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【ぶうわ入院する】

ぶうわが小学生の頃、生死の境を彷徨ったことは【ぶうわの悲恋】で少し触れたが、
入院したぶうわには当時、牛頭町のおばあちゃんが付き添い、病院に泊まり込んだ。
私は、おばあちゃんのことだから、娘の容態を心配し過ぎて、悲愴感を漂わせていたのではないかと想像した。が、


「有難いわぁ~ホテルに来てるみたいやな。家のこと何もせんでいいんやから、あ~~~ありがたいわ~」と言って、終始ご機嫌だったそうだ。

ぶうわの状態が落ち着いてからは、お見舞いにいただいた地域ブランドのお多福のみかんに舌鼓。
「やぁ、やっぱりお多福のおみかん美味しいわ!剥いたげるから食べ」
と言っておばあちゃんがぶうわにみかんを剥いてあげて、ふたりで、「おいしいなぁ」「美味しいねぇ」といって病室で食べていたそうだ。

おじいちゃんやおばあちゃんの姉弟、兄妹家族と、お見舞いに来てくれる人も多かったそうで

「今日は午後から●●さんとこの□□さんが揃ってお見舞いにきてくれるんやって。
美味しい方のおみかん隠しとこか。
お見舞いに来てくれた人にはこっちのおみかんを出そう」と二人で言い合わせたらしい。

「おかあちゃんは心配するより何より、高熱出して苦しんでる娘の横でおみかん美味しいとか、ホテルに来てるみたいやわとか言うてたでな」と
ぶうわによって、数十年を経て、私や母に暴露されたおばあちゃんは、「え~そうやったかなぁ」と涼しい顔をして笑っていた。

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