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組織進化の最先端「ティール組織の解剖学」

さて、 ここからは強い組織変化に強い組織に共通することとして前回の記事でも触れました、そこで今回は「ティール組織」について、深掘りしていきたいと思います。

この不確実な状況下の中で、困難な状況に陥っている組織もあると思います。しかし、その中でもうまく対応している組織も少なからずありますよね。

うまく対応している組織とそうではない組織の差は、平常時の組織運営のあり方と緊急時のやり方にあるのかなって思うんですね。

困難な状況に陥っている組織では平常時においても自転車操業であったりとか、1つのビジネスモデルに過度に依存していたり、また指示命令系統がしっかりしている、悪く言えば融通が利かないという印象があるんです。

リモートワークが広がろうとしている中、経営層のITリテラシーが低い故に変化に対応しなかった組織も多いのではないでしょうか。

こういった組織には緊急時においてパニックになりやすく、自己中心的な考えに陥りやすく、また不確実な状況がストレスとなって他責な発言が多くなっているケースにたびたび遭遇します。

それに対して上手く対応している組織はどうなっているのか、こういった組織は平常時から分散された権限を持っていて、現場が自ら判断できる流動的な組織の場合がほとんどなんです。

また、ビジネスモデルも分散しておりますし、メインのビジネスがダメージを受けても他の部分でカバーできていたりするんですね。

何よりユーモアがある組織文化で、何でも提案できたり、まずは「やってみよう」という文化があることで、コロナ渦にあっても即座にさまざまなITツールをトライ&エラーして、すぐに適用できている組織が多いようなんですね。

こういった組織の人達は緊急時においてもこのような変化を危険なものとみなすより、変化のチャンスとして捉えることが、そういった傾向があるようですね。

ここで段階的に組織の変遷を俯瞰したいと思うんですが、変化に強い組織を見ていたときに比較的多くの部分がティール組織の概念に合致するわけなんですよ。

段階的な組織変容とティール組織を持っている3つの特徴から、このティール組織というものを説明していきたいと思います。

ティール組織の著者フレデリックラルーは、組織の歴史をその始まりから現在に至るまで次の5つの段階で説明しています。

一つ目が衝動型のレッド組織ですね。レッド組織は言うことを聞かないと殺す、殴るといったような恐怖で集団を動かす原始的な方法論であって、ギャングやマフィアのような組織ですよね。

短期志向であり、スラムや破綻国家といった非常時や敵対的な環境に適していると言えます。

2つ目の順応型アンバー組織では正式な階層を持つ組織でカトリック教会や軍隊公立学校システムが例に挙げられます。

指示命令系統や業務フローなどの発明があって、宗教団体や国家が発展してきました。長期的目線のもと大規模な事業を成し遂げることも可能となっています。

しかし、前例の踏襲であるとか秩序の維持を重視するがあまり変化や競争には向かないんですね。

3つ目が達成型のオレンジ組織なんですが、今日最も主流となっている組織ですよね。

グローバル企業に代表されるイノベーション志向の組織とも言えますし、現状を客観的に分析し改善を行って目標の達成に向けて働きます。

科学的マネジメントの段階とも言われ、その最大の発明が出征可能な実力主義であり、比例して飛躍的に生産性が高まりました。

しかし、出世する人とそこから外れた人の温度差であるとか幾層にも固まる承認プロセスによる経営スピードの劣化、あるいはスキルや機能といった機械の部分のように仕事に割り振られる中での虚無感など、いくつかの弊害も生まれているんですね。

そこで生まれたのが多元型のグリーン組織なんですけど、こちらは非営利組織のように権限委譲と多数のステークホルダーの視点を特徴とする組織です。

組織内で対話の場面が頻繁にあって、組織文化や関係性を重視することでメンバーのコミットメントが高い組織になります。

しかし、多様な価値観を大事にすることで意思決定が長引いたり、完全にフラットな組織ではないため、社員や役員などの上層部とメンバー間との溝も生まれやすくなります。

5つ目の進化型ティール組織なんですが、前述した組織に当てはまらない新しい組織の事例が世界に生まれていることを発見してこれを進化型のティール組織と名付けたわけなんですね。

こちらは単に理想論を語ったのではなく、最低100人以上の従業員がいて10年以上の経営が続いている他業種の事例を検証して、理論化したことで注目を集めたわけですね。

ティール組織の特徴は、「自主経営」、「存在目的」、「全体性」にあると言われています。

組織の進化の歴史との関係性をイメージすると、図のようになっています。

このようにティール組織には3つの特徴があるんですけども、それぞれについて説明していきたいと思います。

まず一つ目の「自主経営」という特徴では、従来のビジネス組織では経営の責任とか命令権限を持つリーダーやマネージャーを置いて、マネジメントする経営段階構造の組織形態が主流でした。

