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揺れたUFC279

直前でマッチメイクが変更となりトラブルに揺れたUFC279が本日開催された。

チマエフVSホランド 小競り合いを起こした因縁マッチ

シャッフルによって割を食った選手もいるだろう中でチマエフはあっさりとホランドを撃破した。

この二人が組まれた時点で多くの人がこの結果を予想していただろうけれど、ホランドにもう少しテイクダウンディフェンスの技術とスクランブルでの強さがあればまだ面白くなったかも知れない。

興奮気味のチマエフは体力の配分なんてお構いなしの戦い方をしていたので1ラウンドを生き残れるかどうかでホランドの勝率も大きく変わった可能性があった。

しかし実際には試合序盤に脇を刺されてクラッチを組まれた時点でチマエフの勝ちがほとんど決まってしまったような感じだった。

チマエフ個人の因縁を晴らす以外に特に意味の無かったホランド戦も終えたのだから、彼には元の位置に戻ってもらって実力の見合ったマッチメイクをしてもらいたい。

個人的にはシャッフルがなかったとしてもディアス戦自体今の実力を考えればチマエフの無駄遣いのようにも感じていたので、次戦ではバーンズ以上のファイターとの試合を期待したい。

かつてのスターの現在地

メインイベントのネイト・ディアスVSトニー・ファーガソンはディアスの一本勝ちで幕を閉じた。

この試合を見て思ったのは改めて両選手とも全盛期から随分と時間を重ねたのだなということだった。

二人の激闘の熱さとは別にそんな思いが要所要所で浮かび上がった。

あきらかに勢いや反応が鈍い二人の攻防は高いレベルでの戦いが困難になっていることを物語っていた。

それでもビッグネームのぶつかり合いというところでメインイベントでも釣り合いが取れるようなカードではあったし、事実両雄の戦いは盛り上がりを見せていた。

それは試合内容だけではなく二人への、取り分けUFCでのラストマッチを行うディアスへのリスペクトが大きく作用していた為でもあったのだろう。

時間の枷を振り解くように力を尽くす二人の戦いは確かに素晴らしかった。

しかし、現実的な見方をすると、この先彼らが現役を続けたとして今が全盛の選手たちに打ち勝つことが出来るかというと、それは非常に難しいことだと思われる。

肉体を使うスポーツなのだから当然そういうものなのだけれど、以前に比べて負傷もしやすくなっているだろうし、体力も続かない。

仕事として試合に出たとしても戦う以上は勝利を求めるだろうし、内容を築くことが求められる。

だからどちらにせよその先の道は狭く険しくなっている。

ただ、UFCラストマッチを勝利で飾れたディアスはまだ次を見据えることが出来るのかも知れない。

他団体への参戦を考えているようだが、新天地でもその人気は恐らく変わらずに轟くだろう。

一方、連敗に連敗を重ねているファーガソンは今後をかなり現実的な目線で考えなくてはならなくなった。

シャッフルの影響

階級の壁が壊れキャッチウェイトになったり、3ラウンドから5ラウンドになったりと想定外の変更が試合直前に起こったのだから選手への影響は多大にあっただろうと思う。

最初に触れたチマエフVSホランドはその影響以上にそもそもの力量が大きく離れていたので、シャッフル云々がどう響いたかというよりそれ以前の問題の方が大きく影響していたように思う。

また、ファーガソンは今回対戦相手がディアスに変わったが、試合を観るとそれはむしろ良かったことなのではないかと感じた。

もちろん5ラウンドに変わったことでキツくなった部分はあると思うが、3ラウンドでもしリー・ジンリャンと試合を行なっていたら若さと勢いでもっと一方的に攻められるような内容になっていた可能性が高い。

また、リー・ジンリャンもシャッフルの影響を受けた一人であり、彼は今回のシャッフルの中で一番割を食った選手かも知れない。

実況で水垣偉弥氏も触れていたがシャッフルに伴い色々と振り回されたのがリー・ジンリャンだった。

見せ場の会見も潰れ、試合相手が変わり、ウェルター級の試合からキャッチウェイトに変更され、通常より大きい相手との試合になった。

そして肝心の試合もスプリット判定負けと際どい判定に泣かされた。

彼にとってはまさに踏んだり蹴ったりの大会となったことだろう。

UFC279

そんな今回のUFC279を見て、やはりスケジュールの変更は成功を妨げることにしかならないと感じた。

優秀なファイターたちは急な変更にも応えるが、本来の流れで行けばもっと良い結果を残せた選手もいただろうと思う。

逆に惨敗を喫す者も出たかもしれないが、それは準備した結果なのだから致し方ないことであるし、そこには何の理不尽もない。

だから通常どおり開催されていれば色々な意味でもっとスマートな内容になっていたかもしれない。

今回は予期せぬトラブルで栄光と理不尽さがない混ぜになったような少し複雑な大会だった。


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