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日本の夏 西表の夏

#夏の1コマ

    • 第三十二話 勇者リワーク!⑤【勝つために】

         Jとしまこ、俺で海老根に向けて、一斉射撃を行った。  人の形が無くなるほどの飽和攻撃を行ったので、相手が人間なら間違いなく死んだろう。  だが、根拠のない嫌な予感があった。  Jは不用意に海老根に近づいていったので、危険と判断してハッキリ聞こえる声で叫んだ。 「J!近づくな!そこから離れろ!」  俺は通信しなくても良いくらいの大きな声で叫ぶ。 『ひぃ!』  俺の声に反応してもはや条件反射のようにJがこちらに向かって逃げて来た。  ――が、何も起こらない。

      • 第三十一話  勇者リワーク!④.5【ゲロと恐怖と尊敬と】

           《ジャンカルロ》:,.:.,.:,.:.,.:,.:.,.。:,.:.,.。:,.:.,.。:,.。  俺は自信の喪失と、他者への…神格化に近いリスペクトで感情がグチャグチャになっている。  俺の誇りは特殊部隊に最年少で入隊したことだ。散々挫折も味わったが、部隊に居たことは、俺の自信に直結していた。  そして、戸籍を消し、不利な条件で日本に来た理由は、ある物語の人物に憧れ、彼の様なタフな人間になろうと思ったからだ。  そう、とある駅の掲示板に「XYZ」と連絡先を

        • 第三十話 勇者リワーク!④【SAV攻撃フェイズ】

           現時点で「勇者リワーク!」で釣れた帰還者は一名だけだと言うセイカの報告を聞き、俺は動き出す。  先ほど左陶に近づき会話をしていた海老根だったが、受付テーブルを跨いで離れていた。 『ロジャー』 『あいよ』 『左陶に向けてライフルを撃てば、海老根はまた左陶を庇って弾を掴みに来るはずだ。ロジャーは左陶を庇って移動した先に居る場所を予測して、海老根を撃て』 『ロジャー了解。失敗しても文句言うんじゃないぜ?』 『今日は静かだけどJ聞いているか?』 『ヒィッ!?』  先

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          第二十九話 勇者リワーク!③【海老根六】

             今回の作戦概要はこうだ。  【前提条件として、こちら側が認識している敵側の人物が現れた場合、エージェントによる人払いが行われる】   ・今回は左陶鞠子がそれに該当するため、すでに気づかれないように自然な形で人の流れを変え、イベント会場に人が流れないようエージェントが誘導している。  【こんな子供だましのイベントに来ると思われないが、万が一帰還者が現れた場合はこれの確保または殲滅】  【アキについて】   ・基本的には旧SAVメンバー主体での戦闘になるが、帰還者との

          第二十九話 勇者リワーク!③【海老根六】

          第二十八話 勇者リワーク!②【作戦開始】

            「……やばいぞあいつら、本当にやろうとしている」  あのふざけたTVCMから数日経ち、開催予定場所にやってきた。  本当に「勇者リワーク!」を開催するつもりなのか、イベントブースを複数人数で設営している。  これだけ堂々とイベント開催するということは、逆に考えて罠なのではなかろうかと普通に考えるところではあるが、これを無視はできないのが辛いところだ。  ちなみにあのCMはこちら側で編集を加え、広場のアトラクションCMとして再放送しているので世間をざわつかせること

          第二十八話 勇者リワーク!②【作戦開始】

          第二十七話 勇者リワーク!①

             ここ数か月で生活リズムに色々と変更があったが、最近は落ち着いてきた。  朝、目が覚めると、横で寝ているアキを起こさないように(結局俺の布団に潜り込んできている)家を出てAIセイカと他愛もない話をしながらランニング。  帰宅後、ケイカとセイカがこちらの家に来るであろう時間に合わせて朝食準備をする。  幼児セイカには朝食に関して、同じメニューでも飽きないものを食べてもらおうと思っている。  これはおふくろの味ならぬ、オヤジの味を覚えてほしいと考えたからだ。  ま

          第二十七話 勇者リワーク!①

          第二十六話 新同居人

           今日はあわただしい日だ。  午前中に前回のミッションの報告後処理、午後は家に帰ってきて、ライドルトを受け入れるために貸し出す部屋の掃除をしている。  この部屋は俺の青春時代の趣味部屋だった。  ゲーム、漫画、エレキギターや当時使っていたパソコン(PC-9801FS)と大量の3.5インチフロッピーディスクを保管している。  中でも…… 「うおぉ、懐かしい」  押し入れに並べられたエロゲ―。  俺の人生の先生だ。  大事なことはエロゲ―から教わった。  この人

