近畿大学 図書館司書 『情報資源組織論』合格レポート 2024年4月入学


【設題】

指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
1.現在、多くの公共図書館や大学図書館で、外部の書誌データを利用した目録作成業務が行われています。
集中目録作業と分担目録作業(=共同目録作業)、それぞれの特徴(意味や役割、課題など)を明確にし、さらに今後の目録作成業務のあり方について自らの見解をまとめてください。(1,000字)

<キーワード:MARC、集中目録作業、分担目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>

2.地域の図書館(公共図書館)での現地調査もしくは調査対象館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について複数ケースを洗い出し、気づいたことをまとめてください。
さらに、調査で得た内容や関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察してください。尚、調査対象館は“NDCを採用する近隣の公共図書館”で、取り扱う情報資源は“紙資料”とします。(1,000字)

<キーワード:書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>


【レポート】(994字、997字)

設題①
1.はじめに
 ここでは集中目録作業と分担目録作業について、各作業の特徴と課題、今後のあり方について考察する。目録はタイトルや著者、主題などの書誌データと所在記号、アクセス・ポイントが付与されたものであり、資料を検索する上で書架分類を補うものである。その目録の作成方法には、集中目録作業と分担目録作業の2つがある。
 
2.集中目録作業と分担目録作業
 集中目録作業とは、1つないし少数の限定された図書館で集中して目録作業を行うことである。そこで作成された成果物を機械可読目録(MARC)という。作成された目録データを他の図書館が使用することで、個々の図書館での目録作成の労力を削減できる特徴がある。日本では国立国会図書館がJAPAN/MARCを無料で頒布している。しかし課題として、図書の刊行とMARCへの登録に時差が生じることがある。既に新刊書を所蔵していても、MARC上に未登録でデータがなく、利用者が資料にたどり着けないという事象が生じうる。
 分担目録作業とは、それぞれの図書館が共同で目録作業を行うものである。その作業で蓄積された目録を総合目録データベースという。ある図書館が新たに図書を受け入れた際、データベース上に登録されている場合は新たに作成する必要はなく、登録されていない場合に新たに作成する。そのため、目録作成時に重複作業を削減でき、目録作業が効率的になる。また、総合データベースを管理運用する機関は書誌ユーティリティと呼ばれ、日本ではNII(国立情報学研究所)が該当する。ここでの課題は、分担目録作業に参加する図書館によって、目録作業の質や作成度合いが均一でないことである。一定水準での書誌データ登録が難しく、そもそも登録自体を行わない図書館も出てくる。
 
3.今後のあり方と結論
 前項の課題に対して、ルールの画一化と新技術である生成AIの活用を提案したい。目録作成上のルールを画一化した上で、新技術の生成AIを活用することで一定水準以上の成果、および目録作成作業システムの簡素化・自動化による効率化が実現できれば、課題解決につながると考える。しかし、生成AIやコンピュータ技術は現在も発展途中の段階である事から、ルール画一化による目録作業水準の確保と、現状維持にとどまらずに新技術を導入できるよう、図書館業界は利用者への円滑な資料提供と新技術への学びを両立することが重要である。


設題② 
1.はじめに
 ここでは蔵書の所在記号の付与方法とNDCの分類活用の意義・課題について述べる。NDCを採用しているXX市中央図書館での現地調査と館内の蔵書検索を利用した。
 
2.調査内容
調査対象図書館:XX市中央図書館
検索ワード:紙幣
①三上喜孝 『天皇はなぜ紙幣に描かれないのか』 小学館 210.04
②ケネス・S・ロゴフ 『現金の呪い 紙幣をいつ廃止するか?』 日経BP社 337
③熊谷敬太郎 『ピコラエヴィッチ紙幣』 ダイヤモンド社 913.6
 
 検索結果のうち、上記の資料ではNDCの区分において①は歴史、②は社会科学、③は文学に分けられてい。綱目表の記号で、①は日本史、②は貨幣通貨、③は小説物語の番号がラベルに付与されていた。これらの資料は通貨とは何かという共通話題があらゆる視点で述べられており、その違いが主題と区分に表れている。
 XX市中央図書館の背ラベルはほとんどが書架分類記号のみであり、わずかに著者名の頭文字の記号が付与れていた。また、階数ごとに資料の内容が分けられており、蔵書検索用PCや階段・エレベーター等に館内図が掲示されているため、利用者がどんな資料が排架されているエリアにいるかわかりやすくなっている。
 
3.NDCの課題と意義
 資料を主題に基づいて、体系化された分類順に資料を排架することが書架分類法である。書架分類では似た主題の資料が一つの場所に集約され、利用者はブラウジングすることができる。また、その分類順に基づいて、資料には排架された位置を示す所在記号が付与される。日本ではNDCに則った9区分の分類法が広く普及している。そのため、NDCを採用している図書館であればどこでも区分方法は同じである。
 一方でNDCは一つの資料に一つの区分しか割り当てられないという課題がある。その課題を補うのが書誌分類である。書誌分類は目録に基づいた書誌データによって分類されるが、一つの資料でも複数の分類分けができる。書誌分類に基づいたOPAC上で検索することで幅広い資料検索が可能となっている。
 課題としては、利用者層がNDCによって分類されている事が知られていないと書架で探す際やOPACの検索結果でなぜ異なる場所に資料があるのかわかりにくい。書架で探す際にも、蔵書検索する際にも、より求めている資料を入手しやすいよう、一般利用者への認知を上げることが必要と考える。

【講評】

レポート拝読しました。
前者は、教科書等を十分に理解うえで課題に取り組んだ様子がうかがえます。
後者は、調査、分析や考察が十分になされております。
両者とも内容については問題がないので、レポートは合格です。

【感想】

このレポートは、メディア授業申し込みをするために、一番最初に取り組んだのですが、訳が分からないままレポート作成していました。しかし、テキストをしっかり見ながら、キーワードを取りこぼさずに作成して合格することができました。

メディア授業を受けるためにも、まずはテキスト読んで書いてみることをおすすめします。


【返却日数】

7日 4/1提出・4/8合格


※注意
レポートの丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。

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