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農業マーケティングの世界への扉を開ける

これから広がる農業の舞台に思いを馳せてみましょう。農業は、食料や資源を提供するだけでなく、地球の健康と持続可能性にも深く関わる戦略的なアプローチです。このマガジンでは、その魅力を解き明かし、あなたに農業の魅力を知ってもらう旅に誘います。

かつて私はあるビールメーカーのサラリーマンとして働いていました。しかし、運命の出会いと意外な出来事が私の人生を変えることになりました。
2006年、私が所属していた会社がワインメーカーを買収するという大きなニュースが舞い込みました。その買収に伴い、私には驚くべきチャンスが訪れることになります。事業執行役の内示を受け、世界のワイナリーを訪れる役割が与えられたのです。

当初はただの業務として受け止めていたこのチャンス。しかし、実際にワイナリーを訪れるたびに、その魅力に引き込まれていく自分自身に気づきました。

ある時にアメリカのポートランドというワインの新興地で開催されていたブルゴーニュワインの祭典に参加し、「テロワールの誘い」というテーマのもと、ワイナリーのストーリーや土地の特徴を伝えるイベントに参加する機会に恵まれました。

ポートランドでのブルゴーニュワインの祭典は、ワインの歴史と土地の結びつきを深く感じさせるものでした。フランスからワイナリーを招待し、アメリカの新興産地であるポートランドでこの祭典を開催することで、ブルゴーニュのテロワールのストーリーを伝え、地域への産業化のスピード感を高めるという試みでした。

一般的にワインの本場といえばフランスのイメージであり、その中でもブルゴーニュは老舗のブランドとして知られています。そのような歴史あるワイン産地のイメージを持つブルゴーニュを、ワインの新興国であるポートランドで祭典として開催する構想に出会い、私はそのマーケティングに魅了されました。

ポートランドでのブルゴーニュワインの祭典は、まるでポートランド自体が歴史あるワインの産地であるかのような印象を与えるマーケティング戦略でした。この斬新なアプローチに触れる中で、私は日本でも同様の展開が可能ではないかと考えるようになりました。

日本も、豊かな自然環境や伝統的な食文化があり、多くの魅力的な地域が存在します。それぞれの地域には独自の歴史やストーリーがあり、地域ならではの特産品や食材があります。これらを活かし、日本独自の地方産品の魅力を発信するイベントや祭典を展開することは、地方創生の一環として非常に興味深い可能性を秘めています。

私が農業に転身した原点でもあるこの考えは、日本国内でも地域の魅力を最大限に引き出し、地方産品のブランド価値を高めることに繋がると信じています。それにより、地域の活性化や産業振興が促進されることでしょう。

これまでの経験やノウハウを活かし、日本各地での地方産品のマーケティングやイベント運営に関わりながら、日本独自の魅力を持つ産地化のスピード感を追求したいと考えています。また、このようなアプローチが、日本の地方創生に新たな可能性をもたらすことを願っています。

このポートランドでの祭典に参加する中で、マーケティングの力と土地(テロワール)のストーリーテリングの重要性を強く感じました。ワインの世界だけでなく、他の産業や地域振興においても、このアプローチが有効であることを実感したのです。

そこで体験したマーケティングの力と醸されるストーリーに心を奪われた私は、新たな道を歩むことを決意しました。

ワインの魅力や土地のストーリーに触れる中で、ブドウの栽培に関わりたいという情熱が芽生えたのです。その情熱を具体的な行動に移すため、2010年に京都府で農業生産法人を立ち上げ、ワイナリーの設立とブドウの栽培に取り組みました。これまでの経験や知識を活かし、最高品質のブドウを育てることを目指していました。

ワイナリーの立ち上げに伴い、ブドウ栽培に必要な地域の気候や土壌の特性を研究し、最適な栽培方法を追求しました。また、品種選定や収穫時期の決定など、ブドウ栽培における重要な要素にも注力しました。このような努力と情熱により、ブドウ栽培は私にとって大きな充実感と成果をもたらすのではないかという甘い確信を得ました。

そして、ブドウから生まれる美味しいワインが地域の魅力を高め、人々に喜びと幸せを与えることを目指していました。つまり、農業の魅力や可能性をより深く探求し、地域の発展に貢献することを目指していたのです。しかし農業は当初、私にとっては未知の世界でした。農家とのつながりもなく、興味も持っていませんでした。

第1章で詳しくお話ししますが、最初は野菜の売買に始まって生産面では伝統野菜の栽培に取り組みました。大規模化に伴い、色々な野菜の産地化、さらにはロシアのウラジオストクでの農地拡大のための合弁会社を設立しました。

その後、山田錦の栽培に挑戦するために本社を兵庫県に移し、上場企業への売却へとつながるわけですが、この成長の過程で、ナスの栽培が大きな役割を果たしました。

私は研究と分析、仮説と検証を重ねながら、効率的な栽培方法を見つけ出し、この取り組みは農業経営に大きな寄与をしました。その経験を活かし、私は「10倍儲かるナスの栽培アグリハック」という連載を行い、多くの人々に知識やヒントを提供してきました。

本マガジンでは、私が経験した転機や挑戦の数々を通じて、農業で稼いできた事例を共有します。どこでも水平展開が可能かといえば必ずしもそうではないと思いますが、読者の皆さんには、農業という魅力的な世界に触れ、自身の人生に新たな可能性を見出すきっかけとなることを願っています。

この序章は、私の物語の序盤を飾るものであり、次の章々でさらに詳細なエピソードや実践的なアドバイスが綴られています。しかしながら、本マガジンでは作物の栽培についての話はありません。作物は作るだけではなく、作物という一般的な作物をどう売るのかという付加価値に対する考え方も重要です。

私たちは、農業とビジネスの融合によって、作物の栽培と販売を通じて新たな可能性を見出しました。この物語が、読者の皆さんにとって勇気やインスピレーションを与え、新たな可能性を見出す手助けとなることを願っています。

それでは、物語の旅が始まります。お楽しみに。

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農業はビジネスです。アグリハックは、農家が自らメーカーとなり、マーケットに向けた革新的な戦略を展開することを提唱します。私たちは常にお客様の視点に立ち、品質と価格のバランスを追求しながら、最も付加価値の高い作物を生み出します。自然とテクノロジーの融合を通じて、持続可能な農業経営を追求し、地域のニーズに応える生産体制を築きます。アグリハックは、農業の枠を超えた経営戦略のノウハウをお届けし、農業ビジネスの未来を切り拓きます。農業を革新し、地域との絆を深める、アグリハックの世界へようこそ。

アグリハックを通じたビジネスのメッセージは「農家はメーカー」であるということです 。常にマーケットを意識しながら、コストの削減や栽培プロセ…

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