自然栽培について回る誤解を解く時が来た。
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Hey! What's up people~!? 鎌田です。この自然栽培って、明確な定義はありませんが一般的には、肥料と農薬をつかわない栽培のことを指します。
これだけでは慣行農法から引き算をしただけで、単に収益性に劣った農業しか実現できません。そこで肥料と農薬に頼らないというところがポイントで、要は植物と土の本来持つ力を引き出す農業を指すわけです。
これのメリットはなにかといいますと、自然に負荷をかけることないサスティナブルな栽培方式だということなんです。
自然栽培では、例えば国で安全だと言われている登録農薬も全く使いません。もちろん化成肥料も使いません。有機肥料と言われる家畜の糞尿などの動物性有機堆肥、あるいは植物性有機肥料、有機物由来の防除・消毒剤、育苗土への肥料なども使わないんですね。
マジかよって思いますね。慣行農法でやってきた農家からしてみるとマゾプレイにしか思えないですよね。でもそんなこと言われたらチャレンジしてみたくなるのが私の悪い癖で、アグリハックのフレームワークで栽培してみたところ、一定の道筋をみつけたので今回はそのあたりの事例なども含めて共有していきたいと思います。
世の中にはさまざまな栽培法がございまして、有機栽培をはじめする他の栽培法と違う決定的な部分を見ていきたいと思います。
一番右の「慣行栽培」は、いまも日本で最も普及している一般的な栽培方法になりまして、多くの量販店で販売されているのは、こちらの慣行栽培の野菜です。
この流通経路は、まず産地というくくりで農協が指定した野菜をその地域の農家が作って、近くの営農センターに収める。
そしたら農協が市場にもっていくんですよ。そこでセリにかけられて値段が後決めでわかるっちゅうような仕組みで流通側の都合上ではめっちゃ良い仕組みなんですね。
商品の品質面においても農協から営農指導員が派遣されてきますのである程度担保されます。
慣行栽培に話を戻すと、量販店とかで、「●●産」とだけ表記されている野菜なんかは、慣行栽培ものであることがほとんどですね。こちらの慣行栽培を基準とすると、例えば「特別栽培」は肥料・農薬の量は50%以下、「有機栽培」は使える農薬が制限されています。
一方で肥料は化学肥料を使わず有機肥料のみを使用します。よく有機栽培が無農薬栽培なんだと勘違いされている方もいらっしゃいますが、無農薬のものもあれば、農薬を使っているものもあります。
そして一番左の「自然栽培」は、完全無農薬で、肥料に至っては化学肥料も有機肥料も一切使いません。
となるとどうしても収穫量や生育期間において、右にいくほど多く短く、左にいくほど少なく長くなる傾向があって、大量生産・大量消費が求められる状況においては、いま最も普及している慣行栽培が、やはり多収で早く安定して生産できるメリットがあります。
んじゃそもそも自然栽培って何のメリットがあるの?無肥料・無農薬でも野菜は育つもんなの?ってことにフォーカスを当てて話を進めていきます。
確かにこの表に示したとおり傾向としてはその通りなのは事実なんです。でも、それってその時までの事実であって、こうした事実というのは常に書き換えられるのが世の中の常で、それを書き換えるのがアントレプレナーとしての腕の見せ処でんがなということで自然栽培に着手しました。
すると栽培に必要な条件が揃えば作物は慣行栽培と変わることなく育つことが分かってきました。
たとえるならこれまでは、塾だなんだとお金をかけて有名大学に行かせたけど、自分の頭で判断できない人間を量産してきたのと一緒かなと。学校の勉強だけでそうした大学に進む人も居るじゃないですか。その方がよっぽどカッコいいですよね。
要は「環境の方を整えてやる」ことで自然栽培は立派に営農事業として成り立ちますし、これまで薬を与えていたのはいらんことしてたんちゃうかなと思うようになったわけですよ。
ここでの論点は、では環境を整えた上で剤をやってりゃいいんじゃないのって話になりそうですよね。
でも過剰の欠乏という、ともすれば相反する結論に至ったんです。とはいえ自然栽培はまだまだ発展途上の栽培方法で、それぞれ試行錯誤を続ける生産者が多いのが実情でして、その中で収穫量を増やしたうえに慣行栽培をしていたとき以上の収穫量を超えるようになったわけです。
その実績をあげることができたのは過去の農薬や肥料の影響が残っている土を作り直すということに始まって、土壌の微量要素の分析や野菜の生育に与える微生物の特定までやったうえで、3つの天体エネルギーも作物を育てるうえで大きな影響を持っていることが明らかになってきましたので次に概要を説明したいと思います。
