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藤沢「すい庵」「カフェ パンセ」「天嶽院」「富士見湯」「里のうどん 南藤沢店」

天嶽院(てんがくいん)というお寺に紅葉を見るついでに、美味しいものを食べようと思って藤沢に行った。

私の家から藤沢は全く近くないのだが、海が近くて景観の良い地域で個人的に好きだった。

また以前に男女関係であった女性と江ノ島にデートに行った帰りに藤沢で飲んで帰った思い出があり、私にとっては思い入れのある街でもあった。

それでも行くのは6年ぶりぐらいかもしれない。

久しぶりに降り立つと懐かしい駅の様子に胸が高鳴った。

最初は「すい庵」という蕎麦屋に行った。

運良く席に座れたが次から次にお客さんが入ってきて常時満席という店だった。

店員さんも忙しそうで「提供までに少しお時間いただきます」と言われたのだが、蕎麦は想像以上に早く提供された。

注文したのは穴子天とろ(2400円)だ。

名前の通り、とろろがあるのが特徴的で、このとろろにそばつゆを垂らして、そこに蕎麦を浸けて食べる珍しい食べ物だ。

蕎麦自体も太くてコシがあり独特の食感だった。蕎麦の量が少なかったので大盛りにすれば良かった。

穴子天ぷらも用意されたわさび醤油に浸けて食べると非常に美味しく、個性的な味わいだった。

すごく美味しかったのだが2400円は結構高いなというのが本音で、良くも悪くも値段相応のものを食べたという印象だ。

店を後にすると次は「カフェ パンセ」に向かった。

2階にあるカフェなのだが、透けてる窓ガラスから遠目に見ただけでも混雑しているのがわかった。

人が多いカフェは嫌だなと少し躊躇していたのだが、看板に載っていたタルトが美味しそうだったので店に入る事にした。

メニューは元から豊富な上に季節限定のタルトが充実していた。

私はかぼちゃブリュレタルト(500円)とブレンドのロア(中煎り)(550円)を注文した。

周りは女性だらけで、もれなく友人達と談笑をしていた。男1人で少し場違いな気もしたが、ケーキを食べたい欲望には逆らえないのだ。

また店員さんは赤毛のアンのような三つ編みで、とても可愛らしく思えた。

こんな事を書くと変態のように思われるかもしれないが、事実として変態なので受け入れてほしい。

そんな事を思っている間にタルトとコーヒーが提供された。

コーヒーも非常に飲みやすくて美味しく、コーヒー専門店と言われても驚かないぐらいのクオリティだ。

そしてタルトも絶品だ。近くだったらテイクアウトしてでも食べたいような品だ。甘さ控えめなのも良かった。

これだけ美味しければ流行らないわけがないだろうと納得した。充実した時間になったので行ってよかった。

店を出ると天嶽院まで30分ほど歩くことにした。

30分という距離は普通の人は歩きたがらないのかもしれないが、私は知らない街並みを眺めるのが好きなので良い気分転換になった。

天嶽院は事前に写真で見ていて、どのようなお寺か何となく知った気になっていたのだが想像以上に大きかった。

寺の入り口にお地蔵さんや大きな観音像がありインパクトがあった。

紅葉は時期を誤ったか、写真で見た印象ほど綺麗ではなかったが良かった。

お参りをすると意味もなく広い境内を歩き回った。

仕事の兼ね合いで墓園に興味を持つ機会があり、親族が入っているわけではないのだが墓園も歩いた。

立派な墓園で驚かされた。また高台にあったので眺めも良かった。

寺を出ると元来た道を歩いて次の目的地である銭湯に向かった。

歩きながら空を見上げると様々な雲が入り混じって、尚且つ夕暮れ時の暗さも相まって「邪悪な空だ」と思った。

私は中学生の時に重い厨二病にかかり、その時から語彙力が未発達となり稚拙な表現しかできなくなってしまったのだ。

