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若者向けの中間支援を続けることの大事さ

鳥取県でNPOを経営するゲンヨウです。主に若者×地域の文脈で企画を作って実施していくことをやっています。今年は、高校×地域について僕らの役割を広げられないかという仕掛けをやっていたので、その辺の共有をしていこうと思います。

1.関係する場の整理

(1)若者にチャレンジの場を(県政)

若者にチャレンジの場を作ろうという施策を今年は鳥取県庁とやっていまして、”とっとり若者活躍局”という事業で補正予算を活用し(選挙年度なので当初予算は骨格予算でした)夏から始まってました。メンバーは高校生から39歳までが対象、県内全域から40人弱が集まり、定期的な会議と県政への提案、自分たちのプロジェクトへと下半期で駆け抜けています。

自治体がこういう機会を作る事は良いことでもあり、どうサポートするのかが行政だけでは見えないということで、協力しています。僕らも20年の大学生プロジェクトの伴走ノウハウを活かしながらやる感じです。建物はなく限定的ではありますがユースセンター的な動きです。

(2)高校授業の探究学習の受け皿として

この2年くらい、いくつかの高校の探究学習の受け皿(テーマ)としてbankupや大学生プロジェクトが声掛けいただいたりしていました。その中で、鳥取東校の学生さんとは2年連続テーマとして選んでいただき、テーマ
について考えてもらって、中間報告で意見交換、最終報告を聞きに行くという感じでした。

他の授業もそうですが、数回授業に参加するというカタチでの関わりになります。

上記の2つの関わり、(1)は意欲のある人たちが県内広く集まる場、(2)は同じ学校同じ属性で授業という強制力が働くものでの参加でした。

2.関わりの導線から、授業が持つ可能性

これまでは(1)のような場所に呼ばれることが多かったり、大学生にそういった場を提供してきた経験が多いです。これを”募集型”とする場合、元気でいろいろやっている、情報感度が高い、リーダーをしているという同じような学生・生徒が集まる傾向があります(地方あるある)。

大学生の場合、どの機会にも顔を出してくれる○○君、△△さんみたいな感じです。昔の自分もその一人だったなぁと思いますし、そして、みんな忙しいことが多いです。地方創生とか地域活性化という言葉が一般的になってきたので、やってみたい大学生は多く、地域系のサークルや学生団体は増えたなと感じています。まだやってみたいという声に対して、動いている学生は鳥取においては限定的ではあると感じます。

高校生は、”部活”に所属している場合が多く、自由に使える時間=部活となる傾向が強いため、地域企画に関わる時間的な余裕がありません。募集型の場合、高校生の参加人数を多く求めるのは難しいと感じています。興味がある生徒さんはいるのですが、なかなか参加までいかず、複数校に声をかけても数人の参加者になります。

そんな感じで”募集型”については、参加の導線を大学や教員などを連携しながら丁寧に作る事、段階的な参加の仕組みも作らないと参加者を増やすのは難しいと感じます。

(2)の導線は”授業型”と呼びますが、授業なので参加する生徒さんのモチベーションがバラバラだったりすることはあります。一方で授業に参加している人が必須になるので、参加人数が圧倒的に増えます。内容は、調査や非リング、情報発信、アイデア出しなど少ない時間でできることが多いですが、やりようによっては、アイデアをカタチにするような次への導線づくりが考えやすくなります。

そんなわけで、授業をベースとした地域との関りについて先生などにも話を聞いてみることにしました。

3.学校現場での課題・悩み

いくつかの現場に触れてみて、高校の先生方などと意見交換をしたうえでの課題を整理します。

(1)地域との接点をどう作り続けるのか

受入れてくれる企業や地域団体を学校が探したりお願いしたりするのには、つながりが必要です。地域への接点は管理職などが多く持ちますが、異動の多いポジションなのでなかなか学校にデータベースとして残りにくいです。

先生方が探究学習などを始めていきながら貯めていくこともできますが、先生方も忙しく属人化しやすいのが現状で、担当の先生がいなくなるとつながりが薄くなってしまう。何よりインターネットくらいしか探す方法もないので、地方の面白い企業などを見つけるのも大変なのが現状です。街中の学校ほど難しそうです。

