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新色できました 温度差色

ふとした瞬間にふれたくなる、絹のような手ざわりの髪。
細いながらも締まったカラダ。
クールな瞳で見据えてくる彼。

かと思えば、わたしの存在を宇宙から消去し、窓辺でひとり思索にふけってしまう。
唯一、わたしを思い出すのは、食事どき。
手料理に目がないらしく、お世辞を言ってみたりおいしいと笑ってみたり。

彼に会うまで、自分がここまで尽くすタイプだとは知らなかった。
今までにないくらい熱心に掃除しているのは、きれい好きな彼に快適に暮らしてもらうため。
わたしの努力にたいして、コメントはとくにない。
けれど、不満もないのか彼は毎日機嫌よく過ごしている。

ああ、今日もまた、隠しようもないこの温度差に、わたしはさいなまれる。
こういう状態って、色でいうなら冴え渡る寒色系にちがいない。

「類くん、ごはんですよー」
ピンと耳と尾を立て、うるわしの愛猫・類くんが駆け寄ってくる。
わたしは、ここぞとばかりに食事中の彼の背中をなでさする。

(おわり)

三羽 烏さんの企画「新色できました」に参加いたします

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