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米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』

「小市民シリーズ」、第2弾。15年ぶりの再読。
「古典部シリーズ」が有名な米澤穂信ですが、私はこの「小市民シリーズ」や「太刀洗シリーズ」の方が好きです。
 この小市民シリーズの主人公の小鳩くんと「共犯者」の小山内さんは、パッと見ると大人しい高校生のカップル。ところがそのじつ、探偵気質の男の子と復讐を愛する女の子が、「小市民」を目指しているのです。
 この「小市民」を目指す気持ち、実は私はすごくよく分かります。私自身、中学生の頃は成績学年トップで空気が読めず、不良にも言い返す度胸の持ち主。更にはクラスメートより本を優先するタイプだったので、悪目立ちしていじめられていました。だから、高校生になるにあたって決めたのです。「目立つことのない、大人しい高校生になろう」と。
 話が逸れました。戻ります。この巻で重要な役割を果たすのは、スイーツか大好きな小山内さんが作った地図、〈小山内スイーツセレクション・夏〉。これが、この夏の運命を左右します。私が好きな話は、「シャルロットだけはぼくのもの」。スイーツ好きの小山内さんに付き合ってスイーツを食べていた小鳩くんが、初めて感動したケーキです。この作品は、スイーツの描写が美味しそうなのも特徴的。小山内さんがりんごあめを語る様子が特に鮮烈です。
 中心となる小山内さん誘拐事件の謎解きは、最初の段階は私も推理できました。だって、ヒントがあったから。その続きも、覚えてはいたけれど、やっぱり満足の一冊でした。
「小市民シリーズ」は、7月にアニメ化します。その前に読んでみては如何でしょうか?

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