しかし、組織の進化型であるティール組織は様相がだいぶ変わっていますよね。これまでの経営では階層が上がれば上がるほど権限が増えて自由な裁量で働くことができるようになりましたが、ティール組織では現場が主役なんです。

そもそも組織内の人間に権限の差はなくて、同じ立場だという前提であらゆる個人が自由に意思決定をしながら組織活動を進めていきます。

また、経営層が現場の代わりに組織全体のビジョンとか戦略を練ったり、人事部などの間接部門が現場の代わりに採用計画を作って教育や研修を行っていくという代替組織ではなく、現場とともに進めていく経営スタイルもティール組織の大きな特徴と言えるかもしれないですね。

二つ目が存在目的という特徴です。ティール組織では上下関係でマネジメントを行うという考え方を手放して、1人ひとり、あるいは現場のチームで自己決定しながら日々の仕事をこなしていることになるんですね。

そこで拠り所になるのが存在目的なんですけども、これは従来の組織のミッション、ビジョン、バリューと少し違う概念になります。

著者は最近の組織活動における目的との関わりに警笛を鳴らしています。

1つは近年の組織における目的が「事業の最大化」と「事業の生存」に傾いてしまっているということなんですね。

いかに耳当たりの良い文言並べ立てても、日々の活動における判断軸が、事業の成長にフォーカスしていたり、どう生き残るかという視点になっているわけですから、目的は本当にそれでいいのか今一度見直す必要があるかもしれません。

もう1つは目的の手段化です。著者は目的が過度に誇大化され、手段に使われていると主張していますね。

組織で人が自由に動きすぎるとバラバラになるから制御する必要があると言ったような大衆をコントロールするための手段として目的を使ってしまっているっていうんですよ。

組織と個々の人が、常に私たちは何のために働いているのか、組織活動を通じて世の中に何かを実現しようとしているのかということを探求し、実験を繰り返すことが重要だというんですね。

それは組織のミッション、ビジョン、バリューを文言化し、10年20年の計画を立てるという行為ではなくて、組織の目的に耳を澄まして実験を繰り返す行為の中で、「あぁ私たちはこのために集まっていたのかもしれない」と、振り返るようなもっと謙虚な行為であるというわけですね。

存在目的っていうのは拠り所になる指針というよりも常に働くここの人が日々の運営の中で、世界はこの組織に何を望んでいるのか、この組織がなかったら世界は何を失うのかと言った問いに対して真摯に探求して組織のメンバーと対話している状態と定義していた方が正しいのかもしれないですね。

3つ目の全体性という特徴では、ひとりひとりが存在目的に耳を傾けて日々の仕事を行うことができれば素晴らしいことなんですけども、これは簡単ではないですよね。

これまでの組織には人の「不安」や「恐れ」の部分を引き出してしまう構造があるからです。

人が人としてありのままを職場に持ち込めて、「不安」や「恐れ」といった外発的なエネルギーで仕事をするのではなく、喜びや楽しさ、そして使命といった内発的なエネルギーを持って創造的に仕事に取り組むことをティール組織は目指しているんですね。

そのためにこれまでのような組織運営で培われてきた様々な仕組みに疑問を投げかけているんですね。

評価制度などが顕著な例で、評価される側は正しく評価されていないと不満を持って、時に給与なども含めて他人と比較することにエネルギーを割いてしまいがちです。

上司がもう莫大な情報とエネルギーを使って部下を評価しますが1人ひとりの仕事を最後まで見ることは不可能ですし、人に差を付けるという作業は気持ちが良いものではありませんよね。

ティール組織を具体的に見て行くと、その職場の空気に驚きを感じます。

そこには仕事が楽しくて仕方がないといった社員の表情やそれぞれが机などにデコレーションを施す仕事環境にあるんですね。

権威の象徴として豪華な社長室や統一ブランドという名のもとの確率的な職場で、個性を失った制服やスーツなどは目にしなくなります。

ティール組織では実践されている全体性を育むためのさまざまな方法がこちらのように示しております。

ここまで、自立分散型のテール組織について概観してきました。ティール組織の世界観では人の人生がそうであるように、組織の形もその数が数だけ様々なんですね。

どういった組織に変わっていきたいかを経営者や一部の人が考えるのではなくて、働く仲間たちと対話をしながら探求していることが肝要かなと思います。

手放したい組織を仕事に対する考え方を素直に、誠実に語り逢うことからはじまると思います。

希望のある組織が生まれていること心より願っております。それでは今回はここらで〆させていただきます。

またお会いしましょう!

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