見出し画像

インフォマート社のBtoBプラットフォーム請求書を取引先に浸透させるのに苦労と工夫した話

こんにちは、jojo太郎です。日本の割と大きめな中小企業(大中小どないやねん)で経理財務部長をしています。今日は、請求書の電子化についてお話しします。

請求書の電子化、といっても、当社の場合は主に仕入れ先から受領する請求書のことです。毎月様々な取引先から届く請求書約3,500通を受領、支払、記帳してます。これがまあ大変な作業な訳です。
これを何とかするために、数年前に当社に導入されたのがインフォマート社の「BtoBプラットフォーム請求書」というシステムです。ざっくり言うと、「請求書を郵送やメールで受け取ると受領する側がいちいち支払システムに入力しないとならないため工数がかかる。そこで発行する会社と受領する会社で同じ請求書システムを使って最初からデータでやり取りして楽しましょう。」という仕組み。
・・・と、ここまで聞いて察しのいい方は「は?それって仕入れ先に強要するってこと?」とお思いでしょう。はい、その通りです。なんじゃそりゃ。
取引先にとっては、「なんか得意先の一つが横暴にも ”自社が使うシステムをお前も使えやー”と言ってきたんですけど!」という状況。しかも楽になるのは主に受領側で、発行側は自社の発行システムとは別にこの仕組みを並行して使わないといけないから、むしろ工数が増える。ということで、「当プロダクトは一部上場の大企業の約9割が使ってます」というインフォマート社のセールストークも、要はバイイングパワーが圧倒的に強くないと、導入できない仕組みですよね、ということの裏返しです。

で、大してバイイングパワーが強いわけでもない当社がなぜか導入してしまったのが約12,3年前。当時、取引先にお願いしたものの、ほとんどに断られたまま、このシステムだけは使い続けている、という謎の状況。ワオ!

で、その後、私が経理財務部に異動してきてやったのは、まずは事実確認。
どれだけの取引先が使ってくれとんねん、と。
1ヶ月に受領する請求書は、2022年10月当時、1,045社から発行された3,234枚。そのうちBtoBプラットフォーム請求書を使って発行されていたのは、
135社が発行した441枚。
社数で見ると全請求書の12.9%、枚数で見ると全請求書の13.6%、でした。
逆に言えば約85%強の取引先は使ってくれておらず、封書やメールで請求書を受け取っており、それを当社の経理スタッフがせっせとBtoBプラットフォーム請求書に手入力でデータ化してました。
な ん じゃ そ りゃ。我々はシステムの下請けかい!

で、目標を立てました。取引先の50%、いや、せめて40%に導入してもらい、データで請求書を受け取ろうと。まずは仲の良い取引先でまだ導入してない会社の社長さんへ電話しました。どもども、お久しぶりです。ね、社長さん、当社へ毎月発行されてる請求書を、BtoBプラットフォーム請求書を使って発行してくれません?え?他のシステムを使って発行してるから、オタクに発行する請求書だけBtoBプラットフォーム請求書(以下BtoBプ請求書)を使うのは経理がパンクしちゃう?そこを何とか・・・・ええ、他の取引先さん全員に同じようにお願いするつもりですよ。え?IT詳しい人がいなくて導入の仕方が分からない?じゃあ今度詳しい者に御社の経理担当へ電話させますから・・・。
電話すること10分。半ば強引に導入して貰うことを約束してもらいました。ふぅ、おい、この交渉をあと900社以上やるんかい!これはとてもムリだってんで、作戦をたてました。


やったのは、法人営業と同じ手法です。
1.リストクリーニング
 取引先リストがちゃんとアップデートされてなかったんで、直近1年間で発注履歴があった取引先に絞り、そのうちまだBtoBプ請を使ってくれてない取引先をリスト化(1,500社ありました)。
 そのリストを、下記4つに分類しました。
  a)大企業
  b)中小企業だが当社の発注頻度が高い
  c)中小企業で当社の発注頻度が低い
  d)個人事業主
 aが最も導入してくれる可能性が高く、dが最も難易度が高い訳です。
 こうすると、見込み客のアタックリストになりました。それぞれの分類に
 おいて何社に導入して貰うのか、目標を立てました。

