7月10日豪雨災害に関する今後の対応について
7月10日(月)未明からの大雨災害により、町内各地で甚大な被害が出ています。
発災の直後から、避難指示等の発令や避難所の開設、避難誘導、冠水箇所の連絡対応などに始まり、町役場は完全に災害モードに切り替わりました。
町職員や消防団、消防関係者は、次々と寄せられる救助要請、冠水して通行不能となった道路の規制など、献身的に尽力したと思いますが、町内で1名の人的被害が生じたことは痛恨の極みです。
皆さんもご承知の通り、広川沿いの住家が2軒倒壊し、濁流に押し流される映像がテレビで繰り返し放送されました。
ほかにも、山間部で大規模な土砂崩れが発生し、住家1軒が飲み込まれています。
この家で暮らすご家族は、昼食で食卓に集まっているときに、山から恐ろしい轟音が聞こえたため、家族一緒に裏口から逃げ出したそうです。
そして自宅から離れたわずか数秒後、目の前で家が土砂に飲み込まれていきました。
「家族がバラバラにいたら、逃げ遅れたかもしれないし、玄関の方へ逃げていたら巻き込まれていたかもしれない」と話されていました。
この少し下流部には、住家の基礎が濁流でえぐられ、数本の柱だけでかろうじて建っている状態の家がありました。
悲惨な姿となった我が家を見て、この家の住民は泣き崩れました。
その背中をさするしか、私にできることはありませんでした。
いずれも人的被害が出ていてもおかしくなかった状況であり、被災された方のお話を聞くたびに胸が痛みます。
翌11日(火)になると、徐々に全体の状況が明らかになり始め、過去に例を見ないくらいに甚大な被害が生じていることが分かってきました。
住宅の床上浸水、床下浸水は多数報告され、これから現地調査に回る予定ですが、100軒は軽く超える見込みです。
自動車の水没被害も多数生じています。
道路や護岸が崩れている箇所は、大小あわせて100ヶ所以上あるようで、山間部の集落は一時孤立しました。
現在は解消しているものの、迂回路は普段の倍以上の時間を要するため、生活道路の早急な応急復旧が必要です。
農業の被害も甚大で、ビニールハウスの倒壊も複数報告されており、倒壊を免れたハウスにも濁流が入り込んでいたり、水田や畑に土砂が流入したりと、農作物に大きな被害が出ています。
自動車と同様に、農業用機械も水没して動かないものが多数報告されています。
山間部の農道や林道に至っては、倒木や路面崩壊で通行できない場所が多数あるために、さらに奥の被害は把握することさえできません。
12日(火)からは、運動公園を仮置き場として、家々から搬出される災害ゴミの受け入れも始めました。
自宅に戻れない方のために、自主避難所や福祉避難所の運営も継続しています。
発災直後からこれまでは、救援活動や災害ゴミの片付け、応急復旧対応が町役場の主な仕事でした。
発生から1週間程度経過すると、次は被災者の生活再建や事業者・農業者への支援が主なものとなってきます。
災害対応は、徐々にフェーズが変わっていくのが特徴です。
今後の流れとしては、すでに国の「災害救助法」の適用が決まっているため、まずはこの法律に基づく支援を迅速に提供できるように努めます。
次に、被災した住宅の現地調査に速やかに着手し、今回の被害が一定の基準を超えていることを確認したら「被災者生活再建支援法」の適用を進めます。
この法律の適用要件に該当し、支援が受けられるようになると、被災者への支援金額や支援対象の幅がさらに拡充できます。
そのうえで、「町として独自に何ができるか」を検討することになります。
具体的には、法律に基づく支援に町が独自で上乗せしたり、法律が適用されない被害に対し町が独自で支援策を設けたりすることになります。
これから、上記の流れで町職員が一丸となって対応していくことになりますが、限られた人数であるため、通常業務の見直しや現体制の一時的な変更が必要になります。
とにかく、私はこの1ヶ月間、災害対応を最優先に取り組むと決断しました。
具体的には、行政として最低限必須となる業務を除き、この1ヶ月の間に予定していた事業やイベントを中止または延期します。
1ヶ月以上先に予定している事業やイベントでも、準備業務が現段階から必要となるものについては、同様に中止や延期とすることにしました。
主なものとしては、町民体育大会や広川まつりなどが中止です。
そのほか、小中学生を対象とした事業も中止になったものがあります。
そうやって復興支援にあたる時間や職員を増やさなければ、被災者に寄り添った支援を行うことはできません。
ようやくコロナ禍が落ち着き、住民の皆さんが楽しみに待ち望んでいたイベントや事業の復活を、再び中止したり延期したりすることは苦渋の決断ですが、どうかご理解とご協力をお願いしたく存じます。
被災された方々が心休まる時間を取り戻し、道路や河川に残る爪痕が消えたときには、ぜひ町民の皆さんを大勢巻き込んで、復興を祝うイベントを盛大に行いましょう。
それまではみんなで頑張っていきましょう。
がんばろう、広川町!
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