この3つの天体とはいわずもがな「太陽と月と地球」なんです。現代科学で証明しうる範囲では、太陽は紫外線などをはじめとする光線ですし、月は潮の満ち引きなど水に働きかける引力になります。地球は地熱や磁力などを生み出しています。
農業を知らん人からすると、「出ましたトンデモ話」と思うかもしれませんが、暦ってよくできたもんで一粒万倍の日とかちゃんと科学的にも意味があるんですよね。
昔の人々は脈々と受け継がれてきた長い経験から、月と植物の関係を沢山発見しているんですよね。特に農業では栽培管理をしていく上で月との関係は死活問題ですから植物の生育を観察していくために旧暦の太陰暦を使ったりします。
植物は、季節の移り変わりに応じた太陽の動きを大きな基準にして成長して行きますが、この季節という範囲は幅が大きくて、ここに月の動きを加味して成長の基準にしています。
たとえば旧暦の7日前後、小潮で上弦の月から15日、つまり大潮の満月にかけては植物の成長が穏やかになって、16日頃で大潮の満月から22日頃、小潮の下弦の月にかけては伸長が盛んになります。
また22日から翌月の1日、つまり大潮にかけては穏やかになるという現象が起こるわけです。しかしこれ以外にも、まだまだ証明しきれていない様々な力が発生しているのではないかと考えられており、まさに研究中で年々進化している栽培法なんですよ。
現代人はとかく月をゆっくり眺めることも少なくなりましたが、今宵は夜空を眺めてみませんか? 月というのは地球の自転と同じ方向に若干の楕円軌道で、約29.53日で1周、つまり公転しているわけです。
この公転運動によって月は満ち欠けをしていまして、その満ち欠けによって地球上の生き物は影響されているわけです。
どのような力があるのか示唆しますと、たとえば新月は月が太陽側に位置した時ですよね。このときに地球への引力は月の引力に太陽の引力が加わるので強くなります。
そして、満月は月が地球から見て太陽の反対側に位置したときですよね。
このとき地球への引力は新月の時より弱くなるわけです。
昔の人々の知恵と現代の科学によって、月の満ち欠けが植物に与える影響というのがだんだん分かってくるようになりました。
月の影響によって植物の樹液の流れに変化が有ることが分かったり、月齢と植物の生長は深く関わっていることも明らかになりました。
特に解りやすいのはツル性の植物で、私は現在、宮崎市に住んでおりまして自分にとってはとてもポピュラーな花で宮崎を象徴するブーゲンビリアなどの夏の植物でその傾向が明確になったんです。
農家に限らず植物を扱う仕事に関わる人は、植物がどのように成長するのかをしっかりと知る必要がありますよね。これは誰でも小学校で習うことですが植物は光合成をすることで自ら栄養を作って成長します。
さらに子孫を残すために蓄えていくわけですが、その成長を促進するため肥料を吸収する吸肥パターンもある程度決まっているんですね。
つまり植物は機械のように常に一定の生育を行っている訳ではなく、節間の締まり具合や花芽の数・果実の成長など、15日(約2週間)という短い期間で生育のリズムの変化が見られるのです。
植物は15日で生長充実や肥大、あるいは萌芽伸長や停滞といった4つの吸肥パターンに分けられて、それを繰り返すわけです。したがって、植物を安定的に生育させるには停滞を除いた生長充実期・肥大期・萌芽伸長期に適した成分バランスの土壌構成であることがベストなんですよね
種蒔きは満月の5日前から満月の前日までにすると、発根してから芽が出てきます。このメカニズムは上弦の月から満月にかけて樹液が幹や枝部分に上昇するからなんですね。
そうすると先に根が出てくるから根量が増えて養分を吸う条件が早く整うから、丈夫な苗に育つようになります。逆に新月に種を蒔いてしまうと発根が遅れて芽が早く伸びてしまうので、徒長と言われる状態になりやすく発根量は少なくなってしまいます。
このメカニズムは新月時期に樹液が下降して根部に集中するからで、新月になると太陽と月が片方に並ぶと引力が合成されるということによって起こります。
このように、月と太陽の引力が苗の生育に明らかに関係していて、逆に樹木の伐採のときなんかは、林業の世界で「新月伐採」という言葉があるんです。
11月から12月の下弦の月から新月の間に伐採された木は腐りにくいとか反りにくい、あるいは虫がつきにくいなど木材にとって良い面を兼ね備えています。
これは新月の時に樹液の流れが下降してきて根部に集中するからで、幹や枝の部分の樹液が少ないことによって良材が採れるという樹木のメカニズムを利用した工程といえるんです。
そうなると、花卉類の刈取りは上弦の月から満月の時に摘み取ってやると幹や花の部分に樹液が集まっているので、丈夫な花になるということですね。
