亡くなった人が、あなたに知ってほしい40の真実 #4
10万部突破のベストセラー『亡くなった人と話しませんか』の著者、第二弾!幼い頃から、普通の人にはみえないものがみえるなど、不思議な力をもっていた著者のサトミさんは、スピリチュアルテラーとして、亡くなった人の言葉を相談者に届ける活動をしています。最も「してはいけないこと」は、亡くなった人への後悔です。
◇ ◇ ◇
真実5 お供えをすると、亡くなった人は喜ぶ
好物を供えることで、死後に仲直りをした夫婦
Iさんの亡くなったお父さんは、ほかの方とは様子が少し違いました。
私が呼ぶと、すぐにきてくれたものの、「何か言いたいことでもあるのか?」と、ちょっとぶっきらぼうな言い方が気になりました。
その原因は、長い間、仏壇がほったらかしになっていることにありました。
亡くなって10年近くが経ちますが、お供えもほとんどなく、家族が誰も手を合わせていないと、腹を立てていたのです。
Iさんにそのことを伝えると、バツが悪そうに「その通りです。仏壇は実家の母に任せっきりで、私もたまに顔は出しますが、ついお線香をあげるのを忘れて帰ってしまうんです」と言います。
「それなら何か、お父さんの好物をお供えしてあげてください。実は、さっきからお父さんの前に焼き魚がみえているんですが……お父さん、焼き魚がお好きでしたか?」と聞くと、Iさんは「あっ」と言って、「はい、夕食に焼き魚が出てくると、晩酌しながらいつもおいしそうに食べていました。帰ったらすぐにお供えします」とのこと。
でも、お父さんは、まだ何か言いたそうにしています。たずねてみると、「女房の焼いた魚がいい」と言います。
なぜだろうと思ってIさんに聞くと、意外なことがわかりました。
Iさんによれば、お父さんが亡くなる少し前、焼き魚が発端でお母さんとの間に夫婦ゲンカがあったそうです。その後、お父さんは病気で入院することになり、結局、それが家で食べた最後の焼き魚になってしまったということでした。
お父さんは、ケンカの種になった焼き魚をきっかけにして、お母さんと仲直りしたかったのかもしれません。
Iさんは、「とにかく母に焼き魚をお供えするように伝えます」と言って、そのときは帰られました。
次にIさんが相談にこられたとき、亡くなったお父さんがお供えをとても喜んでいることがわかりました。それだけではありません。「女房との関係もよくなった」とうれしそうにみえました。
「お母さんに何か変化はありましたか?」とIさんにたずねると、焼き魚以外にも、ときどきお父さんが好きだったお酒を一緒にお供えしているそうです。
「それに、サトミさんにアドバイスをもらって以来、母は仏壇の父によく話しかけるようになったんです。掃除もこまめにしているようで、先日実家に行き、その変わりように驚いていたところです」
お父さんの好物をお供えして、なぜお母さんが変わるのか、Iさんは不思議に思ったようです。でも、「好物を供える」ことで、お母さんは、お父さんとの幸せな過去を振り返ることができたはずです。
何もない仏壇からは会話も生まれませんが、「何か」を置けば、話の糸口ができます。話しかけられると亡くなった人はうれしくなり、あの世で歩く足取りが軽くなります。そして、お母さんに対し、何かしら恩返しをしたいと思う。そのようなしくみで、亡くなったあとであっても、関係性が変わるご家族もいるのです。
亡くなった人に届きやすいのは“香り”があるもの
Iさんのお父さんの場合は「焼き魚」でしたが、基本的には何をお供えしても、亡くなった人は喜んでくれます。
お寿司が好きな人なら、夕飯のために買ってきた握り寿司をお供えして、「大好物のお寿司を買ってきたから食べてね」と手を合わせ、そのあと自分が食べてしまってもいいのです。
お酒が好きなら、ときどきは「一緒に飲もう」と言って好きなお酒をお供えして、乾杯するのもいいでしょう。
亡くなった人に喜んでもらいたい、という気持ちが何より大事です。
たとえば、いただいたお菓子やフルーツなど「これは好きかどうかわからないな……」と思うものでも、いったんお供えして、それから自分が食べるという習慣があってもいいと思います。
今、あなたがこうして生きていられるのは、命をつないでくれたご先祖さまはもちろん、亡くなったご家族のおかげでもあるわけです。
ですからお供えをすることで、感謝の気持ちをあらわすことも大切なのです。
