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[UFC] オッズを跳ね返す男

耐え続けて最後に逆転する強さを見せ続け、戦前のオッズを繰り返し跳ね返しているクリスチャン・ロドリゲスは今回改めて自身の力強さを世界に見せつけた。

バンタム級
○クリスチャン・ロドリゲス(11-1)VS.●アイザック・ダルガリアン(6-1)

ラウル・ロザスJr.・キャメロン・サーイマン、そして今回のアイザック・ダルガリアンと無敗で勢いに乗るファイターを立て続けに相手にしてきたロドリゲスはその度に不利予想を覆し勝利をもぎ取って来た。

踏み台とされるかもしれないマッチアップを全て勝利で乗り越えるという難しいミッションをクリアし、負け知らずの猛者の猛攻を受けながらも焦らずにチャンスが訪れまで耐え続け、しっかりと最後にチャンスをものにするタフなロドリゲスは今回の勝利で4連勝とレコードを伸ばしている。

直近3試合の対戦相手はどれもレコード通りの強者ばかりでロザスJr.はグラップリングという強力な武器を持ち、サーイマンはテイクダウンやグラウンドディフェンスに優れた一流のストライカー、そして今回のダルガリアンはスクランブルを制するグラウンド技術で2Rまでロドリゲスをドミネートすることに成功していた。

ロドリゲスは前半は強力なファイターの実力に晒され厳しく追い込まれるシーンが目立っているが、最後には手を挙げている。

忍耐力に合わせて確かなディフェンス技術を合わせ持つロドリゲスは窮地を生き残り、相手が消耗したところを一気に攻め立ててそれまでの劣勢をひっくり返すことが出来ている。

彼はやっと巡って来た千載一遇のチャンスを逃さずにその場面でやるべきことを遂行することができる。

そこには並外れたスタミナとタフネスが存在している。

対戦相手と同じだけ、むしろそれ以上に消耗していてもおかしくない状況下では流れを引き込むチャンスが来てもそれを活かして逆転の手を打つことは非常に難しい。

アンダードッグのファイターが健闘を見せるが惜しくも勝利することは叶わなかったという結果はよく目にするが、そういったパターンで押し切ることが出来ないケースが多いように思う。

しかしロドリゲスはこれまでの戦いの中でそのチャンスを最大限活かすことに成功している。

消耗しながらも下がった相手をしっかりと追って手を出し続け、カウンターのタックルもスプロールしてしっかりと切ることが出来る、そしてポイントをひっくり返すだけのダメージを負わせるという脅威的なパフォーマンスを見せている。

そういったところからも分かるようにロドリゲスは3Rを通したトータル的な強さで差をつけることが出来る選手であり、突出した強さを持つファイターの手札を全て受けて出し尽くしたところを叩くという負けパターンに沈まない強靭さを併せ持っているのだ。

ハイスペックなファイターが弱体化するまで耐え続けて、長所を挫くことでスキル差を埋めて最終的には我慢くらべのような展開へと持ち込み、勝利を奪い取るという非常に渋い強さは、スキルセットだけでは測れない可能性を試合の中に持ち込むことを可能とさせている。

不利だろうけどもしかしたらがあるかもしれないファイターは、対戦の組み合わせをより魅力的なものにしてくれると思うので、有望なファイターを立て続けに退けたロドリゲスが今後どういったサプライズを起こしてくれるのか、今から期待は高まるばかりである。

強者喰いのロドリゲスはバンタム級の中でも特異な存在として輝きを放ち始めているので、選手層の厚いUFCバンタム級の中でも注目のファイターとなっていきそうだ。


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