Marie Abracquinne

母の残してくれたアルバムから子ども時代を読み取る作業です。 時代は昭和28年から昭和3…

Marie Abracquinne

母の残してくれたアルバムから子ども時代を読み取る作業です。 時代は昭和28年から昭和34年。 場所は大田区の蒲田です。

最近の記事

ホワイトシャツ

    • 同じく練馬区立美術館。こちらは素晴らしかった。元気がでた!

      • こちらは練馬区立美術館。現代アートにして無思想、なにも感じなかった。キュレーターの力不足か創作者そのものか。つかれた。

        • 目黒区美術館にて。6月9日。不思議な展覧会。地域の小学生たちとの創作パッチワークでは、下絵も展示してある。イギリス時代の重厚な刺繍作品。刺繍で作ったタバコの吸殻と駐車場の半券。オリジナル芸術地図など盛りだくさん。

        ホワイトシャツ

        • 同じく練馬区立美術館。こちらは素晴らしかった。元気がでた!

        • こちらは練馬区立美術館。現代アートにして無思想、なにも感じなかった。キュレーターの力不足か創作者そのものか。つかれた。

        • 目黒区美術館にて。6月9日。不思議な展覧会。地域の小学生たちとの創作パッチワークでは、下絵も展示してある。イギリス時代の重厚な刺繍作品。刺繍で作ったタバコの吸殻と駐車場の半券。オリジナル芸術地図など盛りだくさん。

          私鉄沿線 あたたかな場所

           父はたいてい居なかったし、真正面から見た母というのもあまり記憶にない。 台所に立って、お湯が沸くのを待っているときの寂しそうな横顔や、縫い物をしてせっせと指を動かしているときのうつむいた暗い顔など。 高校一年のときに決定的に離婚するまで、たまに帰ってくる父の背広を汚いものでも扱うように指先でハンガーにかけていた。 私は私だ。 桃子にも母親がいなかった。 コンは、一見平凡な家庭だったが、同居するお祖父さんとお祖母さんと、嫁であるコンの母親とはいろいろあるらしい。

          私鉄沿線 あたたかな場所

          お神輿

          お神輿は、どこから出発したのだろう? 娘は行列の途中でなかに入れてもらい、たるんでいる綱をつかんだ。 家の前を通ったとき、母が娘の名前を呼んだ。 娘の顔をカメラに向けるためだ。 声が大きいので、みんながこっちを見た。 まばらな商店の並ぶ通り、雑貨屋、斉藤パン、丸七布団店、畳屋。 畳屋の長男は事件に巻き込まれたが、その後、畳屋を継いで長身痩せ型の彼が長い針を平たい畳に突き刺しているのを見た。 浴衣を着て、お神輿を弾く姿を写真に撮るのが目的だったので、 お神輿がどこから始まって

          小説 はじめちゃん

          夏祭りの朝。 母は娘に用意した浴衣を着せる。 けいこちゃんの着ているサンランボと梅のような浴衣ではない。 母は、赤やピンクをきらった。 男の子のような青い絣模様の浴衣に、帯をぎゅっとしめた。 はじめちゃんは、一時期けいこちゃんの家の隣の貸し屋に住んでいた。 この家の母親には問題があった。 はじめちゃんはあまり外に出してもらえず、表で見かけるときはいつもダブダブの半ズボンをはいていた。 母はカメラを取り出して、女の子ふたりを並ばせて写真を撮ったあと、 「はじめちゃんを呼んど

          小説 はじめちゃん

          小説 ジョニー

          ジョニーは、あるとき父が自転車でふらふらしているとどこからか付いてきて、追い払っても追い払っても後を追ってきて、とうとう家に居着いてしまった。 娘にとって初代の飼い犬である。 「犬殺し」のあった時代。 野犬は狂犬病が疑われた。 三番目の叔父は、外を歩いているときに野犬に足を噛まれ、血を押し出しておきなさい、という呑気な祖母をよそに、父がすぐに病院に連れて行って注射をしたので助かったという。叔父からでも父からでもなく、祖母からよくその話しを聞いた。息子の命取りとなるところだった

          小説 ジョニー

          行水・・ジョニー

          無花果の木につながれたジョニーが舌を垂らして逆光の中で笑っている。 その顔は、真夏の太陽の下でげらげら笑っているように見える。 熱に乾いた土の匂いが写真から立ちのぼってくる。

          行水・・ジョニー

          行水

          昭和30年の夏。 強い日が照りつける土の上に金盥を置いて水を張って行水している。 父は、白い柳木綿のパンツ姿で盥にかがみ、娘の麦藁帽子を片手で取り上げ、もう片方の手に持つじょうろから娘の頭に水をかけて笑っている。 娘はいやがって両手で頭を隠そうとしているが、父はうれしそうだ。 庭に置かれたごちゃごちゃしたもの。 逆さにひっくり返されたみかん箱、 漬物石の上に並んだ下駄、 大小さまざまの真鍮の盥は、冷たい水を嫌がる娘のためにお湯を沸かして母が台所から運んできたものだ。 かが

          +3

          昭和30年夏

          昭和30年夏