機会に)
なので、喘息が起きたら風邪と言っていました。

そんなSES時代のある日、最も恐れていたことがおきます。
プロジェクトの納期が迫っていて残業と寝不足が続き、疲労をトリガーにして喘息発作が起きてしまったのです。
チームメンバーの半分は毎日徹夜している状況で、簡単に休める状況ではありません。サブリーダーだった私はどうしても「休みたい」と言えませんでした。

そこからは地獄です。

喘息は気温が下がる朝と夜に発作がおきます。発作が出たら気管支拡張剤を吸ってごまかし、発作がおさまっているうちにプログラミングしました。
休ませてほしいという気持ちと、ここで負けたらチームのみんなに申し訳ないという気持ちが戦っていました。

そんな無理をしていたもんだから発作がひどくなってしまい、気管支拡張剤があまり効かなくなり、ついに私は半休をもらって病院に行くことになります。
点滴を打ってもらって、そのあと会社に行ってプログラミングを続けました。

昭和世代なのか、ただのバカなのか分かりませんがとにかくその時は目の前にある仕事が自分のすべてだったのです。

「なんとしてでもこのプログラムを動かす」という執念みたいなものが病気よりも勝っていたんじゃないかと思います。

当時、IT業界はどの会社も仕事がありすぎて、よく言えば絶頂期、悪く言えばブラック全盛期でした。大きい仕事を受注すると先輩から「鉄の納期」と脅されました。
これは、受けた仕事の納期は必ず守らなければならない。どんな理由があるにせよ絶対に伸ばすことができない期限ということで、その会社では鉄の納期と言われていました。

私はこの鉄の納期を守るため、点滴を打ちながらひたすらプログラミングして、なんとかシステムを納めました。納期1日前でした。

後にも先にも点滴しながらプログラミングしたのはこの時くらいしかありません。今では全くもって考えられないです。
でも現実に当時のIT業界は労働時間が400を超えるという会社がざらにありました。
まさに黒歴史、ブラック全盛です。

この経験で嫌というほど納期の恐ろしさを知った私は、プログラムは動いてなんぼであり、納期に間に合わせてこそプロであるということに気付かされます。

「どんなに美しいソースコードであっても納期に間に合わなければただのゴミである」

「いかなる状況であってもプロは納期に間に合わせる」

尊敬する先輩からいただいた2つの非常に重い言葉です。

プロはなぜプロと呼ばれるのか?
プロと呼ばれるためにはどうしたらよいのか?

私はIT業界がブラック全盛期の頃、この問いの答えを見つけました。
そして今、新人教育において先輩から教わったことをそのまま教えています。

「プログラムは動いてなんぼである」

そう、どんなに美しく合理的に書かれたコードであっても動かなければただのゴミであり、汚かろうが非効率だろうが納期に間に合わせてこそプロと言えるのです。

ではまた。



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