しかし、自分の思った感想を大事に素直に受け止めようと思った。そう、この空は私が邪悪だと思ったのだから、邪悪なのだ。

何か私の心のわだかまりを、空が表現しているように感じた。

その後「富士見湯」というビル銭湯に入った。

サウナ利用を希望したら番台さんに「混んでるけど大丈夫?」と言われた。

利用者数を聞いたら13名で、サウナ室は定員5名とのことだ。

前に中野の銭湯で30人ぐらいの同時利用者がいる時に入ったことがあったので、13人ぐらいなら何とかなるだろうと思った。

確かにサウナ室は混雑していたが5分も待てば入ることができた。都心部の銭湯サウナに比べたら、これぐらいの待ち時間はなんのそのだ。

途中で背中にタトゥーがビッシリ入った人が順番待ちの列を無視して入っていったが、他の人も何も言わなかったし、そういうものなのだろう。

村のしきたりに余所者は不用意に触れてはいけないのだ。

なんでもどこかの大学がスポーツの大会で藤沢に来ているらしく、学生達がしきりにボクシングの話をしていた。

常連さんもその話に混ざって「ボクシング?すごいね?減量してるの?」なんて話していて永遠と談笑が続いていた。

また定員5名のサウナに学生さんがぎゅう詰めで入って7人ぐらいで使うものだから、サウナ室内は男連中でむさ苦しいこと、この上なかった。

スーパー銭湯でこんな談笑が続いていたら客からクレームの1つでも入りそうなものだが、ここは公衆浴場、地域民の交流の場として使われても良いのではないかと思った。

温度は低いサウナ室だったが15分ぐらいじっくりと入ればしっかりと温まった。

水風呂は17度と公衆浴場にしては冷たくて、整い用のベンチがあるという良い環境も相まって、しっかりと整った。

すごく幸せな整い時間だったが、それを侵食するかのように突然元カノのことを思いだした。

以前は同棲していて結婚も考えた元カノとの楽しい日々が思い出された。

良い関係を築けていたはずなのに私の身勝手で終わりにしてしまった関係だった。

この1年ぐらいはすっかり忘れていたはずだったのに、急に思い出したのは、やはり同棲していたのが神奈川県内の小田急沿線の駅が最寄りだったからだろうか。

どうも神奈川にくると昔のことを思い出してしまうのだ。そして、それはとても幸せな時間を過ごしていればいるほど、その時間を台無しにするかのように蘇るのだ。

それでも完全に忘れたくはない思い出だから、こうやって脳のどこかに保存されているのだろう。

たまには思い出す意味もあるのではないかと、失った悲しみを受け入れて、乗り越えていく必要もあるのかなと感じた。

外に出ると相変わらず胃腸は不調だったのでお酒はやめてクラフトコーラを飲んだ。

コーラを飲み終わると最後の予定である「里のうどん 南藤沢店」に向かった。

こちらの店はうどん屋にもかかわらず、藤沢名物の「バラ丼」を提供している事で有名な店だ。

バラ丼セット(バラ丼+ミニうどん)(1177円)を注文した。

食べてみると甘辛の味付けが非常に好みで、名古屋の味噌カツや、吉野家で期間限定で提供される牛焼肉丼などの味が好きな人には好ましく感じられた。

マヨネーズをかけるとジャンク感が増して、より美味しく感じられた。

キャベツも大量なので見た目のイメージよりも後味サッパリに感じられた。

うどんは特筆するようなものではなかったが箸休めに良かった。甘い油揚げが美味しかった。

正直、あまり期待していなかったし別の店でラーメンを食べようか迷っていたのだが、想像以上に好みの味だったので行ってよかった。

こんな感じで、ほとんど家を出る前に立てた予定通りに進んだし、紅葉は想像よりは微妙だったが、食べ物が美味しかったので良かった。

色々と辛いことを思い出す地域でもあるが、また神奈川県にも足繁く通おうと思った。

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