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綾辻行人『十角館の殺人』

 ドラマを見るにあたって、十数年ぶりに再読。
 新本格ミステリーの皮切りとなった作品です。
 所謂「孤島もの」、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』をものすごく上手く料理している作品です。
 S町の沿岸にある角島にサークルの合宿に赴いたK大学推理小説研究会の面々。彼らが互いを高名なミステリー作家から取ったあだ名で呼び合う、その様子だけでもうミステリーファンとしては堪りません。そして彼らの泊まる「十角館」で次々と起こる惨劇。一方本土では、かつて角島で起きた事件を追う者たちがいた……。
 ドラマ化にあたって、「あの衝撃の一行」という言葉が使われていますが、読み返しても、あの衝撃の一行で全てが明らかになる仕掛けは素晴らしい。
 今回改めて読んで、今、ミステリーは当たり前になって、たくさんの作品が世に送り出されているけれど、これを超える作品はなかなかないなあとしみじみと思いました。

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