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『きょうだい介護おやこ介護』

本の感想メモ

重度の障害がある妹さんの介護と自身の母親の介護を綴ったお話が緊迫感があってリアルだった。エネルギーのあるお母さんなので病気を抱えた姿を見るのはかなりつらかっただろうなぁ。お母さんは障害のある末っ子の介護をきょうだいに煩わせてはならない、きょうだいはきょうだいの道を歩んで欲しいという強い方針をずっと主張していた方だったそう。だけどだからと言って生涯他人事になるわけではなくて、親がいつまでも元気とは限らないのも現実で、きょうだい自身が気持ちの準備をしているのも現実。

大変だった原因の一つは、私自身の『無知』だ。(中略)我が家も様々な福祉サービスに助けられていることは知っていたけれど、制度や法律に関して、私はほとんど知らなかった。ヘルパーさんはどうやって来てもらえるのか。毎月どのくらいの時間来てもらえるのか。自費負担はどれくらいなのか。紙おむつの補助や介護タクシーの申請方法は。何にも知らなかった。

正直、親が倒れるのが一番怖い。きっときょうだいたちも共通の不安を持っていると思う。親が元気なうちにできることは何だろう。私もどこから始めれば良いのか私も戸惑うだろう。福祉の手を借りると言っても自分から動かなければ始まらない。私は弟の通院している病院の先生の名前を知ってる?保険証は実家のどこにあるか知ってる?薬はいつ何錠飲むのか知ってる?全然知らない。今日親が倒れたら今日から動ける?弟をショートステイに預けるのに必要な荷物をまとめられる?不謹慎だと考えずに今からシミュレーションしておかなければ。

認定調査は介護サービスを受けるうえで必要な調査であり、いいえが多いほどお得だといってもいい。もちろんそれはわかっているのだが、それでも私は叫びたくなる衝動をこらえなければならなかった。「できることもあるんです!」

障害者が18歳になったら行う区分認定も同じく自立してできないことが多い方がお得なわけだけど、実際に「いいえ」と答えるのは心のどこかで悔しい。ましてや親の認定は元気になんでもこなしていた過去があるからなおさらできないという事実と対面しなければならないのは本当に叫びたくなるくらい辛いだろうな。でもいつかは私にもやってくるものなんだろう、と考えさせられた。



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