「ハードな運動」では健康になれません。では、何をすべきか?
運動がカラダにいいとわかっていても、なかなか続かないもの。そんな方にうってつけなのが、誰でも無理なく、簡単にできる「スクワット」です。スクワットは「最強の健康法」と断言するのは、自律神経の名医で知られる小林弘幸先生。著書『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』には、そのすごい効果と、正しいやり方が書かれています。ぜひ本書を読んで、素敵な変化を実感してください!
* * *
運動は「少しずつ」でいい
さてここまで、加齢で起こる3大変化「筋力低下」「血流悪化」「自律神経のバランスの乱れ」についてお話ししてきました。これらによって、病気になりやすくなったり、人生の質が低下したりすることを、おわかりいただけたと思います。
原因がわかれば、答えを出すのは簡単。元気で笑顔あふれる未来を手に入れるためには、筋力低下を防ぎ、血流を促し、自律神経のバランスを整えるようにすればいいのです。
そのために必要なのは、運動です。特に、筋力低下は運動以外に防ぐ方法がありません。
運動の必要性を説くと、「わかりました! ではさっそくジムに通います」「毎朝、ジョギングをすることにします」など、急に全力でがんばろうとする方がいます。
しかし、ハードな運動はたいてい長続きしません。また、運動は激しければ激しいほど、効果が大きいというものでもありません。むしろ、デメリットが上回ることもあります。せっかく時間やお金、体力を費やしてがんばったのに、実は逆効果だったなんていうことは避けたいもの。
「だけど、一気にがんばって、早く効果を得たい!」という方もいるかもしれません。その気持ちはわかりますが、その発想には、もしかすると自律神経の乱れが潜んでいるかもしれません。自律神経のバランスが乱れていると、視野がせまくなるので、極端に遠いところへ手を伸ばしてしまうことがあるからです。
大切なのは、少しずつ着実に取り組むこと。ほんの少しのフットワークの軽さが、健康を引き寄せるためにはとても大切なのです。
健康にはスクワットが最適
ここまで言っても「ハードな運動のほうがやっぱり効果的なのでは?」と内心思っている方のために、もしも息切れするようなハードな筋トレを行ったらどうなるのか? 3大変化を克服できるのか? メリット・デメリットを確認しておきましょう。
・課題① 筋力低下を防げるか?
○ 筋肉を酷使することで強靭な筋力が育まれる
× 思わぬケガをするリスクが高い
・課題② 血流はよくなるか?
○ 特に下半身を動かすことで血流アップがのぞめる
× 呼吸が浅くなることで活性酸素が増えて老化が進む
・課題③ 自律神経のバランスは整うか?
× 呼吸が浅くなることで副交感神経の働きが下がる
× 激しい運動によってアドレナリンが分泌されて、交感神経が異常に高まる
ハードな筋トレでは、一長一短、ややデメリットのほうが上回りそうです。それでは、いったいどのような運動が適しているのでしょうか。
その答えは、ずばりスクワットです。
しゃがむ動作を繰り返すスクワットは、下半身の筋肉を鍛えるのに最適です。しかも、実は下半身だけではなく、上半身を強化することも可能です。
また、下半身のポンプ機能が向上することで、効果的に血流を促すこともできます。無酸素運動ではないのもポイント。ゆっくり、大きく呼吸をしながら行うことで、自律神経のバランスも整います。
さらに驚くことに、スクワットには「認知症を予防する」「便秘に効く」など、さまざまな効果があります。
いかがですか? 私が「スクワットだけすればいい」と言う理由を、おわかりいただけたのではないでしょうか。