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GRITを鍛えたいならば、ストリートファイター5をやれ

※本記事は全文公開投げ銭スタイルでお送りしています※
 


 どうも。能書きを書くことを趣味とするものです。
 この記事では、ストリートファイター5について書きます。
 自分はつい3ヶ月前にスト5デビューしたアラフォー初心者勢なんですが、このゲームに対する過大評価が止まらないです。


+GRITとか何言ってんだ? それはどうすればいいのだ?


 スト5について書くと言ったばかりですが、まずぜんぜん他の話をさせてください。
 タイトルにある、GRITについて。
 アルファベット4文字は、Guts(ガッツ・逆境に立ち向かう)、Resilience(レジリエンス・挫折から立ち直る)、Initiative(イニシアチブ・自発的にやる)、Tenacity(テナシティ・執念深さ)の略称。心理学者のアンジェラ・ダックワースが言い出した。

 このGRITというのは、今の教育界隈が有力視している「人生成功のための指標」の一つです。
 そういう指標に関する研究っていうのは、昔から行われていて。なにしろ誰しも人生を成功させたいから。
 古くはIQ(知能指数)が取り沙汰されたり、あるいはIQなんかよりEQ(心の知能指数)のほうが社会的成功に直結しているという話になったり、三歳児がマシュマロを我慢できるかテストの話をしたり、テストの信頼性が疑問視されたり、まあ色々な話が浮かんでは消えてを繰り返してきた。そういう話題の最前線が、数年前ぐらいからGRITです。これを持っている人ほど、将来的な平均所得や幸福度が高いのだといいます。

 まあ僕に言わせりゃ、こいつは俗に言う"努力する才能"の事ですよ。

 ダックワースが言いたかったのは、「IQみたいな遺伝する生まれつきの資質よりも努力できるかが大事だよ」みたいな話なので、才能って日本語を説明につかうのは誤解を生む恐れが高いんですが……。ただ、日本語でこれについて話すときは、伝統的にそういう言い方をしてきたのは確かです。だから、努力する才能のことです、と言っちゃうのが短期的には一番分かりやすいと思う(あと、まだGRITが才能で遺伝性の影響が強い可能性もあるし)。

 GRITは心理学者が提案した概念ですが、結局のところ、教育と訓練についての話です。
 人生に成功する指標を研究するのは、それを狙って鍛えるためですからね。
 だからダックワースは、著書の半分以上を概念の科学的正当性の確立よりも「どうやったら(子供の)GRITを鍛えられるか」に費やしています。ここ最近は日本社会にも広まってきました。コンビニで売っている育児雑誌を立ち読みすると、子供を褒めるときは結果ではなく努力した事実を褒めろ、とか書いてありますよね。あれがダックワースたち教育心理学者の広めている奴です。

 とはいえ、実はGRITに関する体系的なトレーニングっていうのは、まだまだ確立しきってないところがあって。

 だってさ、子供を確実に努力させることなんてできます? 人それぞれ過ぎません? 

 もちろん、先述通り、なんとなくこうすればいいんじゃないかな~~みたいな話はダックワース自身を始め多くの人がしていますけれど、どうにも自己啓発的なゆるふわ雰囲気が付き纏うと言うか。その体験談は確実に成功すると科学で証明されたんですか!? それは具体的に何をしろということなんだぜ!? そんなんで誰もが成功するなら世話はないんですけど!? みたいなことを考え出すととたんに怪しくて。
 
 いや〜、うーん、せめてなんかこう?
 文章力を身につけるには読書だ、数学力を身につけるには100マス計算だとか、語学力を身につけるには超長時間ヒアリングだ、みたいな?
 そういう確実かつ具体的な教材があればいいんですけどね~~~(前フリ)



+僕のストリートファイター5体験

 ここからやっとスト5の話をします。
 僕がストリートファイター5を始めたのは、9月のPSプラスキャンペーンで、ソフトが無料でダウンロードできたからです。

 え! スト5ってあのカプコンのスト5ですよね! タダでやらせてもらえるんですか!? 期間限定とかでなく!? ガチのソフト本体がタダで!? じゃあやるわ!
 ……ってなもんで。
 いつも別ゲームで遊んでる友達なんかも巻き込んで始めてみた次第でした。

