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育休後の退職は悪か。

私には人に言いづらい過去があります。
それは、産休・育休を取得後に復帰せずに退職したこと。

生き方、働き方は自由でいいはず。しかし、育休後に退職することに否定的な風潮があります。

先日あった友人に、育休後に退職した経緯をはなすと「それ、アカンやつ!w」と笑われる始末。友人は「でも、実際はそうやって辞める人多いからね。全然いいよ!」とフォローしてくれたのですが、私の心の中はモヤモヤ。

それは、世間一般に育休を取得して退職するのは「悪」であるという風潮を再確認したから。実際に辞めた側の私でさえも、罪悪感をしっかり抱えながら退職したのです。

この「悪」には一体何が含まれているのだろう?と考え、note書いてみました。

育休後の退職が悪だと思われている理由

理由1:給料泥棒、あるいは税金泥棒!?

日頃、産休・育休に関わる制度に接していない方の中には「育休中は仕事していないのに、会社からお金がもらえていいなー。」と思われている場合があるかもしれません。かくいう私も、独身時代にはそんな風に勘違いをしていました。

そう、勘違い・・・
産休・育休中にもらうことができるお金(出産手当、出産育児一時金、育児休業給付金)は税金と雇用保険料で賄われているのです。
会社は育休中の社員を抱えていたとしても、損失がありません。
なので、育休後にしないとしても「この給料泥棒!!!」と会社に言われる筋合いはないのです。

しかし、手当だけ受け取って退職してしまっては、税金泥棒では!?という疑念が残ると思います。
この件については、こちらの弁護士さんが書かれたnoteがとても参考になります。

この記事は育児休業給付金について、政策的意図から解説がされています。以下その部分について引用させていただきます。

育児休業給付金は、育休中の雇用継続を促し、育休後の復帰につなげやすくする側面があります。ただ、これはあくまでも、制度の背景にある政策的な目標の1つにすぎず、育休後に復帰しない行為に法的問題があるわけではありません。

また、育児休業給付金は、合計特殊出生率の低下とともに、少子化対策として段階的に水準が引き上げられてきた経緯があります。このような沿革からも分かるように、育児休業給付金は、育休後の復帰促進よりもむしろ、働く世代が積極的に出産・育児をしやすくするための給付という側面が大きくなっています。

復職の自信がない人は育児休業給付金をもらうべきではない?|弁護士石田優一

この記事を読むまで、育児休業給付金は復職を促すためにあるのだと思っていました。しかし、どうやらそれだけではないよう。
多様な生き方•働き方が男女ともある。に少子化も問題。そんな社会背景から、子どもを持つ選択を後押しする制度なんだなと感じました。
だから育休を取得したからといって、労働者として働くことだけに縛られなくて大丈夫。税金泥棒なんかじゃないのです。

理由2:お世話になった会社への裏切り!?

結論から言うと、産休後退職したとしても会社を裏切ったと思う必要はありません。

企業にとって従業員の退職のリスクは、出産育児だけではありません。従業員の不足などは経営問題であって個人が責任を感じる必要はないのです。従業員規則に則り、規定の期日までに余裕をもって退職の意思を示せば責を負うことはありません。

従業員が育休を取得した後も復職しやすいような環境を整備することも、経営陣の重要な仕事なのです。

育休後退職のモヤモヤ・・・を自己分析

ここまで育休後の退職は「悪くない!問題ない!」というスタンスでお話してきましたが、やっぱり何だかモヤモヤが残ります。

このモヤモヤの正体は、働き方への向き合い方が足りなかったからだと思います。

私が退職したのは育児が想像以上に大変で、体調もなかなか戻らなかったから。これには偽りはありません。
しかし、退職の理由はそれだけではありませんでした。

退職した一番の理由は、仕事がずっと辛かったから。

前の職場では長時間労働が常態化していて、体力的に限界寸前でした。社内外との交渉ごとが多くあり、精神的にもすり減る毎日。
「こんな仕事もう辞めてやる」と5年間(!)も思っていたのですが、転職活動する気力もなく本当に苦しい日々でした。

そんな中で妊娠が分かった時は、新しい命への喜び同時に、仕事から逃れられる安堵感もありました。

産休に入るまでも、ノルマ達成のために深夜まで働き続けました。
復職後の働き方を上司と議論することもなく、逃げるように産休・育休に。

仕事が忙しさを理由に、自分の働き方を改善する努力も、工夫も怠った上での退職。後味が言い訳ありません。
仕事内容や環境があっていなかったのなら、早いうちに転職をすればよかった。でも勇気がありませんでした。

本当は仕事に揉みくちゃにされている時、立ち止まる時間が必要だったのです

図らずも、私にとって子育に専念しているこの期間は、大切な立ち止まる時間になったようです。

沢山の人に迷惑をかけたかもしれない。
がっかりさせたかもしれない。

それでも私の人生。
少しズルくても、自分を優先する決断も悪くないのかもしれません。

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