【読書記録】とわの庭/小川糸
順調に積読を消化中。
そろそろ積読が少なくなってきたので本屋さんへ行かねば~と思っているきょうこの頃です。
今回は、小川糸さんの『とわの庭』をご紹介したいと思います。
小川糸さん、初めて読ませていただきました。
前からずーっと『ライオンのおやつ』が気になっていたのですが、そちらではなくこちらから初挑戦。表紙がとても好みだったからかも。
物語のあらすじは以下のとおり。
沼にはまっていくような壮絶感・・・
冒頭、美しい詩から始まり、母と盲目の娘・とわの穏やかで幸せな暮らしのが描かれていきます。この温かい物語がこの後どう展開していくのだろうと、読み進めているうちに・・・
徐々に変化していく母娘の暮らし。
たんだんとたちこめてくる不穏な空気、そして違和感。
特に母親が消えてからは、息が苦しくなるほどの壮絶感を覚えました。
こんなにもつらい、悲しい物語だったとは。
読み進めるのがつらいと、一度本を閉じてしまった人もいたみたいです。
私はむしろ、どうにか、とわちゃんが救われてほしいの一心でページをめくり続けていきました。
温かな物語を想像して読み始めただけに、想像を絶するような展開には、さすがに言葉を失いました。
自分の人生を切り拓いたとわの豊かな想像力
壮絶な数年間をへて、自力で家を抜け出したとわ。
何年もの間、たった一人で生き続けてきたとわの周りには、自然とたくさんの人が集まってきます。
素晴らしい人々、そして盲導犬ジョイとの出会い。
前半の落ち感が凄まじかっただけに、あのとわちゃんにこんな未来が待っているとは予想もしていませんでした。
そんな素敵な未来を引き寄せることがたのは一体何だろうかと考えると、やはり彼女が「目が見えない」ことだったのかな、と。
幼い頃から視覚がないとわは、時間や季節の移ろいを感じるには木々や花の香りを頼りにしていました。
また、幼い頃から母親にたくさんの本を読み聞かせしてもらい、いつも物語の世界に思いを馳せていました。
数多くの物語に触れ、嗅覚を使って時間の流れを感じとることのできる、とわちゃんの豊かな「想像力」。目が見えなくても、生きていく上で非常に大事なものを、とわちゃんは既に持っていたのですね。
「母親」が人生に与えた影響
突然とわの前から姿を消した母親。
それ以来、とわの前には二度と母親が現れることはありませんでした。
とわ自身も長い間、母親に依存し執着し、長年帰りを待っていましたが、その一方で盲導犬のジョイと共に新しい人生を始めることに成功します。
母親とは決別したように見えたのですが、それでも時折、母親へ思いをはせるとわからは、母親への並々ならぬ愛情を感じます。
あんなに壮絶な体験をしたにも関わらず、どうしてまだあの母親を愛することができるのか・・・
とわちゃんの中では、幼少期に過ごした母親との幸せな時間が、いつまでも色あせずに残っていたのでしょう。
幼少期の体験が、その後の人生にもたらす影響の大きさを思い知らされました。
とわちゃんの最大の魅力である豊かな想像力・感受性を養ったのが、母親と楽しんできた読書の影響であることを思うと、立派なお母さんだったのかもしれないな。
いかがでしたか?
一部レビューでは賛否両論ある今作でしたが、個人的には考えさせられることも多く、大変おすすめです!
こちらの作品が気になった方はぜひ手に取っていただけたらうれしいです。
そして、既に読んだことのある方は、ぜひコメント欄で感想を教えてくださいね^^
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