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似てるのは外見じゃない! 阿佐ヶ谷姉妹のそっくりエピソード

現在、人気急上昇中の女性お笑いコンビ、阿佐ヶ谷姉妹。今年、文庫化された唯一の著書『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』は、異例の発売即重版が決まりました。最近まで、阿佐ヶ谷の小さなアパートでふたり暮らしをしていた二人。そのちょっと不思議で、心が温かくなる生活をつづった本書より、姉のエリコさんのエピソードをご紹介します。

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犬タイプの姉、猫タイプの妹

見た目が似ているという所が活動のきっかけの一つとなった私達ですが、一緒に暮らしていると容姿以外の部分でも何かしら似かよってきてしまう所があります。

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買い物先で買うものといえば、トマト、豆苗、アボカド、オクラ、納豆、チーズ、牛乳もしくは低脂肪乳。こざっぱりした格好が好きだったり、愛や恋やお金の話より、動物やお笑いの話に花が咲いたり。

お手洗いに行きたくなって腰を上げると、「私の方が、先に行きたいと思ってたのに!」と、テレパシーレベルでしかジャッジできない事を言われますし、キッチンにみほさんがいる時によく、ふらふらとキッチンに行ってしまい、「何でこんな狭い所に同時に来ちゃうの?」と言われたりします。

大体においてみほさんは、性質が猫タイプなので、自分のテリトリーに他のものが侵入するのを好みません。その点私はどちらかと言えば犬タイプ、身内の姿が目に入ると、つい嬉しくなって近づいていってしまい、フシャー! とやられてしまいます。

話がそれました。

最近2人とも身体にガタがきて、私は右手首、みほさんは腰に痛みを少々感じ、整骨院に通いだしたのですが、別々に行動していても、どちらかが整骨院に入ったその5分10分後には、なぜかもう1人が現れる合流現象が起こります。

受付さんが、来た人の名前を隣の施術部屋に通る声で伝え、先生方が復唱するシステムがあるのですが、「渡辺さん受け付けました」「渡辺さんですね~」の少し後に、「木村さん受け付けました!」「フフ木村さんですね~フフフッ」と、いつも真面目に受け答えする先生方のコールに少し意味深な笑みが加わり、うつ伏せに寝ていても、姉妹のワンペア揃った事がわかります。

もはや似ているというレベルではない!

別々に家を出ながら、ドラッグストアやスーパーで再会したりすると、私はちょっと嬉しくてにやついてしまうのですが、みほさんは私の顔を見るとちょっと眉間にシワを寄せ、「いたな」と言います。

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あれはどういうつもりなのでしょう。ものすごく嫌という所までは行っていない感じ、いえ、ものすごく嫌ならそれはそれで本当に困るのですが、ただ、これだけ付き合いが長いのに、にこやかな表情はほぼしないのです。猫が自分のナワバリを歩いていた所で、別の猫を見つけてハッと警戒する、まさにそんな表情です。みほさんはやはり猫なのでしょうか

では、ずっとそのような警戒態勢が続くかというとそうでもなく。

例えばこのようにエッセイを書いていると、みほさんも同じ頃に書いていて、私が書けずに悶々としている時でも関係なく、「これってどう思いますか?」「これ、読んでもらえますか?」と矢継ぎ早に話しかけてきたりします。その上、その文章が面白かったりすると、ますます腹立たしい。

そして、緊張するお仕事場などでは、私がお手洗いに行こうとすると「私も行きます」とつるんできたり、飲み会の席などでも、最初離れて座っていて、しばらくして隣の席が空いて座れるようになったりすると、「いやぁ、お姉さんの隣だと落ち着きますなあ」と、どこのパブの中年紳士だ、みたいな口調で並んできます。

そんな事を言われてしまいますと、犬型の私は「こういう時だけ、調子いいですなあ」とか言いながら、ついシッポをふって喜んでしまいます。簡単な女です。

ネタ作りの時は、「ネタ考えましょうか」と、相手に言われるまで、出来るだけ時間を引き延ばそうとして、そのくせ「なぜ率先してネタ作りましょうと言わないのかしら」とどちらかが言うと、「それはこっちのセリフよ」の応酬があったり。

相談していないのに、似たような白シャツ、カーディガンとパンツに黒の靴の組み合わせになって、「そっちが真似したんでしょう」と言い合ったり。

ほうじ茶は美味しいという話で、10分15分話し合えたり。普段から低い声なのに、朝方はより一層、地をはうような低音で、2人してお互いの声が驚く程聞き取りにくかったり。もはや似ているというレベルではありませんね

個々のタイプの違いはありつつも、似通ったところや共通点をすり合わせて、共生している2人でございます。


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