そんな中で、地域(合併前旧町村や町などのサイズ)に1つの高校で、地域側も残したい動きを起こしている、連携関係があった学校については、地域全体で盛上げたり、中学校とも連携をしているので、既に支援ネットワークが組めているところもあります。そういう場所は地域側が、支援人材・関係事業所のデータベースになっています。

(2)受入れ体制の構築や講義との関わり方の設計が不十分

外部の人との関わりがあるので、授業や活動で関わり方を設計する必要があります。何回授業に参加するのか、そこで何をするのか。ポイントや何をするかが明確になっていないくて、中途半端な形になっている場合があったりします。

特にテーマ設定についてがポイントで、設定方法で関わり方が大きく変わったり、結果・成果にも大きく関わります。探究なので生徒側が軸ですが、企業や地域のことは知らない場合もあるので、知ってもらう流れを入れたり、視点を組み立てたりする必要が出てきます。企業側でテーマを一方的に決めても、背景や狙いなど事前情報が入っていないと、課題周辺についての理解ができず、意図した方向に着地しないことも多くなります。

(3)授業を越えたところでの実践をどうつくるか

授業で自分の気になるテーマを見つけたあと、深めたい生徒がいても、地域活動系の部活はまだまだ少なく、先生方もそこまでフォローするのは難しいことが多く(学校規模や生徒人数にもよります)。受入れ先になる場所をフォローする仕組みもほとんどありません。

アイデアを考えることから、それをカタチにする。形にしたものを踏まえて振り返って、次のチャレンジに挑む。その流れが本来的には作りたいけど、たまにいい感じではまることが出来たりするけど、なかなかインフラとしての機能があるわけじゃないです。学校の先生の超頑張りと地域側の受入れ環境がハマったらうまくいったという感じでしょうか。

4.ユースワークという視点

こういった流れをサポートする流れとして、ユースワークという視点があります。僕らがやってきたことも、ユースワークなんだなと思うのですが、これをうまく高校と連携できないかと考えています。僕の役割は、どちらかというと先生の支援が最初かなと思っています。

それを深めるために、今月の下旬に尼崎市にある尼崎ユースセンターという全国でも一番進んでいる場所と、地方都市ということで青森県五戸町にあるユースセンターの運営に関わる組織の2か所を視察、意見交換をしてきました。

もと大学施設を活かした、尼崎のユースセンターはハードを含めた環境もすごいのですが、ユースカウンシルという若者の声を施策に反映したり、それに付随して若者がNPOを作ってやりたい事を街で形にしていくのをサポートしていたりします。それを足掛け3年とかでやっている。その伴走体制がすごいです。関係クラファン実施中なので、ぜひ、応援を。

五戸のセンターは、僕ら鳥取との共通点が多く、こどもたちの移動手段であったり、既存の部活との兼ね合い、絶対的な人数の問題など、現場で工夫されている部分、まだまだ悩ましい部分などについてお話しできました。

拠点だけでなく、こちらは、地元高校の先生との連携をうまくやられていて、外部の調整やユース―ワーカー自体が学校にゲストで来て話すなどの対応まで関係性を作っておられました。学校の関りから、ユースセンターの拠点やプロジェクトに関わりを広げてくれる例もあるようなので、授業⇔活動というのはアリな気がしました。

5.若者が街に関わるために

冒頭の写真は、とっとり若者活躍局のプロジェクトで商店街のシャッターにペイントをやった最近のイベントの写真です。企画その者は若者チームに進めてもらいつつ、半年で区切りを迎える企画でもあったので(県事業)、部分的にサポートをしました。

申請書関係の作成や、状況に応じて許認可申請
現場で動けるプロ(今回なら塗装屋さん)をつなぐ
周辺住民などへの説明のサポート
実施予算(これは県費)→執行までのサポート

など、若者だけでやるには実現へのハードルが多く、いろいろな経験値や関係性をもった組織がサポートすることでスムーズにできます。こういった中間支援機能をもった組織としてbankupのいる意味は大きいなと再確認できた時間でした。

この機能を継続的にやっていくためには、仕事として確立していくことも大事ですし、フォローノウハウを組織に蓄積していくことも大事です。そこまで仕組みに組み込むことを、この2-3年で実装しながら進めていきたいと考えています。

今日はここまで。






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