[UFC302]激闘を制したマカチェフが一本勝ちで王座防衛に成功!
UFC302で行われたライト級のタイトルマッチ、あらゆる局面で有利を得ることが出来るマカチェフが圧倒的に優位と見られていたが、挑戦者のポイエーは5Rに渡って激闘を展開し、マカチェフに迫る勢いを見せた。
ポイエーはケージレスリングに持ち込ませないようにサークルの中心で踏み留まりながら、テイクダウンディフェンスをしっかりと行い、マカチェフの強みに対する策を講じてチャンピオンペースにならないような試合展開を見せていた。
その上でストライキング勝負に持ち込み、試合の流れを作ろうとしていたポイエーだったが、距離が近くなったところで首相撲を仕掛けるマカチェフが要所でポイエーの打撃を潰し、密着状態でケージ際まで動くと壁レスの展開を作り、ポイエーを寝かせることに成功する。
結果的にはマカチェフの強みが光る展開が多くなったものの、王者マカチェフも自身の攻撃を防がれスタンドで勢いを持たれると、輝きを失ってしまう場面も見られ、スタミナ面に余力のあるファイターであれば、マカチェフにより厳しい展開を強いることが出来たかもしれない。
スタミナを消耗すると精彩を欠きやすく、やや荒さが目立つようになるマカチェフがタイトルマッチの5Rの中で危険に陥る瞬間があるとすれば、スタミナが大きく削られた時になるのではないかと思う。
今回ポイエーはマカチェフの攻撃を防ぎ、消耗させることに成功していたが、ポイエー自身も加齢に伴う持久力の低下を抱えていた為、マカチェフからアドバンテージを奪うことが出来るほどの攻めに転じることは出来なかった。
そういう意味では非常に惜しいところがあったように感じるが、ここまで歳を重ねたベテランのポイエーが今のマカチェフに勝利を収めるには、やはり色々なものが足りていないような内容になっていたと思われる。
また、お互いに消耗している最終ラウンドの5R目になっても仕留めるチャンスを見逃すことなく、しっかりと一本で防衛を成功させたマカチェフは王者たる所以をはっきりと示していたように思う。
そんなライト級を支配する王者マカチェフを脅かすことが出来るファイターは誰になるのだろうか。
順当に行けば次なる挑戦者はランキング1位のアルマン・ツァルキヤンになると思われる。
過去にマカチェフとタフな戦いを繰り広げているツァルキヤンは、確かにライト級の中で一番期待を持てるファイターであると言えるだろう。
伸び代のあった若いツァルキヤンは年月を経て確かな成長を重ねながら、ライト級のランキング1位にまで上り詰めて来ている。
彼らが再びぶつかった時にどんな戦いが繰り広げられるのか、そこには大きな注目が向けられる。
また、今回王座を防衛したマカチェフは兼ねてより口にしていた2階級制覇を目指す宣言をしており、ウェルター級に乗り込む意志を明らかにした。
相性を考えると、現ウェルター級チャンピオンのレオン・エドワーズはスタミナ面に難があり、後半でマカチェフのレスリングに耐えられなくなることが予想されるため、非常に都合の良い状態にあるのではないかと思われる。
しかし、仮にマカチェフが2階級を奪ることに成功したとしても、その後にやってくる挑戦者をライト級の時のように退けていくことは難しいのではないかと思う。
カマル・ウスマンやベラル・ムハマッド、シャフカト・ラフモノフにジャック・デラ・マダレナ、そしてイアン・ギャリーといったウェルターの強豪ファイターをクリアし続けるのは非常に厳しいミッションとなるだろう。
しかしだからこそ見てみたい。マカチェフがその強豪たちと戦う姿を。
上の階級で負った様々なダメージは適正階級に戻った際にも影響を及ぼすことになるだろうとは思うけれど、その状態で戦うライト級のマカチェフを見てみたい気もする。
何にせよ今後のイスラム・マカチェフの動向はUFCの中でも大きな意味を持ってくることになるので、これからの発表を楽しみに待ちたい。