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「シンドラーのリスト」を観ていたとき父の言ったことが衝撃だった

「シンドラーのリスト」

この映画は30年ほど前にスティーブン・スピルバーグ監督によって制作された映画だ。
ユダヤ人の血を引く監督がこの作品だけは自分の監督生命をかけてどうしても作りたいと強く願い、10年ほどの月日を費やし作った大作らしい。

当時かなり話題になったし、とても高い評価を得た作品だ。
今でも普及の名作として残っており、映画配信のサイトで観ることが出来る。

映画が公開されたとき私は学生だった。
社会の先生が授業中にこの映画に触れ、歴史を知る上でとてもいい映画だから観るのを薦めていた。

私は劇場には見に行かなかったけれど、レンタルビデオが出た時すぐに借りてみた。

とにかく衝撃的な内容だったので子供だった私はとてもショックを受けたのを覚えている。
ユダヤ人の虐殺のシーンは恐ろしいほど生生しく、まともに見ることが出来なかった。

「ユダヤ人の大量虐殺」は授業で習ったが、サラッと先生が言っていただけ。日本史を中心にやっていたという事もあるが…。

教科書にも載ってあったが記憶にあるのは白黒の小さな写真とその下に3行くらいで短い説明が書いてあったくらいだった。

私は映画を観ながら、どうして何もしていない人たちをユダヤ人と言うだけで殺すのか訳が分からず、気分が悪くなってきた。
ユダヤ人をゴミ扱いし、虐殺を繰り返すドイツ人がとてもひどい人たちに見えた。

横で一緒に観ていた父に
「ねえ、この映画って本当?!本当にこんな事あったの?
ドイツ人ってこんなひどい事ユダヤ人にしたの?」
すると、父は
「したんだよ。けど、日本人も同じようなことをした。」
「え?どういうこと?」
「戦争中、日本人も中国人や韓国人に同じようなことをしてる。」

本当に驚いた。
当時の私は全くそういう史実を知らなかったから。
だからなのかな。戦争が終わった今でも日本人を嫌う中国人や韓国人が多いのは…。そう思った。
「シンドラーのリスト」を観て、ドイツ人はひどいと思ったが、父の言葉を聞いたときそうじゃないんだと思った。

「どこの国の人は残虐だ」という事ではない。

人間はどこまでも残虐になれるんだ。

でも、自分もその人間なわけで。
私は大丈夫!と思いたいがその時代に生きた人たちもそういう人たちがいただろう。けど、その時の指導者、環境、雰囲気などで脳が徐々に慣れていってしまうんだろうと思う。
ナチスのような恐ろしい考え方には慣れたくないが、実際巻き込まれてしまうと自分だってどんな行動をとるのか分からない。

どこかの本で読んだことがある。
「人間の脳は順応するために大きく進化した」
確かにそれは必要な能力だ。
自分が行った場所、所属している会社、友達の雰囲気を感じ取って「ここはこういう文化なんだ、こういう感じなんだ」とある程度その場に自分が馴染んで行くことは大切だから。
どこへ行っても自分のやり方、考えの押し付けじゃ社会でいられないだろうし…。

難しい脳のメカニズムは私には分からないが、やっていて「これはおかしいのでは…?」と思ったら、そこに属していない人たちの意見も聞きたい。

そうやって自分たちを客観視する努力、そういう能力を持っていたいと思った。




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