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定年退職してから始めた食事作り

他の記事でも書いたのだが、昨年の3月で定年退職した。約40年間の会社員人生に終わりを告げて第二の人生を歩み始めたわけである。

実は退職前から考えていたのだが、これからはフルタイムで働くこともないだろうから、逐次妻と分担できるように家事は可能な限り自分でやってみることにした。

洗濯や掃除も侮れない部分はあるものの、覚えておいて間違えないように注意をすればなんとかなる。しかし、食事作りはそうはいかない。

包丁をはじめとする調理道具の扱いはなんとかなるが、レシピはどうしようもない。妻は空で大概のものは作ってしまうが、そんな神技は無理だ。「すごいなぁ」と私が褒めると「何年料理していると思っているのよ」と妻は鼻を高くするのだった。

Webのレシピサイトのお世話になりながら、なんとかそれなりの食事を作れるようになったある日、昼は簡単に蕎麦を食べようと乾麺の蕎麦を茹で、ネギを切っている時にその事件は起こった。左の人差し指の先端を包丁で切ったのだ。包丁で指を切ったのは初めてだったが、一瞬何が起こったのかわからない。痛みよりもさきに、鮮血に染まるネギに驚いた。

「やってもうた」と言うと、横で見ていた妻が「止血してから指を心臓の上にして、今なら午前の診察に間に合うから、早く近くのH先生に診てもらいなさい」と至って冷静に指示をくれた。

実は前日に自転車で転んで右手の中指を脱臼していたので、「今度は左手かよ」と情けなくて泣きたい気持ちになりながら、「はい」と頷いた。病院に行き、先生に「どうしたの」と聞かれて、「調子に乗ってネギを切っていたら、包丁で切りました」と言うと、横で聞いていた看護師さんが吹き出した。

処置後の左手

その後しばらくして、気合を入れようと、エプロンを作ることにした。どこかで購入しようかとも思ったのだが、ちょっといいなと思うと2000円以上して、馬鹿にならない。これなら自分で作ろうとなったわけである。Webで型紙を探して、手芸屋さんで生地を買って作ったのだが、我ながら上手にできた。

Webで入手した型紙
自作中
完成!

自作のエプロンをつけて、悪戦苦闘しながら食事作りを手伝うようになって、9ヶ月がたった。その間に空でできるようになった料理は、アクアパッツァ、ナポリタン・スパゲッティ、ポテトサラダ、具だくさん味噌汁、チャーハンなどである。ほかにも和食なら煮魚や丼物、中華なら麻婆豆腐、青椒肉絲なんかもできるが、いずれもタレが空では作れない。

アクアパッツァとナポリタン・スパゲッティ

和食なら酒、みりん、醤油、砂糖がベースだが、その割合がわからない。妻は適当に入れて味を見ながら調整している。要するに私は味がわかっていないわけである。そこがキャリアの違いなのだ。まだまだ道は遠いが、意外と楽しいものだと思えるようになってきたのは大きな収穫である。こらからも頑張ろう!


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