近畿大学 司書 【図書館概論】 試験問題と解答例 2024年4月入学


【問題】

大学図書館の役割とはなんですか。具体的に記述して下さい。その役割は今後どのように変化するのかあなたの意見を述べて下さい。

【解答例】(秀95点)

1.大学図書館の役割
 大学とは教育と学術研究を目的とした教育機関であり、大学図書館は大学の教育・研究活動に欠かせない情報を収集・整理・保存し、それらを学生・教職員研究者に提供して教育・学術を支えてサービスを行うことを目的としている。
 以上の大学図書館の目的を踏まえて、大学図書館の役割は、図書館資料を収集・保管するという基本的機能と、資料の有効的な利用を図るために学生・教職員・研究者に対して積極的に情報提供を行い、学術研究活動を全般的に支えることである。また、学術情報基盤の中核として、学術情報量の増加に伴い、国を越えて流通する情報を組織して提供するという、より広い枠組みでの役割の拡大が進んでいる。
 そのための機能として、①学習教育センターの機能、②利用者サービス、③利用者教育・情報リテラシー教育、④学術情報システム等が挙げられる。
 ①の学習・教育センターの機能では、従来より担ってきた役割であり、学生の授業や研究に必要な各種文献を利用するために大学図書館を利用し、自主的な学習・教育の場として活用されている。
 ②利用者サービスでは、公共図書館等と同様に、貸出や複写サービス、レファレンスサービス、OPACやデータベース利用説明などがある。 
 ③利用者教育では、オリエンテーションや図書館ツアー等の利用案内、一般的文献探索 法や研究課題の仮説検証や情報収集、考察につなげる分析のために必要な主題別文献探索 法の指導などがある。情報リテラシー教育では、学生の学習・研究に必要な情報を入手するために、コンピューターの活用方法から多くの情報から必要な情報を取捨選択するための指導である商用データベースや機関リポジトリ等の情報を入手できるリソースは多様であることから、大学図書館が授業でも活用されている。
 ④学術情報システムでは、蓄積された学術情報の円滑な流通のため、大学からの発信・ 収集を実施し、学術情報の基盤づくりとネットワーク整備の役割も出てきており、これは 長期的な取り組みであるため、今後も重要な役割となる。
 
2.大学図書館の役割の今後
 大学図書館は①生涯学習の拠点としての役割、②館種を超えた図書館の協力・MLA連携によって役割が大学内や学生・教職員研究者という限られた利用の場および利用者層から、より広い利用者層の学習や研究の需要を満たす役割へと拡大していくと考える。
  ①については、人生百年時代を言われ、年齢や学生の身分に関係なく生涯学習が叫ばれている時代において、学習する場としての役割をもつ大学図書館の需要は増していくと考 えられ、実際に大学と地域の協力・連携を図るために、公開講座の実施や社会人の受け入れ、大学図書館の公開が進んできている。大学が蓄積してきた貴重な資料を地域住民も利用できることは、様々なバックグラウンドを持つ人で交流ができ、新たな視点での学習や研究が進むといった大学側にも良い影響が出てくれば、ますます地域へ公開する大学図書館が増えていくのではないかと推察する。
 ②の館種を超えた図書館の協力やMLA連携は現在進んできている。大学図書館は公共図書館や学校図書館に比べて専門的な情報が多いため、社会の発展のためにも果たせる役割は大きい。また、MLA連携とは博物館・美術館、図書館、文書館が協力することで、所蔵する資料をデジタル化してデジタルアーカイブとして情報を提供し、課題の共有・解決に取り組んでいる。大学の授業や研究などの充実のための連携や蓄積された情報の次世代の効率的な継承、他の機関による学術情報の活用などメリットが大きい。また社会教育文化施設である公民館と連携することで、公民館の利用者への充実した情報提供ができるのではないかと考えられる。

 

【感想】

試験は2024年の6月16日に受けました。5月は用事があって試験が受けられなかったため、初めての試験を迎えた日でしたが、秀 95点をいただけて翌月以降の試験のモチベーションにつながりました。

解答の中の利用者教育のところは、情報サービス論のレポート内容を引用したりと、他の科目のレポートが役立ちました。

この科目はテキストも内容的に読み進めやすいので、合格しやすい科目であると感じました。


※注意
解答の丸写しはしないようにお願いいたします。
皆さんの参考になれば幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?