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金融機関が資金を出したくなる「経営改善計画書」の作成方法

今回は、金融機関が資金を出したくなる「経営改善計画書」の作成方法についてお伝えしたいと思います。

事業を運営していると時には業績が悪化してしまったり、新規事業推進による資金調達の需要など様々なケースで資金需要が生まれます。

資金の調達先も多様化してきていますが、やはり金融機関は有力な選択肢でしょう。そういった場合、資金調達を実行するわけですが、金融機関等から具体的な数値を示した「経営改善計画」の作成を求められることがあります。

そこで、「経営改善計画書」の作成を通して、数字に落とし込むポイントと事業の今後の方向性をまとめる方法をご紹介します。

まずは前期を振り返りましょう

資金調達チャンネル別で異なる傾向がありますけど、金融機関というのは、基本的に過去の決算延長線上に企業の将来を捉えます。

企業は金融機関に決算書を提出するだけではなく、「資金繰り表」まで落とし込んで借り入れ時期も可視化させたうえで、企業の存続を「数字」で示す姿勢が求められます。

ということは、「経営改善計画書」を作成する前に経理部門が出した数字を元に、前期はどうだったかを振り返ることが何より重要になってくるわけですね。

まずは、どのように営業を展開したのか、差別化のポイントや創意工夫した点などを取引先ごとに3期分の売上も併せて記載してまとめると、金融機関にとっても分かりやすいものとなります。

また、主力取引先も重要です。例えば、単価アップによる取引先の変更はポジティブにとらえられますし、逆に長期間、同じ企業とだけ取引していると評価されない場合もあります。

こうした営業情報を元に、今後どういった取引先に注力するのか戦略を練りこみます。お付き合いも大切ですが既存の取引に甘んじていると、新たな付加価値を創出する企業努力を怠ってしまうことがあるためです。

なお 「経営改善計画書」の作成では資金繰り計画の為、原則として売り上げは取引先ごとに月次で計画しましょう。

そのためには前期の月次の売上実績も同様に集計しておくことが大切になってきます。

損益の成り行きを予想する

次に、特殊要因を排除した上で、これまで通り経営した場合の成り行き予想をします。

「売上」については、単純に取引先ごとの実績に90%から95%を乗じるなどの成り行きを見通した上で、実績や今後のお付き合いの方向性なども考慮しながら取引先ごとに濃淡をつけていきます。

「原価率」については一般的に大きな変動がないものと仮定して、実績と同等か昨今の状況を織り込みながら若干の悪化を見込んでおくと良いでしょう。

「固定費」については、前期の実績数値を元に、今期どのように推移するかを見通します。まずは科目のなかでウエイトのあるものから順に、若干の増加を見込みますが、この時に固定費を月次で捉える必要があります。

これは後で説明しますが、資金繰りまで織り込んだ計画にするためです。

この時に賞与など、毎月一律ではない科目には注意が必要になります。「経営改善計画書」を作成する必要のある、ほとんどの企業では損益が赤字になると思います。しかし、こうなってはじめて経営者も危機感が出てくるはずですのでポジティブに進めていきましょう。

貸借の成り行きを予想する

次に今後も同様の営業体制が続いた場合の在庫の増減を検討する必要があります。月商対比で増減がどの程度あるのか在庫の管理状況を織り込みます。

ほとんどの中小企業では在庫管理は従業員任せとなっていると思いますが、このような場合、在庫は増加する傾向にあり、事業領域によっても重要度が変わってきますが注意が必要です。

資金繰りの成り行きを予想する

資金繰りの成り行き予想では、まず借入金の返済を一年分把握します。これは借入の調達予定をまとめておく作業になります。そして未来の損益と貸借の成り行きを元に資金繰り計画を作成します。

これを資金繰り表に落としてみると、業績が相当に悪化していれば今期中のどこで資金不足になるか判明するはずです。

このように、まずは成り行きで資金繰りまで見ることで、このままではいけないって気づくことができるんですね。

このような見込みを立てたうえで、成り行きで経営した場合に必要となる借入額について、金融機関が何の懸念もなく融資してくれるかどうか考えてみましょう。

例えば、借入した場合の着地バランスシートを見て借入金の額が期末で年商の半分以上になるような場合は問題ですよね。

金融機関からの継続支援が難しいと想定される場合、自社で資金繰りを維持していく方策を考えなければなりません。

具体的には成り行きで5千万円の借り入れが必要とわかった場合、借入を3500万円に抑え 、残り1500万円については、どうにかして自己資金で賄う工夫をするなど、資金繰りを維持することを考える必要があります。

とはいえ、こうしたときに自己資金の捻出は厳しいことも考えられますので、この部分の手当にクラウドファンディングや出資をお願いするなどの行動を取ると周囲の理解も得られやすいはずです。

計画数値の立て方

それでは、「経営改善計画書」の具体的な作成方法についてご説明します。経営計画の立て方ですが、先ほどの成り行き予想の例でいえば、1500万円の借入調達を減らす場合、一年間の企業活動のうち、1500万円の資金を自分で生み出さなければなりません。

単純に固定費を1500万円分削減しようとしても、現実には、まず実現できないという結論に至るはずです。

そこで売上と変動費、固定費に分解して考えてみたいと思います。ここで見過ごせないのが、在庫の削減による資金の創出になります。

抜本的な改善に至るために、従業員任せの在庫管理から脱却して、経営者自らが陣頭指揮を執って、無駄な仕入れをしないようにして、「在庫を削減した」という結果を残すのが一番の近道です。

こうした背中を見ることで、従業員の意識にも変化が起こって原価率が改善されるんですね。

これって前時代的で古いやり方のように思いますか?実はそんなことなくて、これは 自立分散型組織である「ティール組織」をつくるためのマネジメントでございまして、これはトップやマネージャーがマイクロマネジメント、つまり過干渉しなくても目標や目的のために進化を続ける組織のことを指しています。このティール組織について組織の移り変わりを俯瞰しながら次回の記事で解説したいと思います。

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