2.社内啓蒙
 社長・役員・各営業部長に話しを通して、全社員に向けて「取引先にBtoBプ請求書を使ってもらうぞー!その連絡を経理からゴリゴリするぞー。各発注担当も協力してね」という連絡をしました。

3.ダイレクトメール(封書) 
1,500社に向けて、まずは郵送のDMを送りました。「当社はBtoBプ請求書を推進しますので、改めて協力お願いしますね」という内容。封筒は印象に残るように「請求書に関する重要なお願い」と赤文字を添えてラベル印刷しました。いきなり全リストに送るとフォローアップが追いつかない&改善ができないので、1度に100通送って、反応を見て改善し、また2日後に100通送って、を繰り返しました。

4.ダイレクトメール(メルマガ)
封書が届く頃にメールを送りました。メール配信ソフトを使って、事前設定、管理しました。開封率も測定し、文中にはクリック測定できるURLを忍ばせました。パラメータも振りましたよ。開封率、クリック率を測定しながら、次の100件を送る時に件名や本文を少しずつ変えて、反応が良くなるように改善を続けました。メール配信ソフトはblastmail を使いました。シンプルな機能、直感的に分かるUIで、初めてでしたが簡単に使えました。

5.文中のURLをクリックした方から優先にTEL
開封し、クリックした方は、現在ホットな方なので、優先してTELします。(ま、結局全員TELするんですけどね。)
「(さっきクリックしましたよね!知ってるんですよ!・・ではなく)請求書についてお知らせをお送りしたんですが、赤い文字が書かれた封筒で・・届いておりますでしょうか?」といった具合に。(相手がイエスと言う質問をします)
自分一人でやる訳にいかないので、当社の経理メンバー用にトークスクリプトを作成しましたよ。

6.2通目、3通目のメールを設定・管理
 ほぼメルマガですね。インボイス制度や電子帳簿保存法とか、トピックを
 変えて色々書きました。読み手は中小企業のおっちゃんなので、その人が
 読んだだけでメリットがあるような読み物になるように意識して作りまし
 た。一気に全宛先へ送らず、100通ずつ送り、開封率やクリック率が良く
 なるように件名など改善しましたよ。地道ですね。

7.OKと言ってくれた方のために、マニュアル作り
 インフォマート社が作ったマニュアルは、とにかく分かりづらいんです。
 それをそのまま取引先に送っても、理解できなくて結局質問が当社にきま 
 す。それどころか、面倒になって導入をやめてしまう会社も出る始末。
 せっかく説得したのに勿体ない!
 てな訳で、(インフォマート社へ心の中で悪態をつきつつ)
 仕方ないので自分でマニュアルを作りました。
 
 ・パワポverマニュアル(改訂を重ね、最終的に70ページになりました)
 ・動画ver.のマニュアル4本
 を作りました。
 最終的には専用のLPを作り、パワポも動画も見られるようにしました。

・・・そんなことを2ヶ月続けた頃、
請求書の34.2%がBtoBプ請求書になりました。元が13.6%だったんで2.5倍の取引先が導入してくれたんです。
更にその3ヶ月後には
月間に届く請求書3,278枚のうち、1,681枚(51.3%)
がBtoBプ請求書で発行されるようになりました。やったー!
目標達成だー!
(※取引先社数では760社のうち、287社の37.8%が電子化してくれました)

ここでやったことは、まるっきり
法人相手のマーケティングと、セールスですよね。
良い経験になりました。

もしあなたの会社がBtoBプラットフォーム請求書を導入しようとしてるなら
同じような苦労が待っております。その時、この手記を参考にして頂けたら幸いです。


追記

上記を行った約1年後に思うこと、を置いておきます。




この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,502件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?