近畿大学 司書 【生涯学習概論】 試験問題と解答例 2024年4月入学


【問題】

生涯教育の理念の導入と社会教育行政の量的拡大について述べなさい。

【解答例】(秀90点)

 ここでは、はじめに生涯教育の理念の導入を述べ、 次に社会教育行政の量的拡大について記述した後、まとめとする。

1.生涯教育の理念の導入
 生涯教育の理念の導入には、1971年の社会教育審議会答申が大きなきっかけとなった。この答申では「急激な社会構造の変化に対処する社会教育の在り方について」が出され、急激な社会変動に対応して人々の教育的要求が多様化、高度化しており、こうした状況に対処するためには、「生涯教育の観点に立って、教育全体の立場から配慮していく必要がある」との提言から、文部科学省の審議会として初めて生涯教育の理念を導入した。この答申は生涯教育における社会教育の重要性を指摘し、今後の社会教育行政の在り方、当面の重点施策について様々な提言を行った結果、その後の日本の社会教育行政は、この答申を重要な指針として展開され、1971年中央教育審議会から、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」が答申され、生涯教育の観点から学校教育の改善の方向性と家庭教育社会教育の役割への期待を提言している。
 背景として、生涯教育の理念は1965年にユネスコの成人教育推進国際委員会おいて推奨されたもので、教育は青少年期に集中して行われる学校教育だけでなく、生涯にわたって様々な教育機会が提供されなければならないという考え方からきている。人間の生涯という垂直軸の教育機会と、個人および社会全体という水平軸の教育機会を統合しようとする理念であった。1973年のリカレント教育が提起されたのもこの時代である。また日本社会では、戦後の高度経済成長期がオイルショックで終焉し、 低成長時代に入ったものの、 先端技術開発によって乗り越えた時代背景があり、科学技術の発展により学校で学んだことはすぐに古くなってしまい、学校教育後も高度で多様な学習が必要になっていった時代である。
 
2. 社会教育行政の量的拡大について
 先述した1971年の社会教育審議会答申では、社会教育施設の整備の指導者の充実について述べられたことにより、1970年代は政府からの補助が拡充された。
 公民館、図書館、博物館などの公立社会教育施設の整備に対する国庫補助金は1970年代にピークを迎えた。1972年度から社会教育の特定分野について直接指導に当たる社会教育指導員の設置に関する国庫補助(地方社会教育活動費補助金) 、1974年度には市町村の社会教育振興を目的とし、専門性の高い社会教育主事の給与費に対する国庫補助、1978年度から社会教育に関する情報提供・学習相談・指導者研修・広域事業など総合的に行う「県立総合社会教育施設費」の補助金も始まり、施設の整備と指導者の充実が進んだ。
 他に社会教育施設については、国立の青少年教育施設が設置された。また、「県立社会教育総合施設費」補助金によって県立社会教育センター整備され、各自治体で、生涯教育センターが広がっていった。その補助金は1989年度から公立社会教育総合施設整備事業、1991年度から都道府県を対象とする公立生涯学習推進センター施設整備事業へと変更されつつも、引き続き社会教育行政の充実は続けられている。

3.まとめ
 1970年代の社会教育行政による教育・学習機会が豊かになったことで、施設や指導員の充実が拡大したことは日本の生涯学習社会への発展に大きく寄与したと考える。社会的風潮が学歴偏重に偏り始め、学歴社会になった弊害もあったと思うが、それをきっかけに1981年の中央教育審議会で初めて生涯教育と生涯学習の違いが明らかにされ日本の教育は変化し続けている。現代は目まぐるしく社会が変化していることから、行政と民間が協力して試行錯誤しながら、生涯学習社会の充実化を図り続けることが重要である。

【感想】

試験は2024年の7月14日に受けました。

テキストのままのところが多かったので自信なかったですが、結果は秀 90点いただけて驚きました。テキストの該当場所を見つけて書き、少し自分の言葉を付け加えれば合格になると思います!


※注意
解答の丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。

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