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 ところで僕っていう人間は、アラフォーになる今まで 格闘ゲームの才能が皆無だし出来ない、と思っていたタイプのゲーマーなんですよ。
 それなりにナードでギーグな青春を過ごして来ましたから、格闘ゲームもちょっとぐらいはプレイしましたよ。スーパーファミコンでスト2っていう大ヒットゲームが出たときは小学生だったし、SNKのキャラクターで誰が好きかで盛り上がれるし、X‐MENってコンテンツのことは映画よりも先にまず格ゲーで知った。友達の家でコントローラーを回しながらの対戦をしたし、その友達に誘われて何百円かだけもってゲーセンに行ったりした。

 その全てで、僕は誰にも勝てないで来ました。

 波動拳コマンドがでない。昇龍拳コマンドはもっとでない。出るのは大パンチと大キックと百裂張り手ぐらいで、コンボなんて意味がわからない。それどころかガードもろくにできなくて、友達の攻撃が全部当たる。
 だから負ける。
 格闘ゲームっていうのは友達に負けて順番を回すための遊びだったし、別に人がやってるのを見ているのも楽しかったが、やっぱり「できればこのゲームよりは他のことしたいなあ……」と思ってた。

 なぜ勝てないか? 才能がないからです。

 だからキャンペーンで始めたのも、ちょっと遊んだら辞めるぐらいの気持ちだったんですよ。
 それがですね、まあ僕も大人ですから、中学時代よりも少しはちゃんと攻略しようと思って。プロゲーマーやユーチューバーが発信してる初心者向け動画やサイトを見るじゃないですか。
 見たら「練習しろ」ってみんな言ってる。
 だから少し練習をしますよね。

 勝てるんですよ。

 ちょっと知識つけてちょっと練習しただけなのに。もう明確に勝ててしまう。練習前にボコボコにされていたランクの相手と、一週間練習した後に互角に戦い、一ヶ月練習した後にボコボコにすることができてしまう。
 僕には才能がないと思っていた分野で勝ててしまう!

 ここ数ヶ月、僕は人生で初めて格ゲーをやっていました。

 今なら分かります。僕が負けていたのは格闘ゲームをやっていなかったせいでした。
 バットとミットを同時に持ってブンブン振り回すのが野球ではないように、僕がいままでやっていたのは格闘ゲームではありませんでした。友達の家でコントローラーが回ってきたとき、格闘ゲームをやっていたのは友達だけで、僕がやっていたのは格闘ゲーム未満の何かでした。
 今、僕は毎日格闘ゲームをやっています。初めてやる格闘ゲームは、僕にとってめちゃくちゃ新鮮です。こんなふうにブログを書きたくなってしまうほどにです。



+スト5(格闘ゲーム)の特にすごいところ

 そんなアラフォーの僕が、生まれて初めて格闘ゲームの世界に飛び込んでびっくりしたのが、こんなにも努力がモノをいう世界なのか! ということだったのでした。

 この一文だけでほぼ言いたいことを言い終わってますが、もうちょっと詳しく説明しますね。 

 どんなゲームであれ、良いゲームっていうのは、プレイヤーを褒めることが出来るようにできています。
 ドラゴンクエストでは、昔からレベルアップするとお馴染みのファンファーレが鳴ります。ファンファーレでお祝いしてくれるのが嬉しいから、プレイヤーはもっとゲームをしてしまいます。
 最近のゲームでは、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド、という僕の大好きなゲームがありまして。このゲームはマップのそこら辺の山を登ると必ず宝箱なりイベントなりが用意されています。つまりBotWっていうゲームは、苦労して山を登ったりすると褒めてもらえるゲームで、だからプレイヤーは何十時間もかけてゲームの中の世界中を探索してしまいます(しました)。
 あと悪い例も出しておくと、ソシャゲっていうのは、基本的に、お金を使ったら褒めてもらえるようにできてます。ガチャをすればファンファーレが鳴り、ガチャでたくさんお金を入れると超強かったボスが倒せ、倒したことを友達に自慢できます。だからプレイヤーは時には借金までしてガチャを何十連も回してしまうわけです。

