本は死なない。が、古風な読者は消える
文字は石板や粘土板から、紙になって、電子にうつる。
あらゆるものをアナログからデジタルに置き換えて便利になったねーと楽しむ現代。とりあえず電子化したら利益になると思っている人間も2020年ではまだまだ多い。アナログからデジタルへ。これを革命と呼んでワクワク楽しんだり。
しかし真の「革命」とは痛みを伴うもの。実行者本人も戸惑う部分があるらしい。望まない者も付いていけない者いる。この書籍では、本の電子書籍化という革命を実行した本人が、その良し悪しをすみずみまで考え悩んだ記録だ。
本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」
革命にはリアクションがある。
著者は大の紙の本の読書好きで古書収集家。紙の本の匂いや肌ざわり、栞のひとつにまで思い出と愛着がある。古本屋や図書館も愛している様が読んでてまじまじと伝わる。しかし彼はAmazonの重要人物となり2007年の初代Kindleを送り出した中心人物だ。先んじて端末を発売したソニーよりKindleの凄かった点は、Amazonのマーケットを使って電子の読書環境そのものを充実させたことらしい。事実、電子書籍はいまでは当たり前になった。著者はその過程で、電子書籍反対派が発射するであろう意見やクソリプのあらゆる面を考えている。例えば、
電子書籍だったらサイン本とかないよな~
みたいな。確かにね。まず面白いのは「本」をあらゆる要素に分けている点。アナログ面、ソフト面、ハード面、環境、ビジネス、教育、読者像などなど。そして俺は考える。本というか大事なのは「読書する」ことなのではと。存在自体が人類にとって切っても切れない文化である。本(読書)。俺の代わりに著者がたくさん考えていてくれて感謝です。
著者の見解をまとめる以下だ。
・紙の本を愛している
・電子化の流れは必然
・図書館の規模縮小は仕方ない
・でも古本の思い出が消えるのはさみしい
そもそも本を読まない人には関係のない話だろうけどね。大昔、ソクラテスは文字での伝承を愛がないから拒否したらしい。口承一択。その当時世界一頭がいいと言われていた男でさえ革命のリアクションは様々だった。いい例え話。いまそんなジジイがいるとしたら仕事なさ過ぎて確実に闇稼業。結局、2020年代生まれのチビッ子達が電子書籍を拒否するわけないし紙の本は「あえて持つ」世代に替わっていくのは自然なのでしょう。
この自然な流れを見極め、流れの速さの通り上手く受け入れられるかが大切なように思います。
これから世界中の書籍が電子化していったら…?
著者の予測で一番実現希望なのが、作者や作品のデータをかき集めて作った仮想人格。例えばサイバー・ソクラテスを作って、読書じゃなく直接質問に答えてもらうってこと。
俺「ねぇソクラテス~。嫌いな弟子は~?」
ソ「プラトンが断トツでありえん」
さらにはその本が参照している作品をハイパーリンクでつなぎ合ってすぐ読めるようになる。wikipediaでアメコミヒーローについて調べたら関係者多すぎて延々と読んでしまった大学生の頃を思い出したり。そんなことを著者は予想しているが俺は、サイバー・孔子vsサイバー・老子(40分1本マッチ)が見てみたいと思います。
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この本が出版されてから7年が経っている。
著者が予想した読書環境と当たっていたりそうでもなかったりだが、2016年俺が紙の本でこれを読んだとき一番衝撃を受けたのが、
【旧約聖書の半分は消失している】
すでにエッセンス版やん!
半分もないのに原典としてこれを信じているの!?
とピュアな驚きだった。焚書は絶対悪という考えを持ったきっかけとして覚えている。そして2020年。自分でスキャンして電子書籍化した本書をKindle paperwhite で読み終えたのは感慨深い。いやエモい。
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