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【書評】サイモン・バロン・コーエン「自閉症スペクトラム入門」

今回はサイモン・バロン・コーエン「自閉症スペクトラム入門」(原題は、「Autism and Asperger Syndrome The Facts」)の書評です。

本書は、全7章構成で、各章のタイトルは、

第一章 2人の自閉症スペクトラムの人との出会い
第二章 自閉症の有病率の変換
第三章 自閉症スペクトラムの測定
第四章 診断について
第五章 自閉症とアスペルガー症候群の心理学
第六章 自閉症とアスペルガー症候群の生物学
第七章 介入、教育、治療

となっています。全体的に、図表や写真が多く使用されており、本文の理解を助けてくれます。また、巻末には、自閉症スペクトラム指数(AQ)の日本語版も収録されています。

本書の目玉となるのは、典型的な自閉症とアスペルガー症候群の児童を対比しながら、その特性の共通点と差異を説明する第一章と、自閉症スペクトラムの特性を心理学による五大仮説で説明する第五章、自閉症スペクトラム障害の原因についての考察である第六章です。

なお、自閉症スペクトラムを説明する心理学による五大仮説とは、

・実行機能障害仮説
・弱い中枢性統合仮説
・マインドブラインドネス仮説
・共感化ーシステム化仮説
・大細胞仮説

となっています。また、五章の終わりには、様々な自閉的行動(文字通りの解釈、融通の利かなさ、優れた記憶力...etc)が、五大仮説のどれによって説明できるかの早見表がついており、自身の特性理解に役立ちます。

こんな人にお勧め

・一冊でASDの全体をしっかり知りたい人に
・ASDの理論的なテーマに触れたい人に
・専門書を読む前の知識整理をしたい人に










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