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重厚な読後感が味わえる「本格ミステリ」3冊

魅力的な名探偵、張り巡らされた伏線、あっと驚く意外な結末……。「本格ミステリ」は、いつの時代も読者の心をとらえて放しません。ここでご紹介するのは、いずれも「本格ミステリ」を代表するベテラン作家たちの作品。重厚な読後感を、ぜひ味わってください。

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①「女にしては、美しすぎる」

神様が殺してくれる

パリの女優殺害に端を発する連続殺人。両手を縛られ現場で拘束されていた重要参考人、リオンは「神が殺した」と証言する。容疑者も手がかりもないまま、ほどなくミラノで起きたピアニスト絞殺事件。現場にはまたもリオンが。手がかりは、彼の「異常な美しさ」だけだった……。

美しい装丁が印象的な『神様が殺してくれる』は、第1回メフィスト賞を受賞した『すべてがFになる』や、押井守監督によって映画化された『スカイ・クロラ』などで知られる、森博嗣さんの作品。物語の舞台が外国で、登場人物も外国人ばかりという異色作です。

とはいえ、森博嗣さんならではのあっと驚く結末は、ここでも健在。読後、「女にしては、美しすぎる」というキャッチコピーの意味に気づかされることでしょう。

②世界が崩れる快感を味わおう

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弟・襾鈴(あべる)の失踪と死の謎を追って、地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允(かいん)。襲いかかる鴉(からす)の大群。四つの祭りと薪能。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき連続殺害現場。盲点をつく大トリック。支配者・大鏡の正体。再び襲う鴉……。

傑作を超えた「神話的最高傑作」とまで謳われた『』の作者は、独特の世界観でカルト的人気を集めるミステリ作家、麻耶雄嵩(まやゆたか)さん。1998年度の「本格ミステリ・ベスト10」(東京創元社)で、見事1位に輝いた作品です。

文庫版で550ページ超と、ボリュームのある作品ですが、続きが気になってあっという間に読み終えてしまうはず。本書で「一気読み」の快楽を堪能してください。

③驚愕の「悲劇的結末」が待っている

鍵の掛かった男

中之島のホテルで梨田稔が死んだ。警察は自殺と断定。だが、同ホテルが定宿の作家・影浦浪子は疑問を持つ。影浦は死の謎の解明を、推理作家の有栖川有栖と友人の火村英生に依頼する。しかし調査は難航。他殺なら犯人は誰なのか? そして、そもそも梨田とは誰なのか?

最後に紹介する『鍵の掛かった男』は、有栖川有栖さんの作品。綾辻行人さん、法月綸太郎さん、京極夏彦さんらとともに、一時代を築いた「新本格ミステリ」ムーブメントを牽引した大御所ミステリ作家です。

こちらは文庫版で700ページ超と、先ほどご紹介した『』を上回るボリュームです。それでも「長い」とは感じないのが、よくできたミステリ小説の共通点。ラストの驚愕のどんでん返しまで、ページをめくる手が止まらなくなります。

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近年はどちらかと言うと、軽いタッチのライト・ミステリが増えているようです。もちろん、その中にも優れた作品はたくさんありますが、たまには時間をたっぷり取って、本格ミステリの世界に浸ってみてはいかがでしょうか? 本格ミステリでしか味わえない、「重厚な読後感」があなたを待っています!

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