見出し画像

[RTU2] 激闘の1回戦が終了

ROAD TO UFCのシーズン2の1回戦が上海で行われ、フライ・バンタム・フェザー・ライトの4階級のトーナメント戦と非トーナメント戦4試合が合わせて行われた。

アジアから有望な選手を発掘するROAD TO UFCには日本からも多くの選手が出場している。

試合結果 日本人ファイター

  • フライ級 ○鶴屋怜 キムラロックによる一本勝ち

  • バンタム級 ●野瀬翔平 スプリット判定負け 

  • バンタム級 ○上久保周哉 スプリット判定勝ち

  • フェザー級 ●佐須啓祐 KO負け

  • フェザー級 ○神田コウヤ ユナニマス判定勝ち

  • ライト級 ●丸山数馬 ダースチョークによる一本負け

  • ライト級 ○原口伸 TKO勝利 

日本から出場した上記7名の中で生き残ったのは4名。

日本の戦績としては4-3で勝ち越す結果となった。

1回戦の振り返り

圧倒的だった鶴屋怜


引用元:©︎UFC(Photo by Zhang Lintao/Zuffa LLC)

フライ級トーナメントの中でUFC出場権を獲得するのはこの男かもしれない。

そう思ってしまうくらいに圧倒的な実力を見せつけていた鶴屋は、対戦相手に何もさせずに一本勝ちを決めた。

本戦であるUFCの選手に比べて荒さが目立ちがちなRTUではあるが、その中でも高い完成度を見せた鶴屋はこのトーナメントの中で頭一つ抜けているかもしれない。

ただMMAでは何があるか分からない上に、ハングリーさが際立つことになるこのトーナメントにおいては思い切ったパフォーマンスを見せてくる相手もいるだろうと思われる。

それでも鶴屋が自分のペースで試合を進めることが出来れば高い確率で勝利することが出来るはずだ。

海外選手を圧倒して勝ち上がっていく姿をこれから見せてくれるだろう思うので次戦を期待して待ちたい。

果たして全試合フィニッシュという目標を達成することは出来るのか。

勿体無い敗戦と惜しい敗戦


引用元:©︎UFC(Photo by Zhang Lintao/Zuffa LLC)

野瀬翔平のスプリット判定負けは実に惜しい敗戦だった。

アグレッシブに攻め続けたのは野瀬の方だったように感じたが、組みの展開で攻め急いだことでポジションを何度か失ったところが残念だった。

ダメージも稼いでいたように思えたけれど、試合後のスタッツではコントロール時間に大きな差が出ていた。

振り落とされたりせずにグラウンドの展開でも良いポジションをキープすることが出来ていれば、野瀬は勝ち上がることが出来ていたのではないかと思うと余計に惜しいと感じてしまう。

一方で、佐須と丸山は強さを感じ取ることが出来る前に試合を決められてしまった。

佐須は途中まで良い形を作っていたが、ジャブのスピードが遅くハンドスピードが足りない感じがしてスタンドで交わされる打撃戦での危うさがあった。

ただ対戦相手もストライキングが物凄く、脅威的といった感じでもなかったので、このまま相手の攻撃を捌きながら要所で打撃を返してクリンチコントロールしながら優勢をキープして試合を終えるのかと思っていた。

しかし結果はカウンターを当てられてダウンし、パウンドアウト。

2年連続の1回戦敗退となってしまった。

流れを作り始めていただけに非常に勿体無い敗戦。

ダースチョークをあっさりと極められてしまった丸山も、それまでの流れが悪い感じだとは思わなかったので、あそこを抜けられていたらまた違う展開を作れていただろうと思うと、簡単にサブミッションを許してしまったのはとても勿体無く思えた。

諦めない気持ちと勝利への執念


引用元:©︎UFC (Photo by Zhang Lintao/Zuffa LLC)

佐須と同じくフェザー級で参戦した神田コウヤは中国のベテランファイターを相手に激闘を繰り広げ3-0の判定勝ちを収めた。

判定は神田を支持したが、内容は良い打撃を何度も当てられ効かされていた上にタックルからテイクダウンを奪いコントロールするという形もあまり作れていなったので、神田の見栄えはあまり良くはなかった。

しかし判定は神田に傾いた。

それは打撃をもらいながらも前に出て打撃を返し、イーブーゲラを押し返し続けながら印象とポイントを着実に稼いだ神田の勝利に対する執念と諦めない気持ちの強さが呼び寄せた結果だろうと思う。

ただ、これからフェザー級トーナメントを勝ち上がっていくためには打撃に対する反応とバックボーンであるレスリングの技術によるドミネート力が必須になってくるように思えた。

荒くもゴリ押せる地力の高さ


引用元:©︎UFC(Photo by Zhang Lintao/Zuffa LLC)

神田と同様に粘り強い立ち回りで勝利をもぎ取ったのがバンタム級の上久保周哉だ。

UFC入りを狙う上久保はONE全勝という戦績を引っ提げて今回RTUに参戦している。

柔道ベースの上久保は組技に秀でたスキルを持っているが、総合格闘技を始めたのは大学1年生からということもあり、スタンドの展開にはやや荒さが目立つところがある。

今回の試合では早々に相手の打撃を被弾していた。

それでも手を出しながら前進して組んでテイクダウンを狙いに行くという攻撃をしつこく繰り返し続けた。

ダメージで削る相手に対して上久保は組みで削りに行き、互いに試合の主導権を争ったが、最終的には上久保が序盤は奪えていなかったテイクダウンを奪い始めて最後の最後に流れを引き寄せることに成功していた。

厳しい展開がありながらも最後まで自分の試合をやり切った上久保に軍配が上がった。

怯んでもおかしくない状況に陥りながらも、退くことなく最終的には自分の試合へと持っていくことが出来るというところに、他団体で結果を残した上久保の地力の高さが伺えるような試合になっていた。

専門技術の高さが光る


引用元:©︎UFC(Photo by Zhang Lintao/Zuffa LLC)

鶴屋怜に続いてもう一人圧巻の内容を見せたのがライト級の原口伸。

原口はライト級という階級で鶴屋同様に対戦相手に何もさせないままTKOによる完勝を収めてみせた。

それを可能にさせているのが高いレベルに磨かれたレスリングという大きな技術的土台である。

レスリングで全日本王者となっている原口はBRAVEに所属し、レスリングの名手である宮田和幸の下で汗を流している。

今回のRTU1回戦ではそのレスリング技術で原口は相手をドミネートし、終始自分の展開で試合を進めた。

MMAの中でも大きな役割を果たす「組み」の技術の部分にしっかりとした土台があると、大きな差をつけることが出来るということを改めて感じた試合だった。

特にタックルからグラウンドへと有利な展開を築くことが出来るレスリングの技術はMMAに安定感と力強さをもたらしてくれる。

ただ2回戦から決勝まで世界的に見ても強豪の多いライトの階級でどこまで通用していけるのか。

タックル・テイクダウンが上手く通用しなかった時に、スタンドの打撃部分で有効に活かせる引き出しがあるかないかで、上位と戦った時の原口の勝率は大きく変わることになってくるだろう。

全部を混ぜながら強力なレスリングを発揮していくことが出来れば、日本人には厳しいとされるライトの階級で力強い活躍を見せられることになるのではないだろうか。

ライト級の日本人UFCファイターの誕生を期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?