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ふつうの日々に隠れた小さな奇跡『料理と絆の物語』

みなさん、こんにちは!今日は、中村颯希さんの『神様の定食屋』という本についてお話ししようと思います。この本、読んだことありますか?もしまだなら、これからお話する内容できっと読みたくなるはずですよ。

物語の主人公は高坂哲史。哲史は両親を事故で失い、妹と二人で家業の定食屋「てしをや」を継ぐことになるんです。でも、彼には大きな問題が…料理が全然できないんですよね。妹に怒られっぱなしの哲史は、ある日、地元の神社で「料理を体感的に学べる方法があれば…」と愚痴っていると、「承知した」という声が聞こえてきます。それからというもの、予想もしなかった出来事が哲史を待っていました。

この物語の一番の魅力は、キャラクターたちの個性にあると思うんです。哲史は本当に不器用だけど、妹のことを思う気持ちは誰にも負けません。妹は強くて意志が固く、店を守ろうとする姿が印象的。そして、神様はちょっぴりいい加減で、哲史にいろいろなことを丸投げするんですよね。でも、その神様の存在が物語にユーモアを加えています。

この本のユニークな点は、目次が通常のものではなく「お品書き」として用意されていること。お品書きには、家庭的で誰もが知っているような料理が並んでいるんです。これが、登場人物たちが食べる食事をよりリアルに感じさせ、物語にグッと引き込まれるんですよね。

特に印象的なのは、哲史と妹の兄妹喧嘩のシーン。普通、男女の口喧嘩では女性の方が強いイメージがありますよね。この物語でも、妹の方が強くて、哲史が逃げ出す形になります。妹の言葉一つ一つに、彼女の強さと賢さが感じられて、つい感心してしまいます。

そして、この物語の核となるのは、いい加減な神様。タイトルに「神様の定食屋」とありますが、神様は料理をするわけでも、お客さんになるわけでもありません。ただ、願いと願いをつなげる役割を担っていて、それが物語に深みを与えています。

物語は、ページをめくるとすぐに食欲をそそる調理シーンからスタート。食事を作る様子が詳細に描かれていて、読んでいるだけでお腹が鳴ってしまうんです。そして、これらのシーンはただの料理ではなく、大切な人への思いを表現する重要な部分なんですね。

本を読み進めるうちに、「いつもの味」に対する感謝の気持ちが芽生えます。失われた味の大切さ、普段何気なく味わっている料理のありがたみを、哲史と妹、そして神様の物語を通じて実感できるはずです。

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