見出し画像

秋の七草、新しく選ぶとしたら?


季節に関する事典で見つけたのは

 つい最近まで暑い日が続いていた。昨年の日記を見ても、同じ週の気温が昨年より高いこともあり、年々気温が高くなるのを日記からも感じられた夏だった。もう10月が来るのにと思っていたら、あっという間に秋の気配。今年もすぐに冬が来てしまうのだろうか。最近は過ごしやすい期間が少なくなり、ゆっくりと秋を楽しむことも少なくなった。いくら暑いとはいえ、夏好きには寂しい限りである。
 さて、先日新たに花の苗を買って来た。我が家にやってきたのは、ホームセンターで安売りされていたナデシコの花だ。昨年も購入したのだが、秋が過ぎたら間もなく枯れてしまった。品種にもよるが、もう少し長く楽しめるはず。今年はもう少し長く咲いてほしいと思いながら、家にある季節に関する事典をパラパラとめくっていたら、新・秋の七草という項目を見つけた。

山上憶良の秋の七草と、文化人が選んだ新・秋の七草

 秋の七草といえば、山上憶良が万葉集で詠んだ「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」と「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」の二種が有名だ。ちなみに、尾花とはススキ、なでしこは日本原産のカワラナデシコ、朝顔はキキョウを指す。

昨年我が家に来たナデシコ(カワラナデシコではない)
こちらも昨年我が家に来たキキョウ。個人的に一番秋の花という気がする

 これに対して「1935(昭和10)年に当時の東京日日新聞が七人の文化人に選んでもらった『新・秋の七草』」があるという。それによると新たに選ばれた花は、コスモス(選者:菊池寛)、オシロイバナ(選者:与謝野晶子)、ヒガンバナ(選者:斎藤茂吉)、シュウカイドウ(選者:辻永)、アカマンマ(選者:高浜虚子)、ハゲイトウ(選者:長谷川時雨)、キク(牧野富太郎)の七種になったという。

シュウカイドウ(写真提供:photoAC)
ヒガンバナ。赤が主流だが、これは白ヒガンバナ

女学生の人気投票結果は?

 面白いのが、女学生に人気投票をしているところである。個人的には1位がコスモスで、オシロイバナ、ヒガンバナと続き、シュウカイドウ、キク、ハゲイトウ、アカマンマの順か。ハゲイトウとアカマンマはどちらも同じような位置づけだが、アカマンマは雑草というイメージが強い。

アカマンマ。子供の頃によく取って花束にして遊んでいたからか、
雑草というイメージが強い(写真提供:photoAC)

 それはさておき人気投票の結果はというと、「一位はキク、二位はコスモスで、下位はヒガンバナ、アカマンマでした」とのこと。すべての順位が載っていないのが残念だが、アカマンマが下位とはやはり花も地味なら雑草というイメージも強すぎるからではないだろうか。とはいえ、一位がキクになるとは意外であった。選者が植物学者の牧野富太郎というのも、投票数が伸びた一因か。女性選者の花が上位にも下位にも来ていないのも、興味深い。

ハゲイトウ(写真提供:photoAC)

 これを現代に置き換えたら、どのような花が選ばれるだろう。この時も日本原産にこだわって選んだわけではなさそうだから、今であれば洋花で占める結果になるか。個人的には日本が原産地(他に朝鮮半島、中国、シベリア、ヨーロッパ)でもある吾亦紅(ワレモコウ)なんて入ってくれると、とても嬉しいのだが。みなさんだったら、何を選ぶのだろう?

<参考文献>
『季節の366日話題事典』(倉嶋厚著 東京堂出版)
『non-noガーデニング基本大百科』(集英社)

 


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?