          第二十六話 新同居人

          第二十五話 新体制

            「――で、ここから聞いていて大体わかったけど呼び出しは何だったの?」  ケイカの秘書をしているアキが所長室から出てきた俺に聞いてくる。 「昇進した」 「やった!今日はお赤飯だね!おとっつぁん!」  昇進して少尉になった。  はっきり言って、他国と戦争するわけでもないので、国防とか自衛隊とか軍とかを意識していないし昇進と言ってもあまり嬉しくもない。  昇進したら給料も上がるのかな。よくわからん。  財布はセイカに全部握られているので、俺が一体いくらの資産を持っ

          第二十五話 新体制

          第二十四話 幸せな通勤

            「――ししゃーん」  ……ん? 「あーししゃーんおきてー――」  …… 「あししゃーん、おきてー、おきるのじかんですよー」  顔をペチペチと叩かれる。  しまった寝すぎてしまっていたのか。  これは、幼児セイカが俺を起こしてくれている声だ。でもなぜこんな早朝に?  まあ、幸せならOKです。  理由があってこちらの家に来たのだろう。 「セイたーーーん!」 「きゃ!?」  俺はセイカがいるであろう気配に抱き着いて布団に倒し、一緒にごろごろ転がった。

          第二十四話 幸せな通勤

          第二十三話 家族風呂へ②

           ただ今、一家そろって温泉地の家族風呂に来ている。  つまりどういうことかと言うと、混浴という事だ。  そりゃ家族で混浴なんてよくある事でしょ、でないとこの世の中に家族風呂なんぞ存在しないはずである。  ただうちの家族は特殊なのである。  俺含め(幼女セイカとロボットのセイカは除く)家族は肉体的にピチピチの20歳のままで、言わば高校生の修学旅行[混浴]みたいなものか?いや違うか。  ともかくよそ様の家族と違い、ウチはそれなりに羞恥心と言うものが発生するのだ。  考

          第二十三話 家族風呂へ②

          第二十二話 家族風呂へ①

             日の出まであと二時間もないがひとまず就寝する事にした。  俺の横にはアキが寝ており、さっきも看護師さんから怒られたばかりなのに起床時間に見られたら、また怒られそうな気がしてならない。  就寝前にセイカから送られてきた変更後のスケジュールを確認しておく。  “午前中はこの病院で検査、問題なければ退院して……  ――午後から温泉?家族風呂?“  。・゜・。。・゜・。。・゜・。。・゜・。・゜・。。・゜・。  ――現在、目的の温泉地に向けて車で移動中だ。  午前の

          第二十二話 家族風呂へ①

          第二十一話 病室【26:12】

             ……また病室だ。  北海道くんだりまで来て観光には行けず、負傷して入院とは。  腕と顔の処置が済み、包帯グルグル巻きだ。  今俺が寝ているベッドに伏せてアキが寝ている。時間を確認すると26時を過ぎた頃だった。  俺の横で寝ればいいだろうと言ったけど恥ずかしいから嫌だと断られた。  この前も普通に俺の布団に入ってきたくせに、人前だと恥ずかしいのだろうか。  まあ、そういうところも可愛いのだけど。  頭を撫でてやりたいところだが、無くなった腕側に居るので代わり

          第二十一話 病室【26:12】

          第二十話 デッドヘッズ【??:??】

          ≪セイカ視点≫꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖° 『マルニ、マルヨン、重ねて言うがこれは極秘任務とする。これから起こる事について一切の口外を禁止する』 『――マルニ、マルヨン了解』 『よろしい、では作戦の概要を説明する――』 ・・・・・・ ・・・・ ・・ 『それでは突入を開始する』 これは私、アンドロイドのセイカが単騎で行う初のミッションだ。 現在、対帰還者用機器の試験運転も兼ねて今回の作戦とするものだ。 ゆえに極秘のミッ

          第二十話 デッドヘッズ【??:??】

          第十九話 勇者 四五口宗助の冒険②

           ▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓  何故神崎さんを殺してしまったのか。  それはもう一人の僕に聞いてほしい。僕には全くわからないんだ。  もう一人の僕は自分を不幸にする行動しか起こさない。 「シコ君……どうして……」 「俺はシコ君じゃない!何年も同じあだ名で俺を呼びやがって!」  俺は神崎さんに馬乗りになって何度も顔を殴り彼女の首を絞めていた。  なぜこんなことをしてしまったのか。  しらないよ。だってムカつくじゃないか俺が嫌な気持ちにさせら

          第十九話 勇者 四五口宗助の冒険②

          第十八話 勇者 四五口宗助の冒険① 

           僕の名前は四五口宗助(しごくち そうすけ)。  中学生の頃のあだ名は【シコロー】だ。当然この下品なあだ名のせいでクラスではいじめられていた。  下品なあだ名といじめられている事も手伝って同級生女子にも避けられるようになり、僕の青春時代は灰色のものとなった。  元々引っ込み思案な性格も良くなかったのだろう。大学も人より前に出られず、僕という存在を認知してもらうこと無く学生生活はパッとしない毎日。  ラブやロマンスなんてものは待っていても現実は向こうからやってこない。

          第十八話 勇者 四五口宗助の冒険①