 これらは、どんなゲームでもそうです。
 見識あるプレイヤーなら、自分が今やっているゲームが何を褒めようとしているのか、すぐ解る。最近じゃ、TIME to WINとか、PAY to WIN みたいな用語も一般に広まっている。
 
 では、ストリートファイター5は、何を褒めてもらえるように出来ているゲームなのでしょうか。

 努力をしたら褒められるようにできてているゲームなんですよ。

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 格ゲーは、圧倒的に GRIT to WIN です。諦めずに粘り強く練習したら勝てるようにできているし、練習をやめたら負けるようにできている。
 だから格闘ゲームにハマったプレイヤーっていうのは、必然的に努力をしてしまうんですよ。
 課金が楽しくなるのと同じように、努力が楽しくなってくる!
 それってちょっとスゴくないですか。

 しかも、これは偶然そうなっているんじゃない
 メーカーは、創意工夫を凝らして、バランス調整っていう作業をしています。
 ここでいうバランスが取れた状態っていうのは、努力した人が勝てる環境のことですよね。運とかキャラ性能とかでどう頑張っても理不尽に勝ち負けが決まる状態を、出来るだけ減らそうとしている。
 つまり、GRIT to WINのゲームがリアルタイムでデザインされている!!
 これはどう考えてもGRIT=努力する才能を鍛えるのに有効って感じがしますね!

 ちなみに、ストリートファイター5っていうのは、20年末の現在において、最も高水準でバランス調整に成功しているとも言われる格闘ゲームです。

+他のゲームと比べてもとくにすごい


 もちろん、どんなジャンルであれ対戦ゲームで上手くなろうと思えば努力は大事です。
 でも格闘ゲームの努力偏重ぶりは、他のジャンルの対戦ゲームと比べて結構異常なことではないかと思っていて。
 例えば僕がもうずいぶん長いことやり込んでいるゲームに「カルドセプト」があります。

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 これももうずいぶん昔のゲームですが、僕はいまだに週に一回、身内の対戦会をやっています。年単位のやり込みですよ。だから実際、僕はカルドセプトがかなり強い自信がある。
 でもじゃあ、100%勝つ自信があるかというと、そんなわけが無いんですよ。だってカルドには、ダイスとデッキメタが存在していて、それが試合中どう転ぶかは運だからです。それは努力じゃあどうにもならない。カルドセプト世界チャンピオンでも、ワンチャンのダイス目で負けてしまえば、小学生に負ける可能性はあります。
 そういうワンチャンが存在することが、ゲームとしてはむしろ普通なんですね。太古より、ゲームと呼ばれる遊びの殆どはダイスとカードシャッフルのランダム性が創ってきた。
 マリオカートがいくら上手くても甲羅で集中攻撃されたら負けるし、第五人格がいくら上手くても廊下の角の先に鬼がいたら捕まってしまう。上手くなったら勝率はあがりますが、絶対に勝つことはできません。最近じゃ、フォートナイトやフォールガイズみたいな、上手にワンチャン要素を盛り込んでいるゲームがトレンドだったりします。

 格闘ゲームっていうのはそうじゃない。
 世界チャンピオンに僕がワンチャン勝てる可能性など皆無です。そういう偶然性は極力廃されている。

 もっと言えば、ブロンズランクのプレイヤーがシルバーランクのプレイヤーに勝つ可能歳はほぼ皆無だし、シルバーランクのプレイヤーがゴールドランクのプレイヤーに勝つ可能性もほぼ皆無です。
 スト5の何がビックリするって、たかだか1000ポイント格上のプレイヤーが、全員マジで格上で、全く勝てないんですよ。10回かそこら勝てば、つまり1時間ぐらいやれば1000くらいのランクポイントは稼げるはずなんですが、それが本当にできない。