つまりフルーツや野菜なども満月に収穫すると美味しいということになりますよね。常に満月なわけじゃないですから、朝どれ野菜ではなく、満月どり野菜なんかのタイトルで収穫祭を満月のたびにマーケティングするのもキャッチ―で良いですよね。
農業でいうと害虫防除もセットで考えないといけませんけど、防除に最適な時期は満月の三日後が適期です。
これは、虫の生態が満月の三日前に交尾をして満月の日に産卵するからで、満月の三日後に孵化する傾向があるためです。虫の卵というのは殻が固くて農薬が効きにくいから、最も弱い孵化直後の1齢幼虫を狙うのが防除には1番効果的なんですよね。
歴史上は植物が登場して、虫が登場するという順序でした。彼らの関係は受粉もありますし切っても切れない関係なので、虫は植物の生育周期を先天的に知っているんでしょうね。
卵から孵化した幼虫はまず新鮮でやわらかな若芽から食べます。だから虫は孵化した幼虫が若芽を食べられるように新月と満月の前に卵を産み当日に孵化するというわけなんです。
だから若芽にありつけるので繁殖に植物の生育リズムを利用する事で生き残れる確率をあげようとしてきたんです。
ここから先はバイオダイナミック農法やピンク農法なども関わってくるので、とても30分程度では解説できる内容ではないため機会があれば改めて共有させていただきます。
ピンク農法についてはアグリセミナーでも初めてでてきたワードだと思うのでさわりだけ紹介しておきますと、正式名称を「光変換ピンク農法」といいまして、その中身の技術をバックり説明すると、光合成にはすべての波長の光が必要ではない点に着目して、光合成を促す赤色帯の光を、赤い蛍光染料で着色したフィルムやネットを使って植物の光合成に必要とされる、長波長域の光エネルギーに変換して増幅することによって、植物の育成を促進する、画期的な新しい栽培法なんです。
この光変換ピンク農法にはどのような効果があるのかというと、有害な紫外線を減少させることで植物の生育に有効な赤色の光を多くすることで植物の光合成を促進してやるわけです。
実は物理的なメリットもあって、ピンクでめっちゃ目立ちますし、作業者の日焼け防止とかビニールハウス内温度・地中温度上昇の抑制等、作業環境の改善にも直接作用するので女性社員にも喜ばれますよ!
この辺りのメリットを耳にして、「あっ!」っと思った方は勘がするどいです。
そう!肥料を使わない自然農法で足りないとされる成長促進による、早期収穫と収穫量の増加とか農作物特有の機能性サプリメントの増量、たとえばトマトでいうリコピンとななんですけど、こうした効果もあるので相性がいいんですよ。
ちょっと派手過ぎてはじめは恥ずかしいからトンネル栽培したりしますけど、グリーンハウス栽培に使用すると石化燃料の消費節約にも繋がりますし、果樹の場合なんかだと鳥害による被害と減収防止効果も挙げられます。
テレビのロケハンなんかあると絶好の的になるので自分でSNSとか頑張らなくても無料で宣伝できてお得です。
話を戻しますと自然栽培をやっていくうえで確かなことはアルゴリズムで解析することが可能で、実際にほうれん草なんかでは、播種から何日後に出荷できるかわかります。
だから量販店とあらかじめ商談しておくことで安定価格で取引が進められるので、ぶっちゃけ慣行栽培なんて費用がかかるばっかで面白くないんですよ。
環境を制御してやることで、「自然農法」が決して行き当たりばったりではないことが分かっていただけると思います。やっていることは今でいうところのAIを活用したスマート農業なので「自然」という言葉はしっくりこないかもしれません。
しかし、実際の農業の現場で見えてくることは自然に負荷を与えている最たる産業は農業や畜産業なんですよ。自然とは何かについて私たちは考えを改める時なんだと思います。
これで「自然栽培」とはまだまだな技術なのっていったらそうでもないよということは分かっていただけたと思います。
ただ、ここで重要なのはロボット化がいいかと云えば実はそれは微妙な話で、個人的には雇用とかどうすんの?って思いますよね。地域で仕事やっていく以上は誰にでも一般化できる仕事こそロボットなんて風潮がありますけど、それがキッツい仕事ならロボットにやらせたらいいと思うんですけど、収穫とか楽しいですしロボットにやらせんのももったいない話やと思うんです。
私が考えるあるべき方向性は総合的な環境制御をロボットとかAIにやらせて、野菜の収穫時期なんかもAIに予測させるんです。これはそんなに難しいことじゃないです。
高値の時期が生産の早い段階で分かれば、その時期を狙って計画的に生産できますし、AIを活用した野菜の市場価格の予測アルゴリズムはすでに大田市場で配信が始まってますから、組み合わせればしばらくは無双状態で農業経営できると思います。