また、「お線香の煙が、亡くなった人のご飯になる」と言われるように、香りがあるものは、あの世に届きやすいようです。お花、炊き立てのご飯、お味噌汁、コーヒーなど、亡くなった人が好きだった“香り”があれば、ぜひ供えてあげてください。
以前、相談にこられた方で「毎朝、亡くなった両親に、日替わりでお茶、紅茶、コーヒーを淹いれています」と言う人がいましたが、ご両親もとても喜んでいて、「自分たちのために、いつもありがとう」と言っていました。
毎日、わずかな時間でも亡くなった人のために使うと、亡くなった人も感謝の気持ちを返してくれます。それによって守ってもらえる機会も増えるように私は思います。
真実6 亡くなった人の“思い”は、形見に宿っている
形見を身につけてうれしい気持ちになると、喜ばれる
「亡くなった母の形見のネックレスを身につけていたら、母に守ってもらえますか?」「出かけるときはいつも亡くなった夫の時計をしていくのですが、夫は喜んでいるでしょうか?」と、ときおり相談者から聞かれることがあります。
答えは、どちらも「はい」です。亡くなった人が大事にしていたものなら、「いつも気にしてくれてありがとう」と感謝しているケースがほとんどです。
また、その方が形見を身につけることで、余計に守られている気がする、安心できると感じるなら、実際に守られていると思います。
ある相談者の場合は、亡くなったお母さんから「自分の指輪を身につけてほしい」とリクエストがありました。
「お父さんに買ってもらった私の指輪、こんな形の、まだある? とお母さんが聞いてはりますけど……」と伝えると、「あります! 私が形見として持っています。それが何か?」と相談者。
「それを、いつも身につけていてほしい。サイズが合わなかったら、みえないところに持っているだけでもいい。そうすることで、いつもあなたを見守れるから。もう悲しまないで」というのがお母さんのメッセージでした。
お母さんの死後、相談者は長いこと落ち込んでいたそうです。生前は姉妹のように仲のよかったお母さんだったので、その喪そう失しつ感かんは自分が思った以上に大きく、亡くなってしばらくは会社にも行けなかったと言います。
そんな娘をどうにかして元気づけたいというお母さんの思いを受け取り、相談者は泣きながら大きくうなずいていました。そして、「これまで何でも相談してきた母を失って、毎日不安で仕方なかったんです。これからは少し気持ちの切り替えができそうです」と言ってくれました。
その方が私のところへ相談にこられたのも、私を介して娘さんを励まそうと、お母さんが引き合わせてくれたのかもしれません。
一方で、形見を常に身につけていると、いつまでも思い出を引きずってしまい、悲しみの底から抜け出せないと思う人もいるでしょう。形見をみるたびに思い出して落ち込んでしまう、あるいは自分には似合わないと思えば、無理してつける必要はありません。
また、亡くなった人の遺品を何でもかんでも捨てずにとっておくことは、あまりよいことではありません。
亡くなった方に安心して成仏してもらうためにも、そして遺族が前を向いて生きるためにも、基本的に遺品は処分するほうがよいといえます。
しかしながら、亡くなった人との思い出や故人のエネルギーが宿っているものを、何か一つ、身につけていることで、お守りになる場合もあるのです。
私も、大好きだった叔母の形見を常に身につけています。叔母はプラチナの指輪を集めるのが趣味で、亡くなったあと、たくさんの指輪が残っていました。それを溶かしてバングルにし、私が持つことにしたのです。
寝るときも、お風呂に入るときも、旅行に行くときも、いつも一緒。20年間、肌身離さず身につけています。一度なくしかけたときは、パニックになりそうでした(笑)。
ただし、「叔母に守ってもらおう」「叔母の分まで生きよう」というわけではありません。最初は形見だと思っていましたが、今では私の宝物になっています。それも一つの持ち方だと思っています。
人によっては、普段はしまっておいて、「大事な日だけ形見を身につける」という人もいます。人それぞれに、形見の持ち方があっていいのです。
一つ、忘れてはいけないのは、「形見を身につけておけば、すべてうまくいく。任せておけば安心」ではないということです。
自分が何も努力しなければ、形見のバングルも“ただのアクセサリー”です。
形見をつけるのにふさわしい生き方をしている自分だからこそ、亡くなった人も応援してくれるということを覚えておいてほしいと思います。
◇ ◇ ◇