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カード当てを避ける理由。

 前回の最後に“カード当ては、なるべくしない”と書いた理由の一つを書きたいと思います。

 カード当ての手品は沢山あります。
なのに演じない理由は、覚えてもらうお客さんにプレッシャーを与えるからです。

 手品をやってる人は慣れているから覚えるのも簡単ですが、慣れていないと“マーク”と“数字”と言う、ふたつを覚えておかないといけません。

こんな経験はありませんか?
普通は「ハートの7」とか「クラブの3」の様に言うのですが、「8のダイヤ」みたいに数字を先に言う人が居ます。
この“普通”と言うのも時代の流れで変わるかもしれましんが、今の所マーク・数字の順に言います。
ですが、逆に言う人が居たりするのは、トランプで遊んだりする事が減ったからでは無いでしょうか。

なので『数字の数だけトランプからカードを配って下さい』と言う場面で、「J(ジェイ)って何でした?」と聞かれたりします。

 最近ではスペードやクラブやダイヤ等、マークの名前も知らない人も居ます。

 なので そんな人にとっては、謎のマークの形と数字を覚えておかないといけません。
しかも忘れてしまうと、そのマジックが台無しになってしまう可能性もあるので、かなりのプレッシャーだと思います。

ましてや「周りに見せずに1人だけで覚えて下さい」ってパターンもあるので、カードが当たるまでの間が長かったりすると、間に面白い事があっても笑えません。

最後にカードの名を聞かれて、マークの名前を間違ったら恥をかくのではと言う恐れなどがあります。

こうやって考えると、ちょっとしたストレスですよね。

 なので、僕はテーブルホップで20~30分入っていて、カードマジックが多かったのですが、覚えてもらうのはほとんどしません。
全く演じない時もあります。
やっても1回か多くて2回。

 カード当てでデックの表を見る場面の無いものは、演者も見て行います。
演者が知らない前提でないと成り立たない手品をする時くらいしか覚えてもらいません。

 お客さんに『選んだカードは何でした?』と聞いて「K(ケー)の、こんな形(ゼスチャー)」なんて事もあります。
ちなみにその時はダイヤのキングでした。
かと言って、そのお客さんを茶化したりはしません。
僕は『あ〜、ダイヤのキングですね』と言って普通に続けます。
カードの名前を知らなかったことを笑いに持って行こうかと思った事もありましたが、せっかく手伝ってもらったのに、他のお客さんの居てる所で笑いのタネにするのもどうかと思うし、かと言って そのお客さんに合わせて『キングのダイヤ』と数字から言うと、他のお客さんは「マジシャンが数字から言うって事は、数字から言うのが正しいのか」と、勘違いをさせてしまう可能性もあるので、僕は『ダイヤのキングですね』と言って普通に続けます。

 ここを読んでる人で、ひょっとしたらこう言った事例を防止する為に、マジックを始める前に、カードのマークの名前や数字の説明をしたら良いなんて考えた人は居ませんか?
そんな事をしたら、カードの事を知らないお客さんにしたら、ちょっとした記憶テストになってしまうので、ますます楽しめなくなります。

 そうやって考えたら、覚えてもらうのはやめた方が良いと思います。
お客さんに選んだカードを聞くパターンのカードマジックは避けた方が、お客さんも気負いすること無く楽しめるのではないでしょうか?

僕がカード当てをなるべくしない理由の一つを書きましたが如何でしょうか?
カード当てをなるべくしない 他の理由はまた別の機会に…。

読んで頂いて有難う御座います。もし、宜しければ、投げ銭のサポートよろしくお願いします!(^▽^)/