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ヴィッセル神戸マッチレビュー│J1第1節vs磐田

待ちに待ったJリーグ開幕。
開幕戦、アウェイでジュビロ磐田と対戦したヴィッセルは2‐0の勝利。幸先の良いスタートを切った。


不安を一蹴した汰木のゴールで神戸が先制

シーズン初ゴールはこの日LWGでスタメン起用された汰木。セットプレーのこぼれ球をダイレクトで合わせ、ゴール隅へしっかり決めた。

プレシーズンマッチのマイアミ戦、スーパーカップでの川崎F戦でいずれも得点が生まれなかったヴィッセル。ゲーム内容はそれほど心配する結果ではなかったが、ACLシーズンに調子を落とす過去のデータに、サポーターの不安は募っていた。ふたを開けてみないと分からない開幕戦という特殊な状況も、心をざわつかせた一因だ。

そうした不安を一蹴した前半5分での先制ゴール。自分達で試合を難しくしてしまうのが過去のヴィッセルの「悪癖」だったが、その姿は過去のものになりつつある。昨季同様に逞しさを感じさせるゴールだった。

特大のパフォーマンスを披露した井手口

さて汰木のゴール同様、この日ヴィッセルサポーターを沸かせた選手といえば井手口だろう。川崎F戦で負傷交代した井出のポジションに入ったが、スピード、強度、カバーエリアどれをとっても抜きん出ていた。この日務めたLIHは、ヴィッセルにとって攻守の切り替えや流動性を生み出す戦術的に重要なポジションだ。実際川崎F戦では、LIHに入った井出の負傷交代以降にゲームが膠着した。

それだけに井手口への注目度は高かったわけだが、これほど圧巻のパフォーマンス披露してくれたのはうれしい驚きだ。武藤や井出が戻ってくるまではやり繰りに苦労するのを覚悟していたが、井手口の存在で不安は大きく解消される。「競争と共存」は吉田監督が今季へ向けて口にした言葉だが、さっそく高いレベルでのポジション争いが繰り広げられそうだ。

この日のヴィッセルは昨季同様にハイプレスとハイラインを基本に、初瀬からのロングボールを中心とした強度の高いサッカーを披露した。昨季のベースをしっかり踏襲してきたわけだが、開幕からこれだけの完成度を披露してくれたのは素直にうれしかった。さらに、「しつこくやり続ける」「繰り返しやり続ける」意識が、よりチームに深く根付きはじめている。間違いなく、昨季からのベースアップがなされていた。

佐々木から漂いはじめた風格と宮代への評価

とくに佐々木のプレーぶりには風格が漂いはじめている。後半に奪ったゴールも、1対1で磐田のGK川島との駆け引きを制し追加点を奪った。相手チームからすれば心が折れる時間帯の追加点。ただの成長株と呼ぶのは失礼に感じるほど、今の佐々木のプレーは自信に満ちている。古橋が一気に階段を駆け上がったときの姿をついつい連想してしまった。

さて、開幕前に筆者は新加入の宮代について、次のように選手評を書いた。

プランの1つとして期待されるのが川崎から新加入した宮代だ。プレースタイルは大迫とは違い、嗅覚に優れたストライカーという印象を持っている。独力で突破するよりも、味方からのパスやこぼれ球に素早く反応し、左右を問わず高いシュート精度でフィニッシュを決める。裏抜けも得意だ。その一方で強度の部分は未知数だ。相手を背負うよりもひっくり返すようなプレーを好むため、どこまでポストワークができるのか見定める必要がある。

ヴィッセル神戸24シーズンの補強動向と戦力分析

「強度の部分は未知数だ」と述べているが、後半のマーカーを引きずるように前進するドリブルは圧巻。あのプレーぶりを見ると、強度が未知数という評価は見当違いだったようだ。たとえばカップ戦でのワントップ起用や、佐々木との2トップなどを妄想してしまう。神戸での適性ポジションを探っている時期だが、覚醒のときが待ち遠しい。

新たなシーズンのスタートとしては、十分すぎる結果を披露してくれたヴィッセル。次節はホーム初戦。相手の柏レイソルは開幕戦を1‐1で引き分け、京都と勝ち点1を分けあっている。
開幕直後は相手チームの輪郭がはっきりとせず、手探りの状態が続く。とはいえ、この日のように自分達のやるべきことに集中する。タスクフォーカスの姿勢を崩さなければ、ゲームの流れを握れるはずだ。


いよいよ始まった2024年シーズン。旅程を見れば長く険しい航海が待ち構えています。それでも磐田戦で披露した選手達の逞しいプレーぶりを見れば、ワクワクする冒険を期待せずにはいられません。

既存メンバーと新加入組がどんな化学反応を見せるのか
個性とタレント力が強いメンバーどう指揮官はマネジメントするのか
対策を講じる相手をどう攻略していくのか

見どころ満載の今シーズンを、みんなで思う存分満喫しましょう。
今年も一年よろしくお願いします。

ベアー

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