しかし、ここで重要なことは「食品ロスが減らせる」という点についても考えられるということなんです。高値ってことは市場で品薄ってことですから、需給のバランスを見ながら栽培をコントロールする方が断然にいいんです。
機械屋さんの人が見ていたら気を悪くしないで欲しいんですが経営上において売り上げの大半が設備関係の減価償却費になるとキャッシュフローが回っていても会社は赤字体質になりますので、金融機関の融資を受けづらくなります。
だからまずは収穫ロボットを導入するより、農場を収穫以外リモート化する方がよっぽど価値のあることだと思います。
将来的には農家はデイトレーダーのように市場の反応をみながら農作業の面倒なことを全部自動化させて利潤を挙げながら、その収益を地域に還元する意味でも雇用の機会の提供するため収穫のみ行うような農業生産法人が理想像だと思っています。
世界の寿命は延びていて注目されるようになったのが健康寿命です。すると当然、健康志向が高まるようになって、「自然栽培」という言葉も少しずつ見聞きすることが増えてきましたよね。
しかし、この「自然栽培」という言葉は先ほども申し上げたように明確な定義がないままに「なんとなく自然や生き物に優しい栽培方法」という程度で使われているのが足元のところです。
農薬や肥料の使用量が少ないとか、植物由来の薬品とか肥料を天然素材だからと入れていたりすることは本来の自然栽培の目指すところではありません。
逆にほったらかしの農法もしかりで、全部ひっくるめて「自然栽培」という名前で呼ばれていることもあって定義づけには一般化させていく必要があるのかなと現在取り組んでいるところでございます。
個人的には「自然栽培」という名称が邪魔しているような気がするんですが、名前だけで判断せずに、どんな考え方でどんな栽培方法なのか分析して本質を正確にとらえることが大切です。
なぜ私がこのように考えるに至ったかについてもお話させていただきます。
農業経営をしていたころに本当に自分の農業は自然と共生しているんだろうかと疑問に思って、のちにファームトゥーテーブル市島ポタジェの活動に繋がりました。
これは直訳すると農家から食卓へという意味でして、そもそもこの丹波市島という場所は有機の郷として有機栽培の先進的な地域でございまして、そうした活動は周囲の理解が得られやすくとてもやりやすいものでした。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
これは、時代とともに食の安心・安全、健康そして日本の食文化に関する消費者の意識が変化してきたことなどを捉えて、徹底した「自然農法」で生産した産物の自主流通システムを構築して、アンテナショップの運営と農園内でレストラン経営も行ったんです。
特にレストランについていえば仕事の都合でシンガポールに移住するまで予約の絶えなかったレストランでした。
このストーリーについて限りなくノンフィクションな農業小説として連載していたりするので、持続可能な食の在り方にご興味をお持ちでしたら是非読んでみてください。
この活動を開始する前に私は大きな影響を受けたナチュラルハーモニーの河名社長という方がいらっしゃいます。河名さんがどんな活動をされているかここで少し紹介させていただきます。
同社における基本理念は、「自然尊重」「自然規範」「自然順応」ということにあってですね。流通の都合とか需要者のニーズによって見かけの良い作物を効率よくつくることが目的になってしまった近代農業に疑問を投げかけてらっしゃるわけです。
つまり自然からの収奪という行為が産業化した農業を改めて、自然に対して畏敬の念をもって自然から恵みを得る自然と共生した本来の農業に戻そうという活動をされています。
この自然農法の基本というのは、1955年に発刊された「自然農法」が原点となっていると聞きました。その基本というのは、化学肥料、農薬で汚染された土壌がもつ本来の母なる大地の力を復元させることです。
その具体的な方法は、肥料、農薬を使わないということだけでなくって、ますは土づくりから始まります。つまり汚染された土と種子から毒素を抜くことから始めるわけなんです。
その具体的な方法として土に対しては深く耕すことによって毒素を含んだ地層を天地返しをしてやって、服毒していない山から新しい土を客土したりします。
種子に対しては、同じ田畑で穫った種子を毎年繰り返し連作することによって当初の肥育の種子を無肥化するなどです。これってビジネス界隈ではあまり話題になっていませんが種子法が絡んでくる奴です。実際のところこの種子法は文春砲より怖いんですよ。
種子には固定種とF1種があってF1種だけの世の中になったら誰かに胃袋を握られたんと一緒なんですよ。だから固定種の種子を守っていこうねって運動もやっているんですが、成果を得るまでに数年を要するんです。
