[UFC289] ライト級注目の一番
女子バンタム級タイトルマッチをメインイベントに据えたUFC289は、当初の予定であったジュリアナ・ペーニャVS.アマンダ・ヌネスのリマッチが中止となり、アマンダ・ヌネスとアイリーン・アルダナの試合に変更されている。
リベンジを果たし、いまだに健在であることを示したヌネスは今回のタイトルマッチでも支配的な動きを見せるだろうか。
ペーニャとの決着戦を行うためにも、アルダナとの一戦をクリアしてベルトを守る必要があるだろう。
ライト級に動きが出る
個人的に一番の注目を寄せているのが、セミメインで行われるチャールズ・オリベイラ(1)VS.ベニール・ダリウシュ(4)の一戦だ。
恐らくこの一戦に勝利した方がライト級チャンピオンのイスラム・マカチェフに挑戦することになるだろうと思われる。
ダリウシュの王座挑戦か、オリベイラとマカチェフの再戦か。
強豪ひしめくライト級のタイトル挑戦の流れが決まってくるような一戦には自然と注目が向けられる。
ダリウシュ優勢か。
ダリウシュはオリベイラ同様に組技に秀でた選手であり、ノーギでの世界王者獲得やムンジアルでのメダル獲得など、実力を示すには十分な結果を残している。
前戦で戦ったガムロットも組技に優れた選手でスクランブルでの強さが特に秀でており、ダリウシュはアンダードッグからのスタートだった。
しかし、結果はダリウシュがガムロットの策を尽く挫き、スクランブルでのディフェンスも徹底したことでガムロットのリズムを乱し、スタンドでの優勢を奪ったことによる完封勝利だった。
それを考えると、今回行われるオリベイラVS.ダリウシュの一戦でもダリウシュはオリベイラの長所を捌ける可能性がある。
けれどオリベイラはガムロットと違い、ストライキングの積極性と圧力といったスタンドでの武器を持っている。
被弾覚悟で飛び込んでいくオリベイラのスタンド攻撃はUFCトップ層の中でも珍しいくらいの突進力がある。
オリベイラはそこでダリウシュ相手にアドバンテージを奪うことが出来るかもしれないが、オリベイラの攻撃は諸刃の剣なので不安も大きい。
かなりの高確率で返しの打撃を被弾して一度はマットに倒れるというオリベイラの傾向を考えると、恐らく今回もダリウシュの打撃をもらってオリベイラがダウンすることが考えられる。
ダリウシュはサブミッション勝利8回に対してKO/TKO勝利5回と打撃でのフィニッシュも複数回決めていることからも分かるように、グラップリングだけではなくストライキングにも強さを持っている。
なので勝利する可能性、又はその要素を多く孕んでいるのはダリウシュの方なのではないかと思う。
一発の被弾を避け、組み展開を捌き、リスク管理を行いながら要所で攻撃を決めていけばダリウシュが自ずと優勢になっていくのではないかと感じる。
また、もしオリベイラが優勢に試合を進めたとしてもフィニッシュしない限りオリベイラは自ら崩れる可能性を持っているので、ダリウシュは劣勢となってもフィニッシュされなければ試合をひっくり返せるチャンスが残ることになる。
そういう点でもダリウシュが優勢を築ける可能性の方が高いのではないかと思う。
王者・マカチェフへの挑戦
新たな挑戦者としての資格を手にする可能性が高い今回の一戦。
次のライト級タイトルマッチを見据えて考えると、ダリウシュが上がってきた方がまだ可能性を感じられるのかもしれない。
何故なら、恐らくマカチェフは一度勝利した相手に遅れを取ることはないだろうと思われるからだ。
初対戦でやってみないと分からない様な部分がマカチェフに届く一手になりうるのだろうと思われるが、そういった要素をぶつけてみても未だに多くのファイターがマカチェフを攻略出来ずにいる。
それを考えると一番敗戦率が高いと思われる初戦で負けなかったマカチェフが、既に情報のある同じ相手と2戦目をやったとしても、負ける確率は限りなく低くなってくるのではないだろうか。
逆に言えば、2戦目でマカチェフに勝つことは非常に困難だということ。
なのでオリベイラが再度挑戦したとしても勝利出来る可能性は極めて低いのではないか思われる。
MMAは何があるか分からないので、もしかしたらという部分はいつでも残っているけれど、それが起きない可能性の方が高いと感じてしまう。
そうなるとオリベイラではなく、まだ未知の可能性を秘めているダリウシュが次期挑戦者となった方が面白くなるのではないかと感じる。
ただ、どちらが挑戦するにせよマカチェフ攻略のイメージはあまり浮かばないが、新たな一面を掘り出すことが出来るかどうか、その点を次のタイトル挑戦者には期待したい。