 そしてもっとビックリするのが、自分が上手くなれば、その稼げなかった1000ポイントがマジでするっと稼げちゃう。
 特にガチ初心者帯では、1時間練習してコンボが一つ使えるようになった、対空技の精度がちょっと上がった、それぐらいのことで本当に勝てちゃう。上のランクに行けてしまう。
 練習すれば本当に成果が出てしまうってことです。そして練習しなければ成果は一切出ません。

 しかも、練習っていうのは、漫然とプレイを繰り返すんじゃない。何か課題を自分で見つけて、それを解決するための練習をしないといけない。
 これまでの僕の認識では、大抵のゲームは、漫然とひたすら対戦しているだけで、操作に慣れて、ある程度勝手にランクや腕前があがっていくはずでした。でも、そういう漫然としたプレイはGRIT的な意味では努力とはいえないですよね。レベルが上がるまで雑魚敵を倒し続けるような行為は努力ではない。でも、いままでやってきた対戦テレビゲームで、努力というのは、実際そういうことでした。
 格ゲーは違いました。最初から最後まで常に、真の努力を求めてきます
 他ジャンルのゲームにも、ガチ勢はそりゃあいますが、少なくともゲーム側がガチで居ることを推奨してはこないはずです。格ゲーだけがそれをしてきます。

 つまり、他のどんなゲームよりも格ゲーがGRITの訓練に向いている!
 ちなみにストリートファイター5というゲームは、2020年現在、格ゲーのなかでもプレイ人口が多いことやシステム面の特徴を理由に、初心者におすすめとされている格ゲーです。


+現実世界よりも努力が優遇されている


 とはいえ、ゲームとゲームの間だけ比較してもしょうがない。GRITっていうのは、そもそも現実の人生に求められる資質であって、ゲームに勝つためのものではない。
 ゲームは所詮ゲームです。遊びにすぎない。どうせ努力するなら、学校の勉強でもしたほうがはるかにマシって考え方はやっぱりあります。別にそれを否定する気はないです。

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 ただ「努力して勉強しなさい」とか言う大人たちは、大事なことから目を逸らしていると思うんですよね~。
 だって、努力して勉強したら絶対に成功する、って本当に断言できます?

 出来るわけがないんですよ。

 現実っていうのは、さっき紹介したカルドセプトってゲームよりも、はるかに運用素が関与する。努力ではどうにもならない、生まれつきの才能や、親の持っている資産や、たまたま出会った人間関係の影響が、あまりにも大きすぎます。

 最初に紹介したように、GRITを鍛えるための実践が、どうしても科学から程遠い、自己啓発的なうさん臭い言動に感じられてしまう。それもこの現実っていうクソゲーの仕様せいだと僕は思ってます。
 子供がGRITを持つ人間として成長するために、最上の方法は何か? それはもうシンプルで、努力して上手くいった成功体験を手に入れること、しかない。ここまではたぶん全員の意見が一致するんですね。
 でも努力の成功体験を確実に得る方法なんてある訳がないじゃないですか! それはもう絶対成功するということですよ。成功が絶対確実じゃないからこそ人生においてGRITが要るって話をしてるのに。
 
 だから、GRITの実践は、そのかなりの部分を「努力すれば成功しますよ」と子供や自分自身を騙す心理学的テクニックが占めてしまう。例えばリスクを取るために自身を鼓舞するマインドセットだとか。GRIT的に優れたチームに属すことで集団心理学的な効果に期待するだとか。子供の出した結果ではなく努力を褒めろなんて話も、冷静に考えたら子供騙し以外の何者でもない。現実はそんな甘くない。リスクはやはりリスクだし、結果をだしたかどうかがやはり大事だったりする。
 
 ところが格闘ゲームっていうのは、現実じゃあないですよね。
 人為的にデザインされた仮想世界なんですよ。しかも、このファンタジーな仮想世界では、カプコンっていう善意の神様が、努力したやつだけが報われるように、常にバランス調整っていう作業に精を出している

 それってマジで現実世界に欲しかったやつじゃないです?