これはつまり劣化した農地という自然資本の価値を復元するための投資からスタートすることになるからです。
ここでちょっと自然資本や資本主義について考えてみたいと思うのです。わたしが学生の頃に学んだのはノーベル賞も受賞したクズネッツの主張であった「世の中が成熟すれば資本主義は平等になる」といものでした。
しかし現実にはそうはなっていないですし、今の世の中を見てノーベルもびっくりしているでしょう。とにかくこうした定説はひっくり返ってしまったわけです。
自然資本というと、自然という資本を使った経営のところまで踏み込んで、流動性の高い資産を自然というものに置き換えて利回りよく運用していくことと解釈できると思います。
この地球で限られた自然資本を78億人の人々が分け合って持続可能な経済社会を作っていくには、現在の世界を支配している経済システムではもはや持続不可能なんです。
企業の活動というのは一般的に、ヒト、モノ、カネだけで回っているようなイメージがありますが、あらゆる企業活動においてすべからく自然資本を活用することなしには成立しえないわけでございます。
だって企業活動はどこでやってるのかといえば地球上ですよね。ですから常に自然資本からのフローを利用して、その活動の結果として自然資本ストックの増加や減耗を伴うものしかないわけです。
そのことが会計的に記帳されれば、 企業活動の総体をより正確に把握することに繋がりなりますし、株価や営業利益とは違った、企業活動を評価するための情報的基盤になるのではないでしょうか。
後半は経済システムを中心に論じてきてますが、もはや科学方法論や人間の思考様式にまで広がって、経営を支える人的資本や文化資本のあり方にまで及ぶであろう、きわめて壮大な構想です。
したがってこれは一つの体系ですよね。また、生物多様性や生態系サービスという盛んに研究されている流行の自然資本だけでなく、鉱物資源のような古典的な自然資本も新しい視点から位置づけて、文字通り自然資本全体を扱っていく学問にならなきゃいけないと思うんですよ。
教育が国の礎を支えるように、関心を持った人が好き勝手に学ぶんじゃなくて、ちゃんと一般化させて体系づけられた学問として学んだうえで波及していかなければ個々の活動が定まらず燃費に例えるならば非常にエネルギー効率の悪いことをしているというのが現在の状態なんです。
したがって総合社会科学を学べる教育がないとダメだと思っていまして、こんなん困ってます、こんな状況です。誰かやってくださいって、結果はご想像の通りやと思います。ですから経営に組み込める総合社会科学というコンテンツを作ってみようかなと思っています。
お時間も迫ってまいりましたので最後にちょっと宣伝させてください。冒頭でお話させていただきましたアグリハックについて書かれた私の書籍がカナリアコミュニケーションズから出版させていただくことになりました。
こちらはよくある自叙伝とかではなくて。農業に関わる皆様に、「着実に利益を積み上げる手法」を水平展開していくアグリハックをどのように垂直展開していくかについて解説した本となっておりまして、すでに農業に取り組んでおられる方はもちろん、これから農業をするけど、どうのように収益モデルを構築していいか、どうしたら一般的な会社員のように安定し、より多く稼げるようになるのかについて書きました。
つまりは農業技術書でもなくて、今回お話させていただいたような自然栽培で慣行栽培をしのぐような営農技術的なことであればブレインワークスを通じていくらでもサポートさせていただきますし、経営改善的なこととして農業は一般的にフロービジネスで収穫ごとにゼロから組み上げていく構造ですけど、農業をストックビジネスに持っていく方法なんかもありますし、先ほど例に挙げたようなバランスシートからのオフバランス化させる財務負担を軽減させるテクニックもございますのでいつでもご相談ください。
まずは本書におけるアグリハックのメッセージを腑に落としていただくことが農業経営がうまくいく最初の一歩となります。まず「農家はメーカー」であるという前提に立って常にマーケットを意識しながら、コストの削減や栽培プロセスの最適化を目指していきましょう!
それではまたお会いしましょう!
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アグリハック研究会
アグリハックを通じたビジネスのメッセージは「農家はメーカー」であるということです 。常にマーケットを意識しながら、コストの削減や栽培プロセ…
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