ケリー　2

デパートの宝飾品売り場で働いていたK村・・・

そんな彼と　久しぶりに飲み屋さんで顔を合わせた俺だった。

「先輩！　ピアスって片耳ずつ作れるって知ってましたか？？」

K村の問いかけに　一瞬　何を言ってるのか分からなかった俺・・・

当時（３０年ほど前）は　今のように　片耳ピアスなどしてる人は見当たらず、当然　ピアスもセットで売られていた。

K村　「ピアスって　片耳ずつオーダー出来るんですよ！！　っていうか　高級品だけですけどね！！」

俺　「ふ～～ん・・・　分かった。　でもそれが俺の話した『スナック純』と　どう繋がるんだよ？？」

K村　「それなんですが　実はあの店・・・　ピアスを使って　客を騙してるって噂が有るんですよ！！」

俺　「噂？？？」

K村　「同業者のSデパートの店長が言ってたんで　嘘か本当か分からないですけど・・・　あの店の女の子とお客さんが同伴で　頻繁にダイヤのピアスを買いに来るらしいんです。それも片耳分だけ・・・・　何でも　もともと女の子が片方だけ持っていて　残りの分をお客に買わせるんだとか・・・」

俺　「えっ！？　何でそんな面倒臭いことをするの？？　ドハマリの客にセットで買わせればいいんじゃない？？？」

K村　「そりゃ　そうでしょうけど　それじゃあまりに露骨過ぎて客も用心しますよ！！　それに　女の子もピアスを何個も持っていても　あまり意味が有りませんし・・・」

と言う訳で・・・、彼の話を要約すると・・・

嵌りそうな客を見つけると　或る日　その客の前で　片耳だけのダイヤのピアスを付けて店に出るオネエチャン・・・

当たり前のように　客が「そのピアス　どうしたの？？　一つ失くしたの？？？」と尋ねる。

すると「ピアスが大好きで　お金を貯めて　片方だけ自分で作ったんですよ！！」と答える。

スケベな客は　『それなら　その残りのピアス　俺が買ってあげようかな！？　片方だけなら値段も安いし・・・　（もしかして　それがきっかけで　ウフフフフ・・・）』と勘違いしてくれることが多いらしい・・・

（片方だけと言っても　0.5カラットクラスで軽く4～50万はする）

ピアスが出来上がると　何回かそれを付けてお店に出るが　しばらくすると「買い戻してくれ！！」と持って来る。

（ダイヤのピアスは　磨けば　すぐに新品に生まれ変わる）

そしてまた　違うスケベ客と一緒に来て　片方だけ注文する。

結局　同じピアスがオネエチャンと宝石売り場を往復するだけ・・・

しかし　その回数が増えれば増えるだけ　オネエチャンのお小遣いは増えて行く。

（売り場のほうも　その都度　儲けを乗せられるから文句は言わない。　適当に話を合わせるだけ・・・）

俺　「それって結構　悪どいな！！　お店ぐるみでやってるのか？？」

K村　「たぶん・・・　うしろで糸を引いてるのは　純のママだって　もっぱらの噂です」

俺　「そうだよな！　２０歳ぐらいの小娘が　そんなことを考えつく訳ないもんな！！」

K村　「最初の片方のピアスも　ママの持ち物って噂です。女の子に貸して小道具に使っているとか・・・」

（スナック純のママ・・・　一体　どんな女狐なんだ！？）

逆に興味が沸いて来た俺なのであった。

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