 もちろん、カプコン神は、現実世界を作った神様と違って、全知全能ではありません。でも、唯一の神様でもありません。もし努力しても勝てない世界だったら、我々は神を見限って、努力が通用する別のゲームに移住することができます。結果的に、格ゲープレイヤーは、常に努力が報われる世界に生きている。

 そういう世界で過ごした経験っていうのは、どう考えてもGRITを得るのに最適なんじゃないでしょうか!

 このことを言葉ではなく心で理解ときの僕の驚き、判ってもらえますか?
 実は僕は、いままでの言い方でもうばれてるかもしれないけど、努力の価値っていうのをそこまで信じていない人間なんですよ。受験はなんとなく授業と塾に通って宿題をこなすだけで無理なく乗り切ったし、就職も似たようなもん。こうやって文章を書いているのだって、それが自分にできるからやっているだけで、文章を書くために努力なんかした覚えがない。できないことはしないし、手に入らないものはさっくり諦める。出来ることを出来る範囲でだけやってきたアラフォー人生でした。
 でもさっきも書いた通り、僕は自分には格闘ゲームの才能がないと思っていたんですよ。今でも自分に才能があるとは思ってない。そういうのが努力で簡単にひっくり返ったんですね。最初はぜんぜん勝てなかった格ゲー経験者の友達を、2か月練習した今ではボコることができてしまう。
 だから、努力や練習が楽しくなってきている。
 そのことに自分でもマジで驚いてしまいますよね。


+現実スポーツと比べても優位


 現実をこき下ろす文章を書きながら気が付いたんですが、そういえば、現実世界にもGRIT to WIN な取り組みがありますね。
 スポーツ全般です。

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 物理スポーツの世界も、明らかに練習したやつが勝てるようになっています。日本の中学校で部活動が義務になっている理由の半分ぐらいも、実は努力の感覚を身に着けるため、GRITを鍛えるためですよね(指導している教師がそれをわかってない場合がある問題はここでは置いておく)。GRITを提唱したダックワースも、GRIT体験を得るためと称して1年以上の課外活動を推奨しています。
 格闘ゲームが「eスポーツ」と呼ばれだしたのは、取り組み方が似てるなという感覚が誰にも分ったからなんでしょうね。いま僕は、スト5っていうeスポーツによって初めてのGRIT体験に驚いた話をしています。が、たぶんアラフォーにもなってそれが初めてなのは、学生時代の部活動が運動部ではなかったなんだと思う。甲子園行くような奴らには、こんなGRIT体験はきっと常識なんだろうなぁ。

 ……というわけで、このブログのタイトルは「GRITを鍛えたければスポーツをやれ、ただしeスポーツも可」が実は正解でした。
 長い記事をここまで読んでいただいた奇特な方々、申し訳ない。お気づきでしょうが、この記事にはちょっと面白さ重視で盛っているところがあります。

 しかし、それでも敢えてストリートファイター5のGRIT訓練優位を主張するため、あえて強弁を振るってみます。
 スト5=eスポーツが、現実スポーツに勝っている点はどこでしょう? 

 それは速度です!
 なぜなら、eスポーツとは、情報化されたスポーツ!
 情報化とは、速度の上昇がキモとなる概念です。eメールは郵便よりも早く届き、eコマースは商店街に行くより早く決済でき、電子会議は移動にかかる時間を省いて開催できる。eスポーツも同じメリットを享受しています。

 もしも、僕がGRITのために始めたスポーツが野球なら、練習をして試合で勝って努力の成果を実感するのに、どれくらいの時間が必要でしょうか?
 短く言って、だいたい半年ぐらいでしょう。技術面でも野球を野球らしくするための、投げる・打つ・捕る技術を最低限獲得しないといけないのはもちろんですが、そもそも練習するにもグラウンドの予約やチームへの加入が必要だし、そのチームのなかで試合に出る資格を勝ち取る必要もあるし、チームが練習試合をするのも年に何度かの一大イベントではないでしょうか。子供であれば、自分は野球がしたいんだということを親に言って道具を買ってもらうのもなかなかのコストです。

 では、これがスト5の場合はどうか。
 ゲームを起動してから、最初の試合をするまでにおよそ数分、試合の結果が出るのは最大で99秒後です。練習を始めるのに必要な時間は更に短く、トレーニングモードを起動すればいつでも好きなだけ練習できる。テレビとゲーム機を用意する必要はありますが、チームに入って子供の練習の送り迎えをする、あるいはグラウンドや体育館を予約するのに比べればどれほど安くつくでしょうか。対戦相手やチームメイトやライバルすら、ネットでインスタントに見つけることができます。更に、この点でもメーカーという神が存在するって事実が効いてきますよね。最近のゲームは、マッチングしやすく、トレーニングしやすく、ゲーム自体ができている。なんだかんだいって世界企業ですから、たいていの近所のスポーツ少年団よりもサポート面では優位に立っているはず。
 
 物理スポーツにももちろん、自動的にに身体が鍛えられるから健康に良いなどメリットはありますけどね。こと手軽さという一点においては、eスポーツたる格ゲーが圧倒的な優位に立っています。
 だから貴方が求めているのか筋トレでなくGRITトレーニングなら、物理スポーツよりもeスポーツのほうがおすすめと言えますね!


+まとめと注意点。そして応援メッセージ


 まとめます

・GRITを鍛えるには、成功体験を得るのが王道
・ストリートファイター5は GRIT for WIN で設計されている良作ゲームだ。
・手軽にGRIT成功体験を得たいなら(つまりGRITを鍛えたいなら)ストリートファイター5がオススメ。

 いやはや、やっぱり牽強付会が過ぎますかね?
 でも、格闘ゲームが努力のためのゲームだった! という僕の驚きは完全に事実ですよ。

 あと実は、格ゲーイコール努力の関係に気づいているのは僕だけじゃなくて。ここ数年、eスポーツ関連書籍が相次いで発表されています。

 読んだらすぐわかると思いますが、一般向け書籍やエッセイにおいて、プロゲーマーっていう人たちは、ゲームで成功した人って以上に、努力のプロとして扱われています。努力すれば勝てるゲームで天下とってるんだから、そりゃ努力が上手いです、という訳。
 ゲームで努力が上手くなる、という僕の話は、結構真実に近いはずです。

 念のため補足的に注意点を述べておきますね。
 第一に、GRITっていうのは、自ら望んで持つ熱意みたいなものが重要になる概念なんで。例えばそもそも人を殴ったりするのが嫌いな人は、嫌々スト5をやってもGRITを鍛えられたりはしないと思います。スト5は楽しいゲームですから、たいていの人はやれば楽しくなれるはずですが、もしも自分には楽しくないと思うならオススメではなくなる。別に無理してやらなくていいですよ。
 第二に、スト5ってやっぱり所詮テレビゲームなんで、いくらGRITを鍛えてもゲームだけやってて人生に成功することはできない。野球部で甲子園に行った人間が、同じくらいの熱量を仕事に注いだら優秀な営業マンや研究員になったみたいな、よく聞く実話と同じ事はあるはず。でも、格ゲーは甲子園と違って卒業っていう区切りがつけにくい分野だと思う。そこのコントロールは各人に託されている。

 それから最後に、僭越ながら読者の貴方に向けた応援メッセージを書いておきたい。

 こんな長文をここまで読んだあなたは、もしかしてとっくにスト5のプレイヤーなのでは? ランクはどうです? ダイヤ? プラチナ? もしかしてグラマス?
 だとしたら、貴方はもうそこらの一般人よりもはるかに努力が上手い
 貴方がたは、自分にはゲームしかとりえがないぐらいに思ってるかもしれませんが、明らかにもう凄い能力を持っているんだ。僕よりもずっとすごい。貴方がたは格ゲーの腕前と同時に、努力の腕前を鍛えてきた。
 だから、もし望むならの話ですけど、スト5と同じ努力を仕事や勉強に注いだら、かなりの確率で成功できますよ! 保証します! 頑張ってください!
 僕も当面は、こんどはベガで空対空が確実に出せるように、努力を重ねていくつもりです。

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