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読書感想 芥川龍之介 死後

芥川龍之介晩期の掌編です。青空文庫で読みました。
芥川龍之介が見た夢の話のようですが、ツッコミどころが満載です。
なんと、自死したあと、
(幽霊として??)自分の家を訪れているのです。
そんなんだったら死ななきゃいいのに……、と思ってしまいますね。

夢の中で妻は再婚しています。
妻はそのことを芥川龍之介に問い詰められ、いつも夫に叱られた時に見せる、途方に暮れた顔をしながら話します。

妻の様子から、どうやら再婚相手は「ちゃんとしていない人」らしいことを芥川龍之介は感じ取ります。


芥川龍之介はそれに対して「なんという莫迦だ!これじゃ死んだって死にきれるものか」と言い放ちます。
じゃあ死ななきゃいいのに……、と思いますよね。

芥川龍之介は、妻が再婚したことが気にいらなかったのでしょうか。それとも、相手が信用に足らない男だったことが気に入らないのでしょうか。

それによって随分印象が変わる気がしますが、多分、再婚したことよりも、妻自身が尊敬出来ないような相手を選んだことがイヤだったんじゃないかなと私は思いました。

そんなんだったら……(以下同文)笑

男性は、いつまでも妻に仕えてもらいたいのでしょうね。
仕事でお年寄りを見ていてぼんやり思う事があります。男性が妻を亡くした場合は、そのあとかなり参ってしまって、後を追うように亡くなってしまう事が多いように思います。
ですが、女性は夫に先立たれてもイキイキと長生きしちゃう傾向にありますね。
(あくまで私の個人的な意見です。全てではありません!!)

この違いは何なのだろう…と時々思っていました。
まあ単純に生物学的に女性のほうが長生きだからでしょうけどね。

この作品を読んで、こういう小説って珍しいなあ、と思いました。
作品の中で、芥川龍之介は夢から醒めたあと「夢の中の妻は気の毒にもうまらない役まわりを勤めている」と思います。

そして、また眠剤を飲んで眠りにつきます。

彼は、衝動的に自死したのではなくて、もうこれしか道はないと思ったのだろうな…と改めて思いました。


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