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達人の話

 過去にほんの一時ですが、カードマジックを教わっていた時期がありました。

その方は、カードマジックの達人です。

 とあるマジッククラブで会ったのが切っ掛けで、数回ですが個人的に喫茶店で会う事もありました。

達人「デック持ってる?」
僕『はい。これです』

僕はデックを渡しました。
その人は僕の渡したデックをケースから出して手に持ってこう言いました。

「ボ○ムディール練習してるんや」

「手品では使い勝手が…」と話が続きそうになったところを驚きのあまりに話を遮ってしまいました。
『何で僕がボ○ムディールを練習している事が分かったんですか???』と聞くと、「ん~、デックの汚れ方とかフィットする感じで何となく分かるよ」って言われて驚愕しました。

 その方と会ってる時に強烈な記憶があります。
僕はその技法にあまり興味は無かったのですが、何となく気になっていた技法があります。

それは❝クラ○ック・パス❞です。

この人はどんな感じでやるんだろうと思ったのと、ひょっとしたら「必要ないから使わない」とか言われるかなぁとか思いました。
使わないなら使わないで、その辺りの考え方も聞けるかと思い、一度聞いてみました。

『もし良ければでいいのですが、クラ○ック・パスを見せてくれませんか?』と尋ねたところ、「最近あんまり練習してないけどなぁ」なんて言いながら、見せてもらう事になりました。

その時の衝撃は、忘れられません。

その技法の動作に入る瞬間、視界が白くなるというか、ぼやけた感じになって、目で見てるはずなのに、気が付けば終わってました。

ん? と思い、天井を見てみても何もなく、
横の壁を見ても何もありません。
目に問題はありません。

僕が『すいません。もう一度いいですか?』
「ああ、いいよ」

また、同じ事が起こりました。

とりあえず僕は『有難う御座いました』と言いました。

そう言ったものの、何だったんだ今のは?!

デックの中程のカードを見せ、裏向きに戻し、揃えて…←この後の部分が、視界にモヤがかかった様に見えなくなります。

 その話を当時の手品仲間に話をしても信じてもらえませんでした。

ある時、その手品仲間と達人の人が一緒になる事があり、他の人達と離れて3人になる事があったので、頼んでみました。

「ああ、いいよ」

僕と手品仲間の2人で見ました。


『有難う御座いました』

達人と離れて、手品仲間と話しました。
手品仲間が言いました。

「ホンマやな!その部分だけ見えへん様になるな!」


後日、その事を直接、達人の方に伝えた事があります。
そしたら達人の方が、

「へぇ~、そうなん?」

と普段通りでした。

特別、意識して何かをした訳では無さそうでした。
達人の方は、練習していて、何か特別な領域に入ったのかも知れません。
今でも忘れない、僕の思い出の一つです。

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