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人づき合いが苦手な人が覚えておくべき「2つの選択肢」

大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者として名を馳せた、アドラー心理学の第一人者、岸見一郎さん。そんな岸見さんの幸福論の決定版が、著書『成功ではなく、幸福について語ろう』です。アドラー心理学をベースに、仕事、恋愛、子育て、介護など、あらゆる悩みに答えた本書は、「人生相談」形式になっており読みやすさも抜群。そのうちのいくつかを抜粋してご紹介します。

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相談「人見知りが激しく友だちと話すのが億劫。でも一人だと寂しい」

人間関係が憂うつで仕方ありません。

人見知りが激しく元々人付き合いは得意ではありません。しかし今までずっと友だちには恵まれていて、特別に気をつかったりせず素の自分でいられます。大学では六人のグループでいます。人と深く関わるタイプではなく、LINEもなかなか返信しないのですがそれを理解してみんな付き合ってくれています。

なのに最近学校に行って友だちと話す気になれません。何が嫌というわけではないのですが疲れてしまいます。話す気になれず学校を休み、その後休んだ日の出来事をきくと寂しい気持ちになります。

人と関わりたくはないけど一人だと寂しい。

その繰り返しでどんどん嫌になっていきます。大学の友だちに不満はないのにどうしてこんなふうに思ってしまうのかわからずつらいです。自分の気持ちの問題かと思うのですがどうしようもできず困っています。

(大学生・19歳・女性・東京都)

お答えします

あなたは友だちから与えられることばかり考え、その好意に甘えているようです

人との関係に入ると何らかの摩擦が起き、嫌われたり、裏切られたりして、傷つくことは避けることはできません。

あなたが人見知りが激しく、人付き合いが得意ではなかったといわれるのは、本当は、人付き合いを避けるために人見知りするようになったということなのですが、ともあれ、人との関係が憂うつで仕方ないと思われることはよくわかります。

自分が友だちにできることは?

他方、人との関わりを避けていては、生きる喜びも得ることができないというのも本当です。あなたは今までずっと友だちに恵まれてきたのですから、このこともわかっていると思います。

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人と関わる時、絶えず気をつかい、自分をよく見せなければならないことがありますが、友だちの前であれば、そんな気づかいをしなくてもすみます。あなたも「素の自分」でいられることをありがたいと思っているでしょう?

私は、あなたの相談を読み、大きな勘違いをされていると思いました。大学の友だちに不満はないといっているのに(なんだかエラそうですね)、あなたがしていることは友だちを遠ざけようとしていることだからです。

あなたは友だちからよくしてもらい、与えられることばかり考えています。そのことを当然とは思ってはいないでしょうが、友だちの好意に甘えているように見えます。

もしも友だちでい続けてほしいのなら、あなたと友だちでいたいと思ってもらえる努力をしなければなりません。今は優しい友だちは学校を休むと、「どうしたの?」とたずねてくれるでしょうが、学校に行っても友だちと話さなかったり、学校を休んだりし続けると、ある日、気がついたら誰もいなくなりますよ。

友だちがあなたの行動に寛容であり、あなたを受け入れてくれるのは、友だちの好意であって決して義務ではありません。

あなたの選択肢は二つしかありません。今のまま友だちの好意に甘え続け、いつの日か友だちを失うか、自分が友だちにできることはないかを考え、友だちとの関係の中に入る努力をするかのどちらかです。今のままの行動を続け、友だちがずっとあなたの近くにいることは残念ながらありません。

さて、あなたはどちらを選びますか?

著者の岸見一郎